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ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー #212
新宿の狼 (PS2)

購入金額: 1480円箱説付

ゲーム内容
いわゆる「喧嘩番長」の刑事版といったアクションアドベンチャーゲーム。
タイトル通り舞台が新宿で、グラフィックは少々貧弱ながら街並みの再現度は高い。
「喧嘩番長」譲りの自由度の高さも特徴で、「俺法システム」により誰にでも罰金や拘留の刑罰を言い渡すことができたり、服装や髪型を変更したりすることができる。

H.Kuwanoの考察

1.よく販売できたな。

このゲームは、いろんな意味で、よく販売できたと思います。

このゲームは、もともとは別の会社の企画のゲームだったようです。
それが開発休止になってしまい、本作の販売元が企画を復活させ、既存の「喧嘩番長」のシステムの上に乗せて発売したものと思われます。
おそらく開発元では、「喧嘩番長2」の自由度を超えるゲームを作りたかったのだと思われます。
テーマはどうするか、と思って、この開発休止となったゲームの企画を掘り起こしたのだろうということです。
そのためか、本作は新品でも4800円と、非常に低価格で買うことができます。

一方、値段が安いためか、お世辞にもクオリティは高いとはいえません。
グラフィックについてはいろんな所で言われていますが、アクション部分もちょっと、と思いました。
個人的には最初のチュートリアルのキャラクターの動きで萎えました。
ほかにも、重要なつかみ動作が○と□の同時押しだったり(よく違う操作になる)、緊急回避が出し難くて連続技を食らったり、操作性もかなり難があります。
ストーリーはまあまあですが、ムービーシーンで犯人が逃亡しているのに、次のシーンは犯人との格闘シーンになったり、ゲームとの繋がりに疑問を感じることも多くありました。

 

また、倫理的に問題なことが平気でできてしまいます。
罪のない通行人を殴るのはもちろん、今回は拳銃やバズーカで撃つこともできてしまいます。
しかも主人公はヤクザやギャングではなく警視庁の職員ですから、問題なかったんでしょうか?
AKFさん曰く、このゲームで「警視庁」という単語が出てきますが、「これ使うのヤバイんじゃないか?よく警視庁からクレームつかなかったな」といっていました。

また、車の概念が追加されたのはいいのですが、自分で車を買うよりも、一般車両を拝借するというのがほとんどで、マズイんじゃないか?と目を疑いました。
しかも拝借というのは、運転手を無理やり引きずり降ろし、運転席を乗っ取るというものです。
(降ろされた一般市民は道路に投げ出され、そのまま他の車両に轢かれることがほとんどです)
しかもそのペナルティが始末書一枚という、軽いものです。

車でもっと問題なのは、法律に反する行為が平気でできることです。
警察なので、赤信号を無視したり、反対車線を走ったり、車を乗り捨てても問題ないです。
なぜか一般車両や建物に衝突しても無罪(車両を破壊すると始末書が増える)。
さすがに人を轢けば始末書がかなり増えますが、それでも始末書だけで済みます。
そのため、歩道や繁華街を、人をなぎ倒しながら走る、なんて現実では決して許されないこともできてしまいます。
(ちなみに走行中に車を降りて、車だけを突っ込ませた場合は始末書になりません。
 これって自動車テロなのでは…。)
あの秋葉原の事件を想像した人は、僕だけではないはずです。

 

とまあ、このように、いろいろな難関がありながらも、よく販売できたと思うわけです。

 

2.ゲームが好きなお子様達へ

本作は「龍が如く」に似ているところが多いのですが、ゲームのコンセプトが違います。
「龍が如く」は「ゲームに飽きた大人たちへ」というキャッチコピーで宣伝していましたが、本作は「ゲームが好きなお子様達へ」という感じに、ターゲットは正反対です。

まず、このゲームはストーリーで魅せるというものではなく、その自由度を楽しむ方に傾いています。
ですので、ゲームにあまり興味がない人は、最初は何をやっていいのか分からない、またはモチベーションが維持できない、という可能性が高いです。
一方、RPG慣れしているゲーマーだったら、ゲーム本編を無視して、暴力団と闘って強い男を目指したり、通行人を捕まえて罰金でお金を稼いだり、始末書を貯めて逃亡生活を送ったりと、いろいろ楽しめる内容になっています。

また、このゲームはストーリーは一本道ではなく、結構バッドエンドになってしまうこともあり、何度か繰り返してプレイしたり、戻されたりすることもしばしば。
あまりスムーズに進められるとは言い難いです。
また、 体力がなくなるともちろんゲームオーバーになります。
「喧嘩番長」と違ってアイテムや実績が保持される「コンティニュー」ができるのもいいのですが、これは使ったアイテムまでそのままなので、かえって厳しくなることも。
場合によってはハマリもあるので、その場でコンティニューできる「龍が如く」よりもこっちの方が厳しいです。

このように、このゲームは結構時間がかかります。
そういう意味で、あまり時間のない大人がプレイするにはちょっと厳しいのではないかと思います。
だからといって「お子様」というのは極端ではありますが、時間がある人でないとつらいんじゃないかと思います。
(犯罪行為ができるので、本当のお子様にはやってもらいたくありませんが)

 

3.厳しい評点

本作はインターネットのうわさでは、とあるゲーム雑誌でとても評判が悪かったらしいです。
理由は分かりませんが、なぜか一人だけ普通な点数をつけたらしいです。

このゲームをプレイした後にメンバーにこの話をした所、メンバーからも、「高い評点をつけた編集者は誰?」「このゲームに低い点数をつけた編集員は、ゲームを見る目がない。」と憤りに近い、厳しい意見がありました。

確かに、ゲーム内容を見ると、グラフィックは確かによくないものの、それはロードを減らして快適にプレイさせるための工夫であり、ゲーム的にはよい方向に働いています。

しかし、僕は倫理的な面で、このゲームには高い点数をつけ難かったのだと思います。
このゲームは、いわば「国産GTA」と言われても仕方がないものです。
考えようによっては、このゲームはZ区分であってもおかしくありません。
このゲームを小さいお子様がプレイして、現実に危険な行為をしてしまったら、ゲーム業界や社会的に大きな問題になります。
このため、このゲームにはゲームの出来云々ではなく、倫理的な問題があるため、低い点数にならざるを得なかったんだと思います。

まあ、我々にとっては、そんな点数なんて関係ないんですけど。

 

4.総評:喧嘩番長シリーズ好きにはいいが、一般向けではない。

本作は、「喧嘩番長」シリーズの自由度・バカゲー加減が好きだった人にはオススメできます。

残念ながら、PSPで出たナンバリングタイトル、「喧嘩番長3」は前作ほどはヒットしなかった模様です。
発売数週間で、中古やワゴンセールが頻繁に見られました。
僕は「喧嘩番長3」はやったことはない(見た目でスルーしてしまった)のでこんなことも言うのも申し訳ないのですが、ハードの性能が落ちたということだけでなく、自由度が前作より下がってしまったことが原因なのではないかと思われます。

一方こちらの方は、より自由度が増し、しかも低価格ということなので、オススメできます。
特に

ただ、購買意欲が沸かないパッケージ、しょぼいグラフィック、ややこしい操作性、サクサクとはいかないゲーム展開など、一般の人にはオススメできませんね。

名言

俺が法律だ!

本作の主人公、三上英二の口癖。

攻略情報
逃亡者モードは、始末書を稼がない。
逃亡者モードを達成しようとするならば、なるべく始末書が増える行為を避けながら車で広めの道路を周回すると達成しやすいです。

関連情報

喧嘩番長

本作のベースとなったアクションアドベンチャー。
憧れの番長を操作して自校を魔の手から守る内容。
ストーリーを無視して恋愛やケンカに明け暮れたり、服装や髪型が変更できるなど、自由度が高い。

龍が如く

本作に似たアクションアドベンチャー。
舞台が新宿など、似た点も多いが、こちらはヤクザの世界で、ストーリー重視の内容である。


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