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ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー #213
新・豪血寺一族-煩悩開放- (PS2)

購入金額: 2680円箱説付

ゲーム内容
アトラスの異色の対戦格闘ゲーム「豪血寺一族」シリーズの作品で、アーケードの「闘婚」をアレンジ移植したもの。
二段ジャンプや前後へのダッシュ、攻撃力2倍防御力半減のダッシュ攻撃など、シリーズの伝統を踏襲しつつ、必殺奥義などの技の追加され、より爽快感が増し、間口が広がった。
またあの「ボビー・オロゴン」がラスボスとして登場したり、ゲームをプレイするともらえる煩悩ポイントで、対戦で使えたりおまけを見たりカードを購入したりする要素が追加されている。
ナンセンスで笑える歌入りBGMは「豪血寺一族2」譲りで、「レッツゴー!陰陽師」は本作よりも有名。

H.Kuwanoの考察

1.何故陰陽師だけがヒットしたのか?

本作を語る上で欠かせないのは、「レッツゴー!陰陽師」という歌です。
ゲーム以上に有名になっています。

しかし、本作は他にも面白い歌がいくつかあります。
よく言われていることではありますが、「豪血寺一族はレッツゴー!陰陽師だけでない」、ということです。

・貧乏人間カネナイジャー
キャラクターは仮面ライダー風ですが、曲は戦隊モノの主題歌のような感じです。
歌詞はリストラで職を失った中年男性の悲哀を描いた、笑えない内容ですが、共感を覚える人も少なくないんじゃないでしょうか。
フルコーラス版の間奏の「負けてたまるかー!」の叫びと、左右に高速にパンチを繰り出す姿が印象的でした。
ステージの舞台の方も、結構動くし舞台から板が飛び出てくるのがアトラスチックに感じたのですが、PVの方はフルコーラスじゃなくて残念。
思わずバーゲンセールの元ネタ(西友?)を探してしまいました。

・秋葉三人娘
女性三人組が歌う、ちょっと昔の10台アイドル風な歌ですが、今となってはショップで流れる店内BGM風かな。
それぐらい、本当に秋葉原のパソコンショップで流れていてもおかしくはない歌です。
歌詞の内容はパソコンのオーバークロックをテーマにした内容で、自作パソコンを組み立てたことがない人にとってはマニアックな内容です。
歌のノリもそうですが、ステージの舞台の動きが歌とマッチして、実に良く動きます。
PVよりもこっちのほうが面白いです。
逆にPVは良くあるポリゴン美女の三人娘がマザーボードの上で歌うムービーですが、後ろに流れる秋葉原の風景の方が気になりました。
なんか「デスクリムゾン」みたいにビデオカメラを持って秋葉原を徘徊していたんじゃないかな。

・青春の格ゲー
80年台のグループサウンズという感じの曲ですが、なぜかのど自慢を思い出してしまいます。
歌詞の内容は格闘ゲームをプレイしにゲームセンターに行こう!という、このゲームにマッチした内容になっています。
ノリの良さはもちろんのこと、このゲームの主張がよく現れており、「ウマイ!」と思いました。
ステージではGパンにトレーナーという、オタクっぽい4人のゲーマーが歌詞にあわせて踊っているのですが、彼らの着ているトレーナーの「MSX(M8X)」という文字が気になりました。
また、ステージはまるで格闘ゲームの大会のようになっており、脇には対戦台が、正面背景には何かの格闘ゲームのプレイ画面が映し出されており、これも気になりました。

・小さなシアワセ
暗い女性が心の中を打ち明けるというような感じで、格闘ゲームには合わない曲です。
歌詞の内容は「ハンバーグ定食で大好きなフライドポテトを取っておいたら、店員に皿を下げられた」という、思わず「あるある」と心の中で頷いてしまった内容です。
ステージのほうは空中ブランコに座った歌手がギターを弾きながら歌っており、画面をスクロールすると画面に追従して空中ブランコも動きます。
まるで「豪血寺一族2」の才蔵ステージみたいですね。
そのときに歌手の女性の長い髪がなびいているのも細かいです。
叫ぶところでは髪を振り乱して大きな口を開けていて、オーバーアクションです。

・素晴らしきインタアネツト
大正時代か昭和初期の歌謡曲風の歌です。
歌詞の内容はインターネットで知らない人と通信という、歌より数十年進んでいる現代の技術についてです。
凄いと思うのは何といってもこんな曲も作れるこのゲームの作曲者。
Nさんは才能の無駄遣いと言っていますが・・・。

・忍び愛
いわゆる80年代のムード歌謡です。
歌詞の内容は5年に一度の格闘大会で、二人の男女が拳で愛を語り合うというものです。
舞台で殴り合いを始める男女の歌手も笑えますし、ステージではトイレで寝てる酔っ払いや電卓を叩いているマスターなど、なかなか細かいです。

・デブメタル
デブが叫び散らすヘビメタです。
歌詞の内容は「デブで悪かったなぁ」の一言に尽きます。
ステージでは土俵が舞台で、脇に力士が拳を振り上げて何かを叫んでいます。

・サダ吉
といっても七番ではありません(古い)。
いわゆる宇宙人が歌う歌で、地球侵略をほのめかすような歌詞です。
ウクレレがメインの不思議系の曲に、ヘリウムガスでも吸ったような声で歌が入ります。
とにかく格闘ゲームにはマッチしないようなスローで眠くなるような歌です。
また、声が変調されているからか歌詞が聞き取り難いのも難点です。
PVも回転する地球を舞台に宇宙人がホンワカと踊る内容で、それほど面白いものではありません。

これだけ面白い歌があるのに、なぜ「レッツゴー!陰陽師」だけがウケたのでしょうか。
それは「PVの作りこみが抜きん出ていたから」であったと思われます。
このゲームには4つの歌のPVがありますが、この「」以外はフルコーラスではありません。
しかも陰陽師や坊主が歌って踊るという違和感が印象的だった、というのもあるでしょう。


 

2.初心者でもそこそこ楽しめるややライトな格ゲー

このゲームは最近の格闘ゲームと比べると、必殺技のコマンドがそれほど複雑でなく、基本操作でもそこそこ戦えるので、比較的初心者でも入りやすいと思います。
ダッシュ攻撃や二段ジャンプなど、アクションゲームをプレイしている人であれば十分に闘えます。
もちろん間合いや駆け引きといったものも必要になりますが。

ただ、バランスは悪いです。
特にボビーやシシーの技はラスボスだけに凶悪です。

またそのイロモノ具合から引く人もいると思いますが、ほとんどの人は笑えると思います。
婆さんが闘う姿や、相手の精気を吸い取って若返る様、妙なカッコをしたヒロイン(?)キャラ、実在する有名人でも挑発や必殺技で顔がでかくなる(空手道の技を体得した)ボビーなど、見所(笑いどころ)はたくさんあります。
舞台の背景で曲にあわせて振りをつけたりしているキャラクター達をみても、結構動きが細かいので、見ているだけで楽しめます。


 

名言

レッツゴー!陰陽師

本作で陰陽師ステージで流れる歌。
ビートの利いたノリの良いBGMに和風の節を付けた曲だが、歌詞の内容が陰陽師のPR、。
本作のミッションモードのある面をクリアするとPVを鑑賞できるカードが購入でき、このPVがニコニコ動画で流れてヒットとなった。

貧乏人間カネナイジャー

本作のあるステージの背景にいるキャラクターで、仮面ライダーのような赤いマフラーと風車のついたベルトを巻いた中年男性のサラリーマン。
そのステージの背景では戦隊モノの主題歌のような彼の歌が流れるが、歌詞の内容が悲惨なもので、リストラに遭って貧乏にされた彼が、家族のためにハローワークに通ったり、試食コーナーに通ったり、バーゲンセールに通ったりして闘うという、笑えない内容である。

やめてー!

本作のあるステージの歌付きBGM「小さなシアワセ」の途中に挿入される叫び声。
哀愁漂うギター一本の弾き語りの途中に入るエコーの掛かった叫びは、思わず笑ってしまう。

攻略情報
ボビーには二段ジャンプキック
ラスボスのボビーはうかつに近づくと隙の少ないふっ飛ばし技を食らってしまうので、間合いを取りましょう。
するとマジィ・パウダーを連発してくるので、それを二段ジャンプで飛び越してジャンプキックを当てます。
着地と同時ぐらいに相手がふっとばし技で反撃してくるので、それをバックダッシュで回避します。
これで半分程度は体力を減らせるでしょう。

関連情報

豪血寺一族2〜ちょっとだけ最強伝説

本作のシリーズの2作目にあたる作品で、アーケードからPSに一部変更されて移植したもの。
歌が入ったのもこの作品からで、やはり笑える歌詞が多い。
PS版ではBGMがCD音源になってパワーアップしているが、ロードが頻繁の起こるので注意。


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