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ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー #115
タイムギャル&忍者ハヤテ(プレイステーション)

購入金額:580円

ゲーム内容

1980年前半にヒットした「LDゲーム」。
ゲームそのものは、映像に合わせて出てくる指示に従い素早くボタンを押す単純なものだが、レーザーディスクによる映像は、多くのアニメファン を虜にしたという。
その中でタイトーが発売した人気作「忍者ハヤテ」と「タイムギャル」をプレイステーションで復刻したのがこのソフトである。

それぞれを一枚のCD-ROMに収め、移植のみならず、各章や敵の名前を表示したり、BGMを追加したりと、ちょっとした追加がなされている。

H.Kuwanoの考察

1.映像が面白いのはこっち、ゲーム的、操作性はシェンムーのQTEの方が上

セガが発売した超大作「シェンムー」。
このゲームで登場する「QTE(Quick Time Event)」は、実はこれらLDゲームと中身は一緒 です。
画面の指示に従い、対応するボタンを押すというもの。
違いは以下ぐらいです。

  • ボタンの数が違う
  • LDゲームはムービーだが、シェンムーはリアルタイムポリゴン
  • シェンムーIIではコマンドQTE(一定時間に決まった順にボタンを押す)が登場

そのため、よくクソゲー・バカゲー関連誌ではシェンムーのQTEを「昔のLDゲームじゃん」と笑っていました。
確かにそうです。
(「忍者ハヤテ」の綱渡りのシーンを見て、思わず「シェンムーII」の板渡りを思い出してしまいました)。

二つを比較して、映像的に面白いのは明らかにこちら、LDゲームの方です。
この「タイムギャル」「忍者ハヤテ」は、初回プレイでは展開が読めず「エドワードランディ」のようにゼロ戦の翼の上を次々と飛び移ったり 、いきなりハングライダーで空を飛んだりします。
面白い映像として特に顕著なのはミスしたときの映像です。
シェンムーではミスすると「なんだまた最初からやり直しか、長いムービーを見なくちゃいけないのか」とため息が出てしまいますが、「タイムギャル」「忍者ハヤテ」の方はやられパターンが笑える ので許せてしまいます。
よく「タイムギャル」ではやられたときの2頭身キャラがかわいらしいということで、わざとミスしていた人も多かったと聞きますが、確かにそれもうなずけます。

しかし、操作自体はシェンムーのQTEの方が面白く、ゲーム性はシェンムーの方が上だと感じました。
特に本作では操作性に難 があります。
3択を間違うとミスになったり入力受付時間が極端に短い「タイムギャル」や、正確な斜め方向の入力が必要な(PSで正確な斜め方向はキツイ)「忍者ハヤテ」はなんとかならなかったのかと思います。
(元をプレイしたことがないので何ともいえませんが)
また、押す方向キーやボタンは光る物体を参考に押すのですが、紛らわしいものも多く、岩が光っているのか銃が光っているのか判断がつきません。
オプションで方向やボタンを矢印などで表示することもできますが、場合によっては光る物体よりも遅く表示され、初回プレイ時のミスはまず避けられません。
指示が無いものもあり、「ブレインデッド13」と違い間違うと即ミスになるので、繰り返して覚えないと辛いものがあります。

(ちなみに、光る物体はLDの映像内にあるため、何度プレイしてもパターンは一緒です。
 シェンムーは状況に応じて、同じ場面でも押すキーが変わることがあります。)

反面、シェンムーは全て押す方向やボタンは画面上に指示が出て、大概指示が出てから1秒以上入力を受けつけるため、よりボタンを押すことに集中できます。
(映像がそれほど面白くないからかもしれませんが)
極端なのがゲームセンターでプレイできる「エキサイトQTE」で、 音楽もなく背景が真っ暗な画面を、指定されたボタンを素早く押すだけ。
さらに、LDゲームの方はまるでアニメを見ているようなので、(感情移入?できないからか)操作している感じが無いと感じたからかもしれません。

そう、このゲームはプレイヤーが介入する場面が少ないので、キャラクターを操作している感じが沸かないのです。
まるっきりゲーム部分と映像部分が分離しているかのよう。
シェンムーはQTE以外にも自分で操作しているからか一本道じゃない(失敗しても違う展開になる場合がある)からか、キャラクターを操作している感じがあります。

こういったLDゲームで、「キャラクターを操作している」という感じを出させるには、以下のような対策が考えられます。

  1. 主観視点にする。
    割と単純な方法ではありますが、常に視点を主人公にあわせるようにすれば、より操作感が得られます。
    例えばコクピットから見た視点や、主人公の後ろから見た視点にするというものです。
    画面内のキャラから見れば右なのに、プレイヤーから見れば左だったというのでは、キャラとプレイヤーに壁ができてしまいますからね。
    シェンムーのQTEも、実は操作の要求される場面の殆どは、主人公の後方から見た視点になっています。
  2. 分岐を増やす
    全体が一本道だと、余計にムービーとゲーム内容が分離していると感じてしまいます。
    「ムービーの先を見るためのミニゲーム」になってしまい、アダルトDVDの麻雀ゲームと変わらなくなってしまいます。
    それを防ぐためにも、「これだけが正解、後は×」というのではなく、「こっちを押すとルートA、こっちを押すとルートB」のように分岐を作るのです。
    そうすれば、「プレイヤーの判断で展開が変わっていく」ということで、少しはプレイしている感じが出てくると思います。

正直今となっては、「タイムギャル」「忍者ハヤテ」は、無理にゲームにするよりも普通にアニメを見ていたほうが楽しいのではないかと思います。
(昔は「わっ、アニメが自分の手で動かせる!」といった感じに驚いていたのでしょうが)

 

2.ある意味元祖ギャルゲー「タイムギャル」

忍者ハヤテ」にはかわいそうなのですが、話題とされるのはやはり「タイムギャル」の方です。
なんといってもアニメファンを取り込んだギャルゲーとしては史上初なんですから。

「タイムギャル」との初めての出会いは、このゲームを買った所に近い、栃木県の宝積寺にあるゲームセンターでした(今は隣の建物にある「セイタイトー」かな?)。
ゲームセンターの窓に大きく張られた、緑色の髪未来っぽい赤いコスチューム当時ですらマニアックだなぁと思っていました。

そうして、92年ぐらいのマイコンBASICマガジンのスーパーソフトホットインフォメーションか何かで、このゲームのメガCD版が出て、名前が「タイムギャル」ということを知りました。
そう、「タイムギャル」は一度メガCDで移植されたのです。
ゲームの内容はBeepメガドライブの付録を後でもらって知りましたが、画面は小さいものの、やられパターンのコレクションがあるらしいです。
「タイムギャル」のツボを突いた良い仕様です。
それにしてもムービーを再生する技術はメガCDからあったなんてスゴイですね。
(ムービーを使わない「ゆみみみっくす」や「シルフィード」の方がもっとスゴイのですが)

そして10年後、僕は栃木県の仁井田にある田舎のゲームショップで、このゲームを購入することとなりました。
・・・確かにマニアックなゲームでした。
割と真剣勝負な「忍者ハヤテ」とは対称的に、いつも「キャハハ」とか「こっちこっち」とか楽しそうな声で、常にしゃべりながらぴょんぴょん跳ね回っている(にしてはすぐやられる)タイムギャルは、何故かプレイするたびに「なんか違う 」と思ってしまいます。
しかも、やられるとデフォルメキャラになって「おかーさーん」だの「ひでぶ」だの、ミスしても何の緊張感もありません。
タイムマシンを盗んだ犯人を時の団地に送る(ウソ、東方見文録ネタ)目的はどうなっちゃったの?

しかし、追加されたステージ間アイキャッチで出てくる絵がかなり・・・なのは何とかならなかったの?

 

3.やはりオールドアニメファンにオススメ

はっきり言って、ゲーム部分は殆ど楽しめません。
結局はやられつつ、次は右、次は上と覚えていくゲームなのですから。
オールドゲーマーならぬ、オールドギャルゲーマーやオールドアニメファンが、アニメーションねらいで買うのが良いと思われます。

ゲームと映像の分離はLDゲームの性(さが)かもしれませんが、同様に昨今のゲーム機で復活している「サンダーストーム」「ロードブラスター」(DECO製)はどうなのか、ちょっと気になりました。
たしかコクピットビューだったはずですよね。

関連情報

シェンムー…セガが社運を賭けて(?)作った超巨編ゲーム。ゲーム中のQTEはLDゲームそっくりである。IIIが出たままでストップしている。
サンダーストーム&ロードブラスター…データイーストが同時期に出したLDゲーム。こちらもPSとSSに移植されている。


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