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事典その1





「ふくれっつらのプリンセス」は、雨の中やってきた牛ちゃんがはじめに別れを告げるシーンで始まります。傘には穴、トラックには泥をぶっかけられて、彼の機嫌は最高に悪かった…そして、我にかえったはじめは「雨におぼれて死のうか」とザーザー降りの空を見上げて思う。
次に牛ちゃんが訪ねてきたときも、空は雨。俊さんと鉢合わせしたこともあり、さっさと帰ろうとする彼を追ってはじめは空港まで見送りに。二人を乗せたバスが雨の中をゆく姿は寂しく…

「週末のメニュー」では、たまこちゃんの勤務中に台風がやってくる。音吉兄の部屋に避難しようとした彼女は、今日子さんを支えるように帰ってきたコーチと出くわしてしまうのでした。それでも、雷の中なんとか帰宅したたまこちゃんがお店を休んだ次の日、ケーキを持ってお見舞いに来てくれるコーチ。
また、たまこちゃんが店を移ると決めた日にも雨が。彼女を引き抜いた女性(実はコーチの母親)に言わせれば「雨の日って決心しやすいのかもね」とのこと。そこにコーチと今日子さんが加わり、4人は雨の音を聞きながら気まずいディナーをとるはめに。
そして、レストランを飛び出した今日子さんを追って出て行くコーチ。雨の中、懸命に彼女を捜しているだろう男たちのことを考えて、たまこちゃんは寂しい気持ちになります。


うんこ

「森子物語」の桃ちゃんが初めてしゃべった言葉は「うんこ」。
どうやら本人は「森子(しんこ)」と言っているようで…
森子は「こっちの世界にもいいことってあるんだな」と喜びます。

「うちのママが言うことには」の拓子先生の家の庭ではうんち騒動が。
考え事をしていたけいとが素手でネコのうんちをつかんでしまい、思わずぶん投げたところ、金田一さんの「命より大切な原稿」に命中…
「犬のうんちがついたーっ」とわめく彼女を拓子先生は「落ち着いて、ネコのうんちよ」となだめますが、当然ながらまったく効果なし。失神してしまいます。

ぶりぶりと何度もうんちをしてくれたのは「月と雲の間」のるっちゃん。
自分でオムツの後始末ができるようですが、さすがにまだ小さいだけあって、新しいオムツにすぐうんちしてしまいます。




駅の喧騒ではじまるのは「乙女坂戦争」。
一緒にいるとウツが増幅される柊子と大藪くんは、電車ひとつ乗るにもすんなりいかない。憎まれ口の応酬のあげく、柊子は目的地で降りられず電車に取り残されてしまいます。

「きみが来るまで東京駅で待ってる」と言ったのは「ガラスの花束にして」の隆志くん。
彼の寂しさを知ったはじめは放っておくことができず「見送りに」駅へと向かうが、電車の中にひきずりこまれてしまう。
しかしすんでのところで意外な救いの神が…

「森子物語」で、自分の家庭の事情を知って家を飛び出した森子は駅へ向かいます。
するとそこには、家出したはずの東山くんが。次々と電車が行き交うホームで、彼は森子に自分の心境を話してくれる。森子は電車に乗るのをやめ、「あした学校に行けば東山くんがいる」、そんな生活を続けていこう、と心に決めるのでした。

駅前で両親の帰りをいつも待っていたのは「昔 赤いレンガの道で」の姉妹。
やがてオトナになり、両親がいなくなっても、妹のほうは「誰かがやってくるような気がして」ずっと待ち続けていました。

「街も星もきみも」のカムも、誰もいない駅のホームで、トオルが追っ手を撒いて来るのを待ちました。トオルの買ってくれた小箱ひとつ持って。


音楽

「ステレオから流れてくるメロディーは きっと大好きなペリー・コモ」という主人公のモノローグで始まるのは「チャイ夢」。
こんなふうにあったかいお茶やランプを夢想している彼女の現実はというと、クリスマスイブの日に家賃滞納で下宿を追い出され、路頭に迷っているところ。
ちなみにペリー・コモは「テンプテーション」など数々のヒット曲で知られる、アメリカの国民的歌手。今年(2001年)の5月に亡くなったそうです。

「6月・雨の降る街から」では、大田さんと八王子さんのクラスがピクニックに出かけるとき皆でサザンの「私はピアノ」を歌います。
その後、クラス委員の選挙で自分が選ばれた理由を知ってしまった大田さんは思わず「あたし、八王子さんといると楽しくない!」と叫んでしまう。
そこに雨が降り出し、二人は泣き顔に。結局、男子生徒が再び「私はピアノ」を歌う中、手をつないで帰るのでした。

「ふくれっつらのプリンセス」のラスト、ずっと好きだった牛ちゃんが結婚したことを知り、ショックを受けたはじめは北海道から俊さんに電話をかける。話の最中、思わず受話器をがちゃりと置いてしまうはじめ。そのとき、誰かのラジオから流れてくるのは大滝詠一の「恋するカレン」。彼女に好きな人ができて、ふられてしまった男の歌です。「ふられるとわかるまで 何秒かかっただろう」という詩を聞いて、はじめは「なんてバカなんだろう、あたし」と涙を流す。
ちなみにこの曲は、高橋真梨子や稲垣潤一もカバーしています。

「えんじぇる」で、朝食のときまったく喋らない夫のためにBGMでも…とスウが立ち上がったときに聴こえてくる隣人の歌声は、バーティ・ヒギンズの「哀愁のカサブランカ」。郷ひろみがカバーしたあの曲です。
ちなみにこの後彼女は、「あんなヘタな歌より楽しいレコードを…」と、「ドロの中からはいずり出したカエル」が云々、などという曲をかけてしまう。(これは創作だよね?)
さらに後日、町で「哀愁のカサブランカ」のレコードをみかけたスウは、そのロマンチックな歌詞を知り「自分たちももっとステキな出会いをしていればなあ…」と思いをめぐらせます。

「アルフィーや尾崎豊」「島倉千代子ベストヒット」などのカセットテープを車に常備しているのは「うちのママが言うことには」の英太郎。(念のため、連載時1989年)
ダンディな木下先生のお宅にお邪魔した帰りということもあり、けいとは「こうやって…人はおじさんになってゆくのかしら」としみじみ思うのでした。


階段

「まるでシャボン」の世津子がひとり暮らしを始めた部屋は、ものすごい階段を昇ったところにあった。引越しを手伝ってくれた羽賀さんは、世津子が投げた上着を取り損ねて階段から転がり落ち、ケガをするはめに。
しかし、彼を病院に送って行った世津子の運転があまりに乱暴だったことが縁で、二人はドライブの約束をする。

長い長い階段の画ではじまるのは「雲の名前」。主人公・似季の母はかつて、その階段を昇ったまま姿を消した。「のぼっちゃだめよ、帰れなくなるから」と娘に言いながら。
やがて大人になった娘は、階段の天辺にはごく普通の家族が暮らしていることを知ります。
(ちなみに、この作品にも、原稿を取りに来た編集者が階段から転げ落ちるシーンがある)

同じアパートに住み、同じ職場で働きながら心を打ち明けあう機会のなかった「花咲く森の乙女」の二人は、階段ですれ違うときだけ挨拶を交わしていました。


カメラマン

「となりの住人」で引っ越してきた主人公の隣に住んでいるのは一風変わった男。カメラ片手にいろんなものを追い回すので、近所の人にヘンな目で見られているが、実はカメラマンなのでした。
(ちなみにこの彼、岩館作品には珍しく方言でしゃべる。「関西弁と標準語のちゃんぽん、北海道弁も混じる」らしい)

「チャイ夢」で桃子を自分の家の下宿に運んできた昇もカメラマン。こちらはモデルの間に親衛隊らしきものがあるほどモテるようです。


汽車

汽車に乗って北海道まで逃げてきたのは「シルエット」の二人。
騙されていたことを知りショックを受けた弟は飛び出していくが、疲れ果てて眠ってしまった彼の顔を見ながら姉は「朝になったら、またいっしょに汽車に乗りましょう」と心の中で思う。

「夜汽車に乗って」にはタイトルどおり夜汽車が出てきます。
花ちゃんが出会ったのは、「夜汽車に乗るのが似合う」お姉さん。彼女と母親を乗せた汽車は、夜の森をくぐり抜けて走ります。花ちゃんは目をまんまるくして見送るのでした。


ケーキ

おみやげにいつもケーキを持ってきたのは、「遠い星をかぞえて」の庄介おじさん。しかしふたみの家族にはいつも邪険にされ、「ケーキのせいで太った」などと文句を言われる始末。
数日後、おじさんの家にやってきたふたみちゃんにもケーキが振舞われる。舞い上がった庄介おじさんは「ケーキのときはお茶に砂糖は入れないの」という彼女の言葉を受けて、「こんどからおじさんもそうしようっと」と決めます。

「紫陽花の陰に猫はいる(五番街を歩こう)」の主人公は料理研究家。
仕事のほうは順調だが、夫婦の関係に思い悩む彼女は、夜中に突然起き出してケーキをいくつも作ったりする。

「白いサテンのリボン」の主人公が「どうしても欲しい」と執着するドレスは、おばあさんのもの。かつて、5人姉妹で同じ人を好きになってしまったおばあさんは、大きなケーキを焼いて「ひとつだけ毒の入ってないのがあるわ、生き残る一人が彼と結婚できる幸運な人よ」と姉妹に勧めた。
この話を聞いた彼女はなぜか動揺し、「汚い言葉で傷つけあうくらいなら、あたしも同じことをしたかもしれない」と考える。


下宿

「初恋時代」2巻の副題は「先生は下宿人」。もっともこれは、たまたま部屋の空いていた主人公・いずみの家に、担任の先生がやってくるというもの。少女漫画のお約束として、かっこいい先生には親衛隊がついており、先生との仲を疑われたいずみは皆に問い詰められる。

「グリーンハウスはどこですか」の舞台は北海道の森の中にある下宿屋さん。
町からはだいぶ離れたところに建っており、方向音痴の理津はなかなか道を覚えることができない。

路頭に倒れていたのを下宿に運ばれたのは「チャイ夢」の桃子。
そこはつるぴか頭のおじいさんが経営しており、たまたま諸事情が重なった彼女はなんとか置いてもらえることに。

「まるでシャボン」の世津子の家も下宿屋さん。絵で見る限り、緑に囲まれた瀟洒な洋館です。
かつて彼女のボーイフレンドだった神島くんが住んでいた部屋に、サラリーマンの羽賀さんがやってきたことから、物語がはじまります。

(01/09/17)



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