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ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー #124
グランディアエクストリーム(プレイステーション2)

購入金額:1980円

ゲーム内容

セガサターンやドリームキャストで人気を博した「グランディア」シリーズの続編。
地導師(空間を自由に行ったりきたりできる職業)の「エヴァン」が軍の特殊部隊に入り、7人の仲間と共に精霊暴走(自然の荒廃)の謎を解き明かす。

本作はシステムや戦闘に力をおいており、これまでのシステム(主にII)をベースに、戦闘の難度アップや、ダンジョンの再探検、宝箱のランダム配置や自動生成ダンジョンなど、やりこみ要素を強化している。

名言

毒遺跡

あまりにも単純なネーミングセンスのダンジョン。
全体が植物っぽい緑色のダンジョンで、謎の植物が胞子を放出していたり、毒っぽい緑色の液体を放出している。

タルガール

街の酒場「タル酒場」のウェイトレス。
体に樽を身に着けているので「タルガール」という、これまた安直なネーミングセンス。

H.Kuwanoの考察

1.冒険ではなく探検

「グランディア」といえば初代から「冒険」にこだわるゲームでした。
街やダンジョンごとに異なる世界観や統一感、常に新たなものに挑戦していくストーリー、その中で成長していく主人公の心と愛…。

しかし、本作はシステムや戦闘に重点を置いてしまったためか、その「冒険」というものが薄れてしまいました。
そのプレイ時間の殆どがダンジョン内の敵・アイテムの探索に費やされるのです。
おかげで、心躍るような、わくわくするようなものを感じなくなってしまいました。

最近は僕も注意していますが冒険と探検は違います。
辞書をひくと、「冒険」は、「危険を冒して何かをすること」、「探検」は、「実際に現地に行って調査する 」こと、ということです。
英語だって、探検は「explorer」だし、冒険は「adventure」です。

 

2.わりと素早く作っちゃったんじゃ…

前作からの期間は2年ですが、ハードもDCからPS2に変わったし、ほぼ同時に前作のPS2の移植版も製作していたと思われるので、実際には開発期間は短かったのではないかと思われます。
少なくとも前2作よりも時間はかけていないような気がします。

効果音は殆ど前作からの流用ですし、ザコ敵キャラは殆ど前作のものと同じです。
もしかすると主人公のモーションあたりも流用しているかもしれません。
音楽も、一部前2作をそのまま使っている場所もあります(これはファンにとってうれしいのですが)

個人的に残念なのは、戦闘のチュートリアルが単なる画面写真の列挙に終わってしまっている点です。
個人的には、前作の実際に戦闘させるチュートリアルは「スゲー」と思っていたのに、残念です。

また、プレイしていくうちにストーリーにアラが目立つようになり、あまり練られていないような印象を受けました。

  • ゲーム中で仲の悪い仲間同士がいますが、何のイベントもなしにいつの間にか和解しています。
    せめて和解するときのイベントや、心の変化を描写した方が良いと感じます。
  • 急に主人公が、人の心の良さについて語るシーンがあります。
    あまりにも急に成長しすぎたように感じるので、やはりそれまでのプロセスが分かるように、主人公の心の変化を描写すべきだったと思います。

本作は戦闘・システム中心になったので、ストーリーには余り力を入れなかったんでしょうか?
それとも前作であまりにも引っ張りすぎたという感じがあったんでしょうか?

それでも、時間をかければもうちょっと良いストーリーを作れそうですが…。

 

3.システムは凝っているが、キャラの成長よりもスキルの成長の方が重要

本作はシステムに凝っており、成長システムが多彩で、アイテム集めランダムダンジョン探検など、繰り返しプレイできるように作られております。
しかし、 レベルが上がってもあまり強くなった気がしません。
それは「装備品偏重」にあると思われます。
装備するスキルや武器・防具の属性、それと敵の属性(耐性、弱点)が戦闘に大きく影響するようなバランスになっているのです。

レベルが低いキャラでも、装備するスキルが強かったり、敵に合った武器・防具・スキルを装備していれば、なんとかなってしまいます。
逆に、いくら強くても敵に合わない装備ではやられてしまうこともあります。

ただ、これが「RPGとしてダメだ」というとそんなことはありません。
そもそも、RPG=プレイヤーキャラを成長させるゲームという考え方が間違っていると思いますが。

 

3.高い技術力

本作の開発元「ゲームアーツ」は、もともと技術力をウリにしてきた会社です。
これは「シルフィード ザ・ロストプラネット」でも書きましたが、本作にもその技術力による小技が効いています。

まず感心したのは、DVD-ROMの読み込みが殆ど気にならないことです。
(比較対象がアレなのですが)「アンリミテッド・サガ」は戦闘になるたびに読み込むので、時にはフリーズしてしまうこともありましたが、本作ではほとんどDVD-ROMの読み込みを気にすることなく、ほぼシームレスに進んでいきます。

次に、戦闘中や移動中に、キャラクターが瞬きするようになったことです。
ほんとうにちょっとしたことですが、キャラクターを活き活きさせるのに役立っています。

そして、ランダム生成ダンジョン。
これがなかなか良くできており 、トラップや宝箱、敵の配置が考えられています。
しかも「不思議なダンジョン」以上に規則性がなく、しかも3Dのポリゴンでできたダンジョンを自動生成するのは、なかなか難しかったのではないかと思われます。

さすがにカメラ移動で効果音にドップラー効果がかかるのはやりすぎだと思われますが。

ただ、(繰り返しになりますが)前作の戦闘チュートリアルがなくなったのはちょっと残念。

 

4.ガングリフォンの影響

本作の開発元「ゲームアーツ」は「ガングリフォン」という、戦争ロボットアクションゲームを開発していました。
このゲームの最新作(現在)、「ガングリフォン・ブレイズ」の影響を多少なりとも受けていると思われます。

一番似ているのはタイトル画面前のデモ
「ガングリフォン・ブレイズ」とタイトル前のデモが似ています。
PRESS START BUTTON」や右上にタイトルロゴが出ていること、ゲーム中の画面がデモになっていることが似ていると感じたところです。

また、軍隊というものにスポットが当てられているのも「ガングリフォン」の影響があると思います。
「グランディア」でも軍隊や兵器は登場し、ゲーム後半になって目立つようになりましたが、本作では最初から軍隊が大きく登場し、さらには自分もその軍隊に加わる結果となります。

「ガングリフォン」ではレーダーが無くなったのに対し、逆に「グランディア」ではレーダーが付いたという進化の違いも面白いですね。

 

5.ミニゲームはイマイチ

グランディアシリーズには一部ミニゲームが入っており、Iでは甲板掃除、IIではもぐらたたき腕相撲がありました。
本作にもミニゲームは入っており、最近流行の音ゲーになっています。

ゲーム中で「音のかけら」を集めて音楽家の3人衆に持っていくと、次回楽曲ができます。
楽曲は数種類あり、以降これらの楽曲に合わせてボタンを押すというコンサートを開くことができます。

ですが、このコンサートの成功条件が良く分かりません。
右下の蓄音機から音符が出たら、タイミングよくボタンを押すと蓄音機の周りに音符がつき、連続で成功するとたまっていきますが、失敗すると全て消えてしまいます。
また、前作で出てきた「キャロ」がここで登場し、いわゆる「ダンサー」としてコンサートに参加させる ことができます。
ダンジョンなどで見つけることによって数を増やすことができ、さらには数種類あり、コンサート開始前に配置を決めます。

どのボタンを押せばいいのか、どのタイミングでボタンを押せばいいのか、キャロの配置はどう影響するのか、まったく説明がありません。
正直なくてもいいかな、と思いました。

ただし、音楽は「I」「II」の曲を流用しているのが殆どで、前作をやった人には懐かしく、前作を知らないひとには新鮮に聞こえるかもしれません。
こうした音楽が聴けるのが唯一の長所かもしれませんね。

 

6.手ごたえは十分なのに、安くなったのはなぜか

このゲームはこれだけ遊び応えは十分にあるのに、何故か中古ショップで安売りされています。
どうしてでしょうか?

 

一番の原因は、このゲームは「ルナ エターナルブルー」じゃないけど、まだ続きがあるのに途中でスタッフロールつきのエンディングが入ってしまう ためだと思われます。
エンディングを見るまでおおよそ50時間。
しかし、スタッフロールも終わって、セーブしたプレイデータをロードしなおすと、その後のストーリーの続きがプレイできる のです。
ある意味、ここからが本当の「グランディア エクストリーム」といっても過言ではない でしょう。
「あー終わった」といって、まだ続きをプレイせずに売ってしまった人も結構いたんじゃないでしょうか。

「ガングリフォン・ブレイズ」と同様に、やりこみ要素やボリュームを増やしたところで、スタッフロールを見たらすぐに、ゲームソフトは手放されてしまうのです。

 

次に考えられる原因はプレイ時間の長さと面倒くささです。
最初のエンディングを見るのであれば50時間ですが、それから先、完全にクリアするには100時間以上はかかるでしょう。
しかも、続きの50時間以上の殆どは、キャラを成長させるための戦闘や、ダンジョンをさらにもぐるためのザコ敵との戦闘に費やされるのです。

成長を考えると、ただオートにするわけにもいかず、直接命令してやらないといけない。
さらには必殺技や魔法を使うたびにアニメーションが入って時間がかかる。

面倒でしょう。
エクセレント(ノーダメージで勝利)で経験値が増えても、スキルの経験値は増えないし、増やそうとすると必殺技で止めを刺さなきゃいけない。
そうすると面倒くさくなって飽きちゃうわけです。

 

そして次に考えられる原因は、ファンをがっかりさせたことでしょう。
「グランディア」シリーズのファンのほとんどは、戦闘や成長のシステムではなく、世界観や冒険を中心としたストーリー、主人公の心の成長をうまく描いたことによって、「グランディア」のファンになったようです。
もちろん僕もその一人です)。

続編もストーリー重視のRPGを期待していたはず。
それなのに、システム重視でストーリーが薄いのはどうしたことか。

憤ったファンもいたのではないでしょうか。

 

7.まとめ

このゲームはランダムダンジョンやキャラクター育成など、いろいろやりがいのあるRPGになっています。
時間に余裕のある人や育成が好きなプレイヤーにはオススメです。

ですが前作のファンや、ストーリーを重視するプレイヤーは、前作のようなものを期待すると痛い目に遭います。
前作とは別モノ
と考えても良いと思います。

攻略情報

ちょっとした攻略情報

キャンセル第一

敵の攻撃をキャンセルすることは、このゲームの必須テクです。
このゲームは持てるアイテムの数や回復できる場所が限られているので、下手なダメージは避けたいところです。
どんなにコンボが強力なキャラであっても、クリティカルでキャンセルを狙ったほうが結果的にダメージが少ないことが多いです。

キャンセル属性のついた必殺技のレベルを早いうちにMAXにしよう

II同様、全てのキャラがキャンセル属性のついた必殺技をもっており、そのレベルがMAXになると、コマンドを入力した瞬間に技が発動します。
これを使えば簡単にキャンセル効果が狙えるようになります。
キャンセル狙いは特にボスに有効なので、これを使わない手は無いでしょう。

複数をキャンセルできる技をもつ「カーマイン」か「ミャム」をボス戦に連れて行こう

上記のキャンセル技で、「カーマイン」と「ミャム」が、直線状の攻撃ができます。
これを利用すれば、複数の敵を同時にキャンセルできるのです。
特にボスは体の部分が別の敵になっていることが多いので、これは助かります。
さらに彼女二人は回復の技も持っているので、よりボス戦で重宝します。

さらに「ブランドル」の叫びはボス戦でかなり有効

主人公キャラの一人「ブランドル」は攻撃力・防御力が高く、頼りになるキャラですが、全員に「ワオ」(攻撃力アップ)をかける必殺技「魂の叫び」がボス敵に有効です。
本作は能力アップの効果がかなり大きいうえに、全員に「ワオ」を一度でかけることは難しいので、結構ありがたいです。

逆に動きを止める技を持つ「ジェイド」「ティト」「ルティナ」はザコ戦で有効

エルフのような耳を持つ「ジェイド」「ティト」「ルティナ」は範囲内の敵を眠らせたり、マヒさせたり、動きを止める必殺技を持っています。
これはステータス異常の効きにくいボス敵よりもザコ敵に向いており、エクセレントやスキル経験値を狙うのに有効です。

攻撃力よりも「麻痺」「停止」の効果がついた武器の方が楽

本作の武器は攻撃時にいろいろな特殊効果がつくものもあり、中には敵の動きを止めるものもあります。
こうした武器は結果的にコンボでキャンセルが狙えるので、攻撃力よりも特殊能力で武器を選ぶと良いでしょう。
特に序盤では重宝しますよ。

終盤は回復能力のある防具を集めよう

エンディングを見終わると、さらに地下100階ものダンジョンが待ち受けています。
防具「英雄の胸当て」「天使のレオタード」は、防御力もそこそこありますが、なんと戦闘中に徐々にHPが回復していきます。
回復に制限のある本作では大変ありがたいですね。

クリア後のダンジョンでは、序盤でティトにアイテムを盗ませ、強力な装備を早いうちに見つけよう

エンディング後のダンジョンでは、これまで考えられなかった強力な武器や防具が見つかります。
その殆どは宝箱ではなく敵からもらうことが多い です。
そこで、アイテムを盗むことのできる「ティト」を使って 地下1〜5階で敵からアイテムを盗みまくりましょう。
「スペシャルアップ」「精神統一」のスキルを装備していると、容易にSPを回復できます。

「ステータスガード」と「修羅の魂」ははやめにレベルを上げておこう

ステータスガードは、眠りから即死までの全ての状態変化を防ぐ心強いスキルです。
戦いを有利に進めるためにも、全員が全ステータスを防御したほうが良いでしょう。
修羅の魂は、コンボの攻撃回数を増やす スキルです。
敵を倒すのに有利になることはもちろん、足止めにも使えます。
ただし、攻撃の回数が多い分カウンターになりやすいので、カウンター防御不動の魂のスキルを装備するといいでしょう。

サークルアタックとトリプルヒットの組み合わせは強力

トリプルヒットは修羅の魂のクリティカル版で、クリティカル攻撃を敵に当てると、それが多段ヒットします
修羅の魂とは違い攻撃回数ではなくヒット数が増えるので、カウンターを食らう可能性は低いです(攻撃前のスキはありますが)。
サークルアッタックラインアタックは、クリティカル攻撃が敵に当たると、そこから衝撃波が発生し、一定の範囲または直線上の敵にダメージを与える というものです。
この二つを同時に装備すると、衝撃波も数回発生し、周囲や直線上の敵にも多段ヒットさせることができます。

ラインアタックよりもトリプルヒット方がオススメな理由は、クリティカル攻撃後に逃げることができるためです。
他の敵が攻撃しようとこっちに近づいていきても、トリプルヒットの効果でサークルアタックの波紋が残っており、相手にダメージを与え、こちらは逃げることができます。
もちろん直接攻撃を当てた相手にはクリティカルによるキャンセルもあるので、誰か一人がこれを装備していると、戦いはかなり楽になります。
特にクリティカルの出が早いルティナがオススメ

関連情報

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