1.なにもかもがB級
このゲームは当初(メガドライブ版、以下MD版)から、「B級ゲーム」と呼ばれてきました。
パッケージからしても、アメコミ調の絵でかっこよさげですが、良く見ると主人公が岡持ちとラーメンを持っていたり、栄養ドリンクを飲んでVサインしています。
「コージャ」「ダハネ」などの京急の駅名から取ったような地名、「ツルンソーメン」「ダイジョーV」といった腰の砕けそうなネーミングセンス、ほとんどジャンプキックしか使えない戦闘
など、「は?」と首をかしげたり、トホホと思えるようなところがかなりありました。
正直ゲームとしてはそれほど面白いものではありません。
それでも、ストーリーは充実しており、先の見たさにゲームにハマっていくのでした。
仕事の内容は、おつかいから犯人逮捕までボリュームがあり、仕事をこなしていくうちに、犯罪組織が浮き彫りになってきて、最後に驚くような結末が待っています。
また、「主人公の心の成長 」をテーマとしたストーリーは、時には家族愛も感じさせるようなハートフルなシーンもあり、良くできているといわれましあ。
僕がメガドラ版をプレイしたのは発売から5年ほど後でしたが、当時でもストーリーは良くできていると思いました。
以上より、このゲームは、「隠れた名作」とされ、特にセガファンには強く支持されました。
一般に知られるようになったのは、「ファイターズメガミックス」というセガサターンの3D格闘ゲームです。
このゲームはメモリ破壊…おっと「バーチャファイター」や「ファイティングバイパーズ」など、セガのAM2研のキャラクター達が繰り広げるお祭り3D格闘ゲーム、いわば「セガ版キングオブファイターズ
」なのです。
ちょうど年末に発売し、CMも流されて、サターンユーザーの多くはこのゲームを知っていました。
その中の隠しキャラの一人に、「レンタヒーロー」の主人公、「レンタルマン」こと「やまだ たろう」(スタート時に名前をつけないとこの名前になります)がいます。
しかもオープニングテーマに歌詞をつけ、歌が戦闘中に流れるのです。
この歌も「何とか事件は解決したが もらえる報酬雀の涙」など、トホホな歌詞の内容で、本作の特徴である「B級」を受け継いだ大復活を成し遂げたのでした。
今回も、B級のノリをそのまま引っさげて帰ってきました。
「あのB級が帰ってきた」というキャッチコピーから、もうすでにB級ゲーム決定
という運命。
「マックロソフト」「イモヨーカンドー」などのネーミングセンスも磨きがかかり、時代の推移に伴い、「セガサ・タンシロウ」などの思わずニヤッとするようなキャラクターや、「愛すべき友を持て」などのシェンムーのパロディーなども見られるようになりました。
しかし残念なことに、ゲーム内容までもB級のままでした。
2.B級シェンムー
このゲームのMD版は、オープニングが「ドラクエIII」か「FFII」に似ていたぐらいですが、ここまでおつかいに徹するRPGはかつてあったのだろうか、というほどのおつかいゲームでした。
良くRPGでは「自分の意思ではなく、人に何かを頼まれて、ただそれだけに従ってある所であることをして帰ってくる」ということを「おつかい」と呼んだりすることがありますが、このゲームではストーリーの進行が仕事を請けることによって進んでいく、本当におつかいをするRPGでした。
さらに出前や配達など、まるでヒーローらしくないイベントも多々ありました。
(最終的には他の人に頼まれたからというわけではなく、自分の意思で任務を果たすようになる(=成長)のですが)。
しかし、セガの出したおつかいゲームといえば、もう一つ有名なものがあります。
それは「シェンムー」です。
シェンムーには、「父親の敵を取る」という立派な目的があったのですが、マジメに進めていても、父親の友人宅を訪ねたり、港でアルバイトしたり、さらわれた原崎を救出したりと、寄り道ばっかりさせられます。
シェンムーがレンタヒーローをまねたのかどうかは分かりませんが、「おつかい」という点でまず共通点があります。
さらには、移動画面が3Dとなって、どことなくシェンムーににてきました。
時間の経過がない、街の人が少ないなど、できることは限られていますが、街のつくりもリアルっぽいところもあって、結構似ています。
戦闘シーンも3Dになって、よりシェンムーっぽくなってきました。
フィールドはある程度は制限がありますが、敵と出会った場所そのままで、自在に動けます。
シェンムーはパンチ、キック、投げの3つのボタンと投げ、そして防御のボタンがあり、十字キーとの組み合わせで技が出せますが、こちらはジャンプと攻撃ボタンで、攻撃ボタンの連打でコンボが出せます。
さらには必殺技ボタンがありますが、ボタンを押しっぱなしにして溜め、溜めた時間で必殺技が出せます。
そういえば、技を人から教えてもらうのも似ています。
シェンムーでは技をいろんな人から教えてもらいますが、このゲームではコンボパターンをセガサ・タンシロウ先生から教えてもらいます。
必殺技はMD版同様、SECAに寄付して開発してもらいます。
まあ、シェンムースタッフも協力していることだし、シェンムーのパロディも出てきますので、似ているところはあってもおかしくないんですけどね。
3.ユーザインタフェースに難アリ
このゲームはMD版や発売前の話題性に反して値段が安いと思いますが、その理由の一つとして、ユーザーインタフェースに難があるのではないか、と感じました。
どういった点が問題なのかをあげておきます。
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キーコンフィグがない
ダッシュがLトリガーのため、ダッシュ移動時は手が痛くなってしまいます(シェンムーでもそうですが)
さらにジャンプボタンが使いづらい位置にあり、戦闘時には殆ど使わなくなってしまいました。
説明書には「時間がなくてキーコンフィグがつけられなかった」とありますが、やや無理してでもキーコンフィグは欲しかったと思います。
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アナログスティックに対応していない
ダッシュ中などで斜め入力を良く使うので、割と十字キーだと疲れます。
「デスクリムゾン2」だってアナログスティックに対応してるんだから、せめて移動時ぐらいはアナログスティックに対応して欲しかったところです。
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アイテム選択時のキーリピートが利かない
アイテムがたくさんあるときに、いちいち↓キーを連続して押すのは面倒なことです。
いちおう次のページに送るボタンもあるようですが、画面上の説明にはなく、使いづらいものとなっています。
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変身中または変身前のステータスが見られない
MD版ではステータス画面で変身前と変身後の状態が見られましたが、DC版では、変身前は変身前のみ、変身後は変身後のみしか見られなくなりました。いちいち変身してHPを確認したりするのは面倒です。
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どこでもセーブできなくなった
MD版では「レンタヒーローブレスレット(RHブレスレット)」を持っていればどこでもセーブできましたが、DC版では自宅とSAVEという看板のある場所でしかセーブができなくなりました。
ただ、MD版はすぐにやられやすかったので、割とやられにくくなったDC版ではどこでもセーブできる必要性がなくなったのかもしれません。
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意図しない敵に対して攻撃してしまう
このゲームでは戦闘は殆ど十数人の敵と戦い、たいてい4人ぐらいに囲まれます。
方向キーを押すと、ある程度はその方向にいる敵を誘導して攻撃するのですが。
近くに二人いると、違う敵を殴りに行ったりして、横の別の敵から殴られたりしがちです。
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戦闘終了後にアイテムを拾えない
DC版になってからは敵がアイテムを落とすようになりましたが、敵を全滅させるとすぐに移動画面に戻ってしまいます。
おかげで、最後の敵がアイテムを持っていても拾えません。
DC版では、敵との戦いで得することはアイテムを手に入れることだけなので、これはちょっと辛いです。
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必殺技が使いにくい
必殺技は複数種類使えるのはいいのですが、どれを使うかはXボタンを押した時間によるので、ちょっと狙わないと違う技が出てしまいます。
技を使うとバッテリーを消費するので、攻撃の手を止めて狙っていかないと辛いところです。
すると敵からの攻撃を受けることになってしまいます。
それぞれにボタンを割り振ったり、コマンドで技を出すようにしたりすれば良かったのでは、と思われます。
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カメラワークがやや雑
このゲームでの移動は、シェンムーなどのような上で前進、左右で回転という操作ではなく、戦国TURBのような、画面に対応する方向で移動します。
そのため、後ろを押してもカメラが動かないため、画面手前に向かって歩くような感じになってしまいます。
さらには左右をおしてもカメラの回転がゆっくりと動いて、望んだ方向を向いてくれないこともしばしば。
また、位置によっては主人公がアップになったり真上視点になったりするため、ちょっと操作しづらいところもあります。
4.メガドライブ版と比較して
このゲームは「半熟英雄」(うわっ、こっちもヒーローモノだ!!)ではありませんが、あまりMD版と変わっていないような印象を受けました。
レンタヒーローといえばストーリーだと僕は思うのですが、残念ながらMD版と大筋は変わっていません。
ヒロイン「レンタヒロコ」の登場により、少しストーリーの展開が変わっていますが、むしろそれでエンディングが前作よりもつまらなくなってしまったのは残念
です。
受けられる仕事は選べるようにはなりましたが、本質的には一つで、他はお金稼ぎのおつかいでしかありません。
「スタークルーザーII」のように、ストーリーは一つでも選ぶ仕事がいろいろあって分岐すれば、もっと面白かっただろうと思われます。
戦闘シーンは、MD版よりは面白くなりましたが、あまり駆け引きとか奥の深さとかがありませんし、あまり得をしなくなりましたので、正直やっぱり飽きてしまいます。
前作ファンは戦闘シーンを期待しない方がいいと思います。
Hip-PP探しによるやりこみ要素もありますが、あまり集めても達成感はないかもしれません。
ドラクエの「ちいさなメダル」集めに熱中した人ならやりこむかも。
そうそう、グラフィックと音楽についても触れなくてはなりませんね。
グラフィックはDCになってもちろんパワーアップしましたが、動きのパターンが皆同じとか、キャラの表情が一定とかで、B級のノリがここにもあります。
街の雰囲気を楽しめる人ならばいいんですけど、わりと平凡ですね。
サウンドについては、割とMD版の音楽の音色をグレードアップしたものが多く、中にはMD版そのままの曲もありました。
原曲もノリがよいので、それはそれでいいのですが…。
肝心の主題歌は、歌が光吉猛彦氏から、「ドラゴンボールZ」の主題歌で有名な影山ヒロノブ 氏に変わりました。
彼のファンならいいと思いますが、「ファイターズメガミックス」と比べてあまり差異はないのではないでしょうか。
以上より、本作はMD版の続編や新作ではなく、リメイク版であると僕は断言します。
最近セガから出ている、2500円のリメイクシリーズと同等と思っていいでしょう。
以下の人にはオススメできます。
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「ファイターズメガミックス」などで見て、レンタヒーローというゲームが気になるけど、メガドライブ本体を持っていなかったり、ソフトが高価で手に入らないという人
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メガドライブ版を持っているが、戦闘に挫折または飽きてクリアしていない人。
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猛烈なセガファン
逆に、以下の人は無理して買うこともないと思われます。
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