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事典その2



作家

「暮れ六つ時は銀の雨」の主人公は、新人賞を取ったばかりの作家。
いつも噴水のところで自分のことをみつめている女の子から、たいへん率直な内容のラブレター(ファンレター?)をもらいます。
関係ないですがこの作品と(マーガレットコミックスの)同時収録作「ガラスの花束にして」を比べると、後者が描かれたのはたった2年後なのに、えらく絵が変化しています。書き込み量が全然違う。

「遠い星をかぞえて」の庄介おじさんは脚本家ながら、「黄昏」という本を出す。ちなみに本業の脚本家のほうは、2時間ドラマのサスペンスものなどを手がけているようす。

仕事に関しては死ぬほどハタ迷惑な性格なのが、「うちのママが言うことには」の新進SF作家・拓子先生。担当の英太郎が考えたコピーは「SF界の女王拓子は、ほんとは宇宙人なのではあるまいか?」。
とびきりダンディな同業者の木下先生をつかまえて結婚する。

「冬の星が踊る」に出てくるのは作家の夫婦。同じ仕事であることを友人は羨ましがるが、実際は互いの締め切りが重なったときなど、八つ当たりの応酬で生活はずいぶん荒れる。
冒頭の主人公のセリフ「(引っ越してきたばかりの部屋で)原稿やってれば荷物が気になるし、荷物の整理やってれば原稿が気になるし」というのには共感してしまう。

「アイリスの小鉢」の主人公の父親も作家。妻に言わせると「いやらしい小説」を書いているらしい。その妻はクマが出てくるマンガを書いており、ぐうたらな生活をする二人のために中学生の娘がゴハンを作っている。

正体不明の女性作家の書いた小説をめぐって展開するのは「ヴィヴィアンの赤い爪」。


時計台

札幌の時計台。舞台もしくは登場人物の実家が北海道、という設定が多いため、大通り公園と並んでよく出てきます。

「ふくれっつらのプリンセス」で、牛ちゃんの気持ちを確かめるために北海道までやってきたはじめがとりあえずやってきたのは大通り公園。夏の陽射しを受ける時計台がひとコマ描かれています。

「うちのママが言うことには」の英太郎は、実家が北海道。
正月に訪ねてきたけいとに大通り公園や北大キャンパスを案内してくれます。
ちなみにこのシーンのけいと、最後のふたコマだけ帽子をかぶっている。かわいらしいコサック帽。しゃべりながらかぶったようには見えないので、うっかりミスかな。


田原俊彦

岩館真理子の「王子様」はトシちゃん。ファンには周知の事実。
作中でトシちゃんのファンだったのは、「森子物語」の森子の友人、さっちゃん。彼女は隣の席になった東山くんに「あたしトシちゃんが好きなんだけど、誰が好きなの?」と聞いて「明菜命」と書かれたハチマキを見せられる。彼女いわく「よくわかんない人よね」。


玉置浩二

「ぶ〜け」の巻末特集の際、表紙のカラーページの裏は作者へのインタビューが載っていた。
おそらく「遠い星をかぞえて」か「まるでシャボン」が掲載されたとき、好きな芸能人として岩館真理子は玉置浩二の名を挙げていました。

セリフ集にも書いたとおり、「おいしい関係」にはたまこちゃんが『安全運転』というグループのチケットを取りに行く(が、売り切れでショックを受ける)ひとコマがあります。


肉じゃが

「わたしたちができるまで」(角川文庫)によると「わりとよく食べます」とのこと。修羅場明けに作るんだそうです。そのせいか、何度か作中にも出てきます。

「森子物語」では、母親が妊娠していると勘違いした森子が、鉢に山盛りの肉じゃがを勧めて不審がられます。

「綺麗」には、締め切り前で悶々としている漫画家が「仕事が終わったらいっぱい作ろう」「好きな花を集めるだけ集めて、肉じゃがのまわりに飾りましょう」などと空想にふけるシーンが。




岩館真理子といえば猫、というくらいつながりの深いもの。
「わたしたちができるまで」でも、「特技はありますか?」という(大島弓子からの)質問に対して、「猫を猫じゃらしで遊ばせるのがすごくうまいんです」と答えています。

猫を飼っているのは「幾千夜」のリカ、「冷蔵庫にパイナップル・パイ」のややちゃん一家、「五番街を歩こう」のはっちゃんと魚住さんのカップルなど。
猫を12匹ももらってきたのは「えんじぇる」のスウ。彼女は猫に「1月」から「12月」までの名前を付ける。
このあともウサギやらカメやらたくさん買ってきて、家はえらいことに…

かつての乙女チック時代はもちろん、スウやリカが飼っていたのは、小さくてかわいらしいかんじの猫。
週マの終わりごろから、大きくてブサイクな(でもなんとも言えず愛らしい)猫が出てくるようになりました。


バレーボール

「17年目」の主人公が入っているのはバレー部。しかし運動神経はあまり良くないようで、転がったボールを捜している最中に、野球部のボールと顔面衝突してしまいます。

「森子物語」で森子が片思いしている東山くんもバレー部。こちらはかなり上手いらしく、クラス替えの際の自己紹介で「3年の中ではいちばんうまいと思ってます」と言っている。
森子もバレー部の試合での勇姿を見て彼に惚れたようです。

「アリスにお願い」の美名子もバレー部。作中ではジャージ姿も多い。
一方、部員でもないのにバレーがめっぽう得意なのがアリス。美名子いわく「やろうと思えばアリスはなんでもやれる」。
クラスの対抗試合で、アリスは美名子に「10分でケリつけたら、信さんに好きだって言うこと」と約束をとりつけるが、なぜか自分から試合放棄してしまう。


細川俊之

「ふくれっつらのプリンセス」の俊さんという名はてっきり田原俊彦から取ったと思ってたんだけど、掲示板で「細川俊之だそうですよ」と教えてもらいました。
その後「わたしたちができるまで」を読んだら、「当時あの声が大好きで」「甘ったるいけど大人の声でしょ」とのこと。

ちなみに、偶然かもしれないけど「森子物語」の花ちゃんの担任の先生は「細川先生」。彼女の態度から察するに、どうもかっこいい先生のようです。


漫画家

作家と並んで漫画家もよく登場します。私生活が垣間見える気がして、ファンとしては嬉しい設定。

高校生の妹の名前を借りてデビューしてしまったのは「月夜のつばめ」の哲子姉さん。
担当の編集者には妹を会わせてなんとか乗り切るものの、最初の一作を仕上げるのに一家は大パニック。しかし修羅場を終えたあとの姉さんの顔は妙にすっきりしていたのでした。

「雲の名前」の主人公・似季は中年漫画家のお手伝いさん(メシスタント)として家にあがりこむ。
こちらはデビュー26年というベテラン漫画家で、「自分で描いてても面白くないもんな」「才能って消耗品なんだよ」などとネームがかけないグチばかりこぼしています。
そのしょぼくれた後姿を見て、似季は「あれがママが愛した人?」と疑問に思う。

「綺麗」は締め切り前の漫画家を描いた掌編。
絶望的すぎて笑っちゃうような修羅場が展開されます。岩館真理子はこういうの描くとほんとに上手い。
途中「キャリア17年の岩手先生」という同業者の先輩から電話がかかってくるシーンも。
(最後に「これはフィクションです」のコメントあり)




さすがに北海道出身だけあって、雪の降っているシーンは数え切れないほどあります。

「雪っていうのは…こう…女のイメージだと思わないか?」というセリフで始まるのは「1月にはChristmas」。順正が働く靴屋に、ちいさな女の子(実は大学生)がやってくる。
ラストシーンも雪。冒頭のセリフを言った仲間に順正が「なんかそんなようなこと言ってなかったっけ?」と聞いても、友人のほうはすっかり忘れてしまっている。

どことも知れない雪深い街が舞台なのが「街も星もきみも」。

「センチメンタルリング」は、大雪の中、落とした指輪を捜すリカに中年夫婦が声をかけるシーンで始まります。3人はやがて通りかかった女の子に「雪ダルマがみっつ動いてる」と言われてしまうまで、夢中で指輪を捜し続ける。

「おいしい関係」の冒頭は、スキーの授業におそれおののくたまこちゃんの姿。
その後、コーチをムリヤリ説得して休憩所でコーヒーを飲む彼女の「あの絶壁の上で、もう二度とこういうあったかさにめぐりあえないんじゃないかと思っちゃった」というセリフ、運動神経のない私にはよーくわかります…

「うちのママが言うことには」のけいとの両親は雪かきが縁で結ばれました。
また、北海道の英太郎の実家にハイヒールを履いていったけいとは、雪のせいで何度も転んでしまい、彼女とは知らない家族たちの注目を浴びるはめに。

「美代子さんの日記」は、姉妹の母親・美代子さんが雪かきの途中、屋根から落ちたことが事件の発端。娘に発見されたときは、ホラー映画のワンシーンのように雪の中に埋まっています。

いかにも乙女チックな小道具として雪が使われたのが「おいてけぼりの冬」。
この作品ははじめから終わりまで雪が降っているのですが、主人公の気持ちによってその描かれ方は様々に変わります。
教育実習生を好きになってしまう主人公。しかし、どうも彼は自分の友人に気があるように思える。ふとしたことで先生におんぶされるはめになった彼女は、「雪が雨みたいに音をたてて降ってくれたら…雪じゃしずかすぎてあせってる音がひびく…」と自分の胸の鼓動に戸惑う。
ラスト、「明日の朝はやく、校庭の雪像をよーく見てほしいんだ」と言い残して去って行く先生。さて、雪像にはいったいなにが…

(01/09/17)



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