私の「アーサー王伝説」入門(2) (1)へ (3)へ (4)へ (5)へ |
Topへ | |
アーサー王の物語を一言で表現すれば、「Noblle高貴とはなにか」を示す物語だと思う。 | ||
|
||
マロリーのLe
Morte D'Arthur 半分読み終える |
○ マロリーのLe
Morte D'Arthur第6巻全17章は、ランスロットの活躍について描く。強く、気高い騎士の中でも最高の騎the flower of all knightsで、女性の憧れの的。ランスロットが結婚しない理由を明らかにしている。女難、剣難、数々のアドベンチャーの中で、彼は騎士道を発揮する。(2013・07・29)
○ マロリーを読んだ後はテニスンを読む計画だったのだが、その前に、Sir Gawain and the Green Knightを読まねばと思うようになった。これは、マロリーよりもさらに古い14世紀のもので、かつ、韻文なので、マロリーのようなわけには行かない。トールキンの翻訳をはじめ色々な現代訳あるので迷うことしきり。 |
マロリーのModern Libraryの一巻本 |
シェイクスピアと比べる | ○ ここまで読んできたマロリーのLe Morte D'Arthurをシェイクスピアと比べると前者は、①文章が易しく読みやすい。語彙が少なく、古語はグロッサリーが付いているうえ、すぐに馴れる。構文も単純で、現代英語と違うところがかなりあるが、これもすぐに馴れる。②登場人物は恐らく100人をくだらないと思うが、皆、生き生きと立ち上がってくる。細かな感情表現や状況描写をせず、読者の想像に委ねているかも知れない。ラーンスロット、トリストラムといった、大スターの胸をすくような活躍をはじめ、個性ある騎士たち、貴婦人、乙女がうまく登場する。③短編の積み重ねのように話は進むが、その都度、清清しい感動を齎す。④価値観は平明。編集者のCaxtonの序文(1485年)を引用すると、Wherein they shall find many
joyous and pleasant histories, and noble and renowned acts of humanity,
gentleness, and chivalry. For herein may be seen noble chivalry, courtesy,
humanity, friendliness, hardiness, love, friendship, cowardice, murder, hate,
virtue, and sin. Do after the good and leave the evil, and it shall bring you
to good fame and renown.つまり、望ましい徳目と避けるべき悪徳が示されていて、素直に賛同できる。
○ マロリーのアーサー王の世界から見れば、シェイクスピアは、複雑で、難解で、その価値観があいまいで、読後感は、清清しいとは言いがたい。中世から、近世、エリザベス朝へと一大飛躍をする中で、こんな複雑な演劇が必要だったのかもしれないが、観衆はそれなりに熱中するものがあったのであろう。ちょっと不思議な気がする。 |
|
マロりーの Le Morte D'Arthu 読み終える |
○ Le Morte D'Arthur第11巻はラーンスロットには大切な巻。魔術とはいえ、ペレス王の娘エレーンと子ガラハッドをなし、さらにそのエレーンが、グウィネヴィアのいる宮殿へやってきて、ラーンスロットとまみえるシーンがある。グウィネヴィアの意志、その裏を掻く、エレーン側の詐術。まれに見る緊張の後、ラーンスロットは気が狂う。ラーンスロットにははじめから二心はないのだが・・・・狂気の2年間とその回復。劇的な巻であった。(2013・8・27)
○ 上の高橋宣也の論文の中に、アラビヤのロレンスも砂漠に『アーサー王の死』を携帯していたとある。 ○ Le Morte D'Arthur第17巻は聖杯探求の達成である。ガラバッド、パーシヴァル、ボーアの三人。ガラバッドの手に入る。全般に神秘的過ぎて、聖杯そのものに感情移入できない読者には、それほど大きな感動を呼ばない。ガラバッド、パーシヴァルが天に召され、ボースとランスロットが、アーサー王の宮廷に戻る。ここまでLe Morte D'Arthurの5分の4に当たる。(2013・9・19)
|
|
Sir Gawain and the Green Knight | ○ Sir Gawain and the Green Knightは14世紀無名の詩人による2530行の頭韻詩です。中英語は歯が立たないので、Simon Armitageの対訳本で読んでいます。現代語訳ですが、頭韻詩として訳されていて、原作の雰囲気を伝えており、私も頭韻詩とはどんなものかをこの本ではじめて知りました。同じ行に同じ頭韻の語を集めてくるので、口調が良いのですが、その分、難しい語彙が使われます。マロリーがほとんど辞書を引かずに読めたのとは対照的です。また、マロリーの素朴な味わいと比べ、その100年も前の作品なのに繊細で、洗練されています。 J.R.R.Tolkienの訳も手元に置いてますが、これも頭韻を用いた訳で、韻文訳と言っていいものです。難しい言葉がでてくので、山本史郎訳を辞書代わりに使っています。 (2013・10.4) ○ 城主が狩に出た留守に、城主の夫人がガウエインに迫ってくる。その夫人の誘惑の仕方とガウエインがいかにそれを切り抜けるかが山場の一つで面白い。この狩の場と誘惑の場が3度繰り返され、盛り上がりつつ、最終ラウンドへと向う。Sir Gawain and the Green Knightを私はSimon Armitage対訳本で読んだのであるがそれは頭韻詩の形式を維持するために、私の知らない言葉が沢山出てきて、難しかっが、トールキンの現代語訳とその和訳を注釈書代わりに使ったので、筋や、表現のあやなども十分楽しむことが出来た。中英語の原文を一字一句、中英語の辞書を使って読むともっと面白いと思うが、それは将来の課題とした。ただ、原文をちらちら眺めながら読み進むと、実はトールキン訳の方が原文に近い上、はるかに読みやすいのではないかと思った。14世紀の末、こんな洗練された文学が英国にあったとは驚きだった。(2013・10・7) ○ 【安藤聡さんから】Sir Gawainの文体については寡聞にして詳しく知りませんが、この時代の英語の特徴にアングロ・サクソン系とノルマン・フランス系の類義語を併置するという手法があったと思います。見慣れない語はその前後の語がヒントになる場合が多いようです。(2013・10・7) |
|
The Lady of Shalott | ○ アーサー王伝説は、これから、テニスンのものに移ります。手始めに、The Lady of Shalottを読みました。余りのも短いので、これがかの有名な詩かとちょっと肩透かしを食らった感じでしたが、何度も繰り返し読むうちに、心に沁みてきました。岩波文庫の『対訳テニスン詩集』にもおさめられており、『ユリイカ ー 特集アーサー王伝説』には坪内逍遥訳とこの詩に纏わる沢山の絵画が高宮利行の解説で出ています。 ○ 【木下信一さんから】葛生千夏の「The Lady of Shalott」は聴かれました? テニスンの詩に音楽をつけて、彼女の強いアルトが素晴らしい曲です。高宮先生も推薦されています。 ○ 【三村明さんから】Loreena McKennittというカナダのシンガーが、この詩に曲をつけて歌っていますね。 ○ Tennyson のThe Lady of Shalott( illust. Geneyiere Cote)とIdylls of the King((Signet Classics)が到着。読むのは何ヶ月か先のこと。後者の表紙はフランスのタピストリー「貴婦人と一角獣」である。なんとも心憎い選択ではないかThe Visit (1991)に収められています。 ○ 【木下 信一さん】 http://www.amazon.co.jp/dp/B000002GBK/ http://www.amazon.co.jp/dp/B00005F2T0/ アーサー王伝説の音楽といえば、この二枚を外すわけにはゆかない。お奨めです(^^) ○ 【三村 明さん】 懐かしのRick Wakeman!息子はClive Nolanと組んでJabberwockyなるアルバムを出してますね。(Rickはナレーターで出演) ○ 【..三村 明 さん】Henry PurcellにはKing Arthurというオペラ(?)がありましたね 〇【.木下 信一さん】 DVDで持っています>パーセルのオペラ。ただ、演出が気に入らなくて、あまり見ていません。あと、アルベニスのオペラで「マーリン」があります。こちらも持ってるだけ |
|