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ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー #230
ゾンビインワンダーランド (Wii)

購入金額: 800円

ゲーム内容
Wiiウェア(ダウンロード)専用のゲーム。
世界の良作を配信する「ワールドゲームパレード」の企画にのっとり、イタリアのソフトハウスが開発した。
ゲーム的には「ブラッドブラザーズ」「NAM1975」に似ており、真新しさは無いが、萌えキャラと不気味な雰囲気のミスマッチが特徴。

H.Kuwanoの考察

1.見た目とは裏腹にハードなアクションシューティングゲーム

本作は見た目はかわいらしいものの、ゲーム内容は結構ハードだったりします。

主人公は桃太郎やアリス、白雪姫といった童話の主人公で、何故か「萌えキャラ」化しています。
それよりも「何故か」というべきは、みんなサブマシンガンで武装しています。
そうです、このサブマシンガンでゾンビを殲滅するという3Dシューティングゲームなのです。
個人的には、シンプルシリーズの「メイド服と機関銃」を思い出してしまいました。

それでゲームの内容というと、制限時間が0になる前に、清浄率(?)が100%になるようゾンビや障害物を銃器で殲滅するというものです。
全部で12面あり、4面ごとにボスが出てくるようになっています。
画面は3Dで手前にプレイヤーとなっており、ヌンチャクの方向キーでプレイヤーを左右に動かし、Wiiリモコンで照準を合わせてリモコンのトリガーで射撃します。
武器は切り替え可能で、弾数制限のあるヘビーマシンガンと火炎放射器があり、ヌンチャクの下側のトリガーで切り替えられます。
また、ヌンチャクの上側のトリガーと左右で側転し、緊急回避することも可能です。
知っている人にとっては、このゲームは「ブラッドブラザーズ」「NAM1975」「ワイルドガンズ」「罪と罰」に似たシステムのゲームと考えて良いでしょう(余談ですが、Wii版「罪と罰」は本作と発売時期がかぶってしまいました)
これらのゲームを、Wiiリモコンの照準操作によりもっと遊びやすくしたゲームといった印象です。
逆に古臭いゲームと感じる人もいるかもしれませんね。

ゲームの世界観としては童話の世界なのでほのぼのとしていますが、その中に大量のゾンビが出てきます。
しかもやられ方とかが結構むごくて、腹から内臓を見せたり腕が吹っ飛んだりします。
これってCEROのレーティングはどうなんでしょうか?

このようにメルヘンとゾンビの違和感が特徴の本作ですが、特に1面の桃太郎ステージが見所です。
桃太郎の歌をアレンジした、謎の大正歌謡(正直暗くて不気味だが頭に焼きつくこと必至)をBGMに、何故か駄菓子屋から始まります(説明では、桃太郎(フリーター)はお供に与えるためにきび団子を駄菓子屋に買い来たということです)。
ゾンビを倒しつつ駄菓子屋を破壊すると、何故かちょっと古い感じの商店街が出てきます。
古いといっても電柱が立っていたり軽トラックがあったりと、BGMの時代よりは進んでいます。

ただ、ゲームバランスがそれほど良くなく最初のボス(桃太郎のお供の三位合体)が異様に強いのと、1面以降のステージが1面ほどインパクトが無いことがあって、ライトユーザーが途中で投げ出したり、ヘビーユーザーがモノ足りない気分になるかもしれません。
しかし、これだけでも800円の価値がある、と思える人も多いとは思います。

余談ですが、僕がこのゲームを買おうと思ったのは、洋ゲーなのに日本らしい等、色々考えさせられるところがあったことと、「ワイルドガンズ」「罪と罰」などをプレイしてきて、このジャンルのゲームを久々にやりたかったということがあったからです。
そのため、「トメナサンナーWii」よりも価格に納得しています。
また、プレイヤーキャラの中にバニーガールらしきキャラがおり(シルエットなので分かりませんが)、AKFさんが購入をケツイしたのもメーカーにとっては朗報です。

 

2.本当に洋ゲーなの?

本作は、キャラクターデザインを見る限りはとてもスペインで作られたゲームには思えません。
メンバーの中から、実は日本で作ったとか、日本に持ってくる際にキャラクターを替えたとか、いろいろな意見が出されていました。

メーカーのホームページに制作者インタビューがあったので見てみると、「日本の販売元からオファーを受け、制作していったが、絵(萌えキャラ)は本場には適わないので日本の絵師に依頼した」ということです。

オーバーに表現すると、このゲームは「日本の販売元が外国メーカーに外注して作らせた」というようにも見えます。
実際、制作に日本側の拘束が無かったと思いますが、日本人に合うようにするためか、自身が日本好きだったのか、日本を意識して萌えキャラや日本の風景を使用したのでしょう。
なんというか、「ダイナマイト刑事EX」に近いものがあります。

ワールドゲームパレードのコンセプトは、世界の名作を日本の多くのゲーマーに知ってもらいたい、ということもあったと思うのですが、これでよいのか、と僕は思ってしまいました。
一方、もう一つのコンセプト、洋ゲーを食わず嫌いせず、世界のゲームを知るきっかけとしてほしい、ということには、このゲームは十分役割を果たしたと思います。
この活動により、ユーザーもメーカーも、世界間の垣根が低くなったと思われます。


関連情報

ブラッドブラザーズ

1988年にアーケードで出た擬似3Dシューティングゲーム。
画面手前(下)のプレイヤーと、連動する照準を操作し、画面奥(上)の敵を殲滅していく固定画面の撃ちまくりシューティングゲーム。

NAM1975

1990年にネオジオで出た擬似3Dシューティングゲーム。
ゲーム的には「ブラッドブラザーズ」とほぼ同じだが、緊急回避を頻繁に使用しないと生き残ることは難しい。
生々しいキャラの動きや演出など、戦場らしさが話題となった。

ワイルドガンズ

スーパーファミコン末期に出た擬似3Dシューティングゲーム。
ゲーム的には「ブラッドブラザーズ」や「NAM1975」とほぼ同じだが、ジャンプや投げ縄、ボム等、行動が広がった。

罪と罰〜地球の後継者

ニンテンドー64で出た3Dアクションシューティングゲーム。
片手で銃(照準と射撃)と剣、片手でプレイヤー(移動、緊急回避、ジャンプ)を操作するという、コントローラーの特性を活かした操作方法が特徴。
難解なストーリーも売り文句となった。
Wiiのバーチャルコンソールでも遊べるようになり、さらに2010年にWiiで続編も登場した。


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