1.生きていたのか!!
1993年、メガCDで登場したこのゲームは、当時としては珍しい、家庭用ゲーム機で3Dポリゴンをふんだんに使用したシューティングゲームでした。
それが7年の月日を経て、プレイステーション2というゲーム機で続編が出るとは、夢にも思いませんでした。
もはや技術は進歩してしまい、殆どのゲーム機では技術的な制限はほぼなくなってしまったので、もはやこのゲームもなんらスゴイことはありません。
(正直プレイステーションでもできそうな平凡な(レイストーム、ゼビウス3D/Gなど)擬似3Dシューティングゲームです)
さらにはシステム周りも大きく変更され、旧作のファンの中には怒っている人も多かったと思われます。
しかし、MD版からシルフィードをプレイした僕にとっては、続編の登場を喜ばしく感じております。
さらに言えば、ゲームアーツのMDゲームで音楽を担当していた「メカノ アソシエイツ」が健在であったことに感激
しています。
(エンディングの音楽、実はMD版シルフィードのサントラから流用してるんだけどね)
この「メカノ アソシエイツ」はMD版シルフィードをはじめ、「アリシアドラグーン」「ぎゅわんぶらぁ自己中心派」「ファイアーホーク
テグザー2」「ゆみみみっくす 」等の音楽を担当していました。
CMのBGMなども作っているからか、ややテレビドラマやアニメっぽい、雰囲気に合った曲なんですよね。
2.実はトレジャー製作
ファンならご存知かも知れませんが、このゲーム、ゲームデザイン部分はトレジャーが製作しております。
トレジャーといえば、メガドライブやセガサターンで数々の名作ゲームを製作した職人メーカーであります。
同社が製作したシューティングゲームには、「レイディアントシルバーガン」や「斑鳩」があります。
スタッフロールを見ると、「レイディアントシルバーガン」の製作者が直接関わったわけではないようですが、この「シルフィード」は「レイディアントシルバーガン」の影響を結構受けています。
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ボス敵が1面に数回登場する
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ボスの爆発パターンが似ている
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カメラワークが似ている(特に自機発進時)
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レーザー兵器のエフェクトが似ている(特に攻撃判定が出る前に当たると光線がさえぎられるところ)
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残影の残る剣状の兵器を振り回すボス (PENTAまたは自機)
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円状に取り囲み反射弾を撃つ敵 (DAIKAI10)
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蛇状の体を持ち、胴体を破壊すると当たり判定が無くなり、尻尾と頭が固くてビームを吐き出す敵(NASU)
接近するほど高得点という「オメガファイター」をリスペクトしたスコアシステムも、トレジャーらしいといえますね。
あと、ゲーム中の音楽ももちろんトレジャーが製作しており、NON氏によるものです。
テクノチックなサイバーなフレーズを入れてくるあたりは氏らしい曲なのですが、残念ながらムービーシーンとのギャップがありすぎて、ゲーム画面の方のBGMが負けているような感じです。
(MD版でも「BGMが弱い」という指摘がありましたが、まさかそれも引き継いだんじゃないでしょうね?)
僕としては、音楽も「メカノアソシエイツ」にやってもらいたかったというのが本音です。
3.スコア稼ぎに意味をもたせる
最近のゲームプレイヤー全般は、コアなゲーマーを除いて「やりこむ」ことに無関心になっており、「クリアした」「全てのエンディングを見た」のであれば、そのゲームは終了となってしまいます。
「高得点を出す」ことには特に無関心になっており、なにか直接なご褒美がないとスコアを狙わなくなったようです。
トレジャーが同時期に出した「罪と罰」があまり振るわなかったのも、このことが原因でしょう。
残念ながら、このゲームもその一つになってしまっています。
前作においては、得点を取ることの意義は「ステージクリア後に新しい武器を手に入れる」以外にも「サブウェポンの使用回数を増やす」ということがありましたが、本作になってサブウェポンがなくなったため、もはや武器を手に入れることしかなくなってしまいました。
しかも普通にプレイしても序盤で十分武器が揃うし、新しい武器を手に入れてもそれが必ず便利とか強いということはないため、得点を稼ぐ必要性も薄れてきます。
せっかくの得点システムなのですから、それを生かすようなシステムにすればどうでしょうか。
例えば、
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コンティニューに回数制限を設け、スコアでコンティニュー回数が増えるようにする。
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シールドの回復量をスコアで決定するようにする。
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MD版にあったサブウェポンを復活させる。
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スコアに応じてシールドの上限を上げる。
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スコアに応じて各武器がパワーアップする。
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スコアの合計に応じてエンディングや展開が変わったり、スペシャルムービーなどのおまけが見られたりする
ただ、スコアを取らないとクリアできない「レイディアントシルバーガン」ほどスコア稼ぎを強要するのはどうかと思います。
「バトルガレッガ」「斑鳩」ぐらいの「点数が多いと残りが増える」程度にしないと、却ってとっつきが悪くなってしまいます。
ちなみにゲームアーツとカプコンが手を組んで製作した第一弾ソフト「ガングリフォン
ブレイズ」は、これまたセガサターンのスゴイソフトの続編なのですが、スコアに応じて階級やアイテムが増えるようになっており、兵器図鑑などのコレクション要素もあいまって、やりこみ甲斐のあるゲームになっていました。
(本作も前作ファンからの非難を受けただろうと思われますが)
4.メガレートボーナスの名前の理由
このゲームのスコアシステムの特徴として、敵に接近して破壊するほど、基本点数に倍率が上がる「メガレートボーナス」という名前のボーナスシステムが存在します。
「メガ」とは10の6乗なのですが、しかしゲーム内では1,2,4,8,最大16倍までしかありません。
「レート」はともかく、どうして「メガ」という名前なのでしょうか。
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「オメガファイター」へのオマージュ
「オメガファイター」とは、1989年に今は無きUPLというゲームメーカーが出した、アーケードのシューティングゲームです。
(UPLで有名なゲームといえば、「Mr.DO」「忍者くん」があります。本ページでは「アクロバットミッション」を紹介しましたね)
普通にプレイすればオーソドックスな縦スクロールシューティングゲームなのですが、このゲームを特徴付けるあるシステムによって、今でもハイスコアラーに愛されているゲームとなっています。
それは、「敵を接近して破壊するほど、基本点数に倍率が上がる」というシステムです。
そう、このゲームの「メガレートボーナス」と同じシステムですね。
つまり、この「メガ」は「オメガファイター」から取ったものなのです。
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「メガドライブ」へのオマージュ
このゲームの前作であるメガCD版では、メガドライブのゲームの最高峰とも言われたほどのゲームでした。
また、このゲームの製作元である「トレジャー」も元はメガドライブのゲームから始まっています。
プレイステーション2で続編をつくるときに、ちょっとでもメガドライブにちなんだものを残したいという意識があったのかもしれません。
さらに、倍率が2倍づつ上がり、最大が16であることもポイントです。
16という数字は、「メガドライバー」にとってはなじみの深い数字です。
というのも、メガドライブは16bitCPUを売りにしており、本体にも金色の文字で「16bit」と書かれています。
(このゲームでも、16倍のボーナスは金色の文字になりますね。)
5.技術屋の苦悩…もはやゲームはプログラムじゃない
このゲームや「ガングリフォン ブレイズ」をプレイしていてつくづく感じたことは、昔はあれだけ技術を誇示していたゲームメーカーも、すっかりなりを潜めてしまったということです。
もはやゲームはプログラムで差が出なくなったと感じています。
もちろん致命的なバグがあったりしたらたまったもんじゃありませんが、今となってはマシンパワーもかなり強力になり、細かな容量節約や処理速度アップもあまりゲームの評価にはつながらなくなりました。
技術的な制限がなくなった今、やはり「ゲームの本質はデザインである」という事実を再認識することとなったのです。
特に「ゲームを作りたい」という人にとっては、「プログラムができる」ということよりも、「人を楽しませるための面白いアイデアが出せる」ことの方が重要であるということを心にとどめておいて欲しいと思っています。
誤解を恐れずに言うと、「ゲームを作る」ことは「プログラムを作る」ことではないということです。
あと技術屋の抱える苦悩にはマネジメントの問題がありますが、それはまた別の機会としましょう。
6.総評
このゲームは、基本的な部分以外すっかりゲームシステムが前作と変わってしまっています。
「同じ武器を次の面で使えない」などといったストイックなところが好きだったファン(特にPC-88からのファン)にはオススメできません。
コアなシューティングゲーマーにもちょっと・・・。
そんなに上手いわけじゃないけど、ハイスコアに挑戦するのが好き、というゲーマーだったら買ってもいいと思います。
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