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堕天へのパスワード

Action-3

 

 ッドガルの北東に位置する、カームの町に到着した。
 その宿屋に皆を集め、クラウドは、約束通りセフィロスのこと、星の危機のことを話し始めた。
「……俺はセフィロスにあこがれてソルジャーになったんだ。そして、いくつかの作戦をいっしょにこなすうち、俺たちは親しくなった」
「親友ってやつか?」
「どうかな……。セフィロスは自分のことをほとんど話さなかったからな」
 エアリスが、複雑な表情で、クラウドを見つめた。
「俺は、ヤツに絶対の信頼を寄せていた。それは、どんな戦局にあっても、決してゆるがないと信じていた。あのときまでは……」
「あのとき?」
 バレットが、片眉をつり上げる。
「戦争終結後のことだ。そう、あれは5年前。俺は16歳だった……」


 クラウドは、先輩のザックスと共に輸送トラックに揺られていた。セフィロスとの何度目かのミッションだった。
 トラックの後ろから外を眺めて、クラウドは呟いた。
「すごい雨だな……」
 昨夜から降り続いている雨はその激しさを増し、まるでスコールのようだった。
 セフィロスは、何事か考え込んでいた。普段から決して口数が多い方ではなかったが、このミッションに何か思うところでもあるのか極端に寡黙になっていた。
 セフィロスの副官という役職にあるが、お調子者で通っているザックスが、何故だか軽口のひとつも叩かず大人しくしているので、クラウドもそれにならって独りで外を眺めていた。
「ニブルヘイムは、おまえの故郷だそうだな?」
 ふと、クラウドの背中にセフィロスが言った。
 今回の任務は、いつもとは違っていた。異常動作を起こした魔晄炉の調査だった。凶暴な動物が発生しているというので、それを始末しつつ原因を見つけだし排除する。言葉にすれば単純で簡単な仕事のようだった。しかし、そこへセフィロスほどのソルジャーが派遣されるのだ。何かよほどの重大な事が隠されているのではないかと思われた。
「あまり、いい思い出があるわけじゃないですけどね」
「贅沢な話だ」
 クラウドは、振り返った。
「あなたの故郷は?」
 セフィロスは、少し遠い目になってシニカルに言った。
「さあ。俺に与えられたのは、戦うことだけだ」
 それまで大人しくしていたザックスが、口を差し挟む。
「妙な言い方するんだな。戦うことが運命だとでも?」
「かもしれない」
 ザックスは、首をすくめて両手を広げた。
「英雄って、辛いものなんですね」
 思わずクラウドは、同情的な感想を漏らした。セフィロスの強さを目の当たりにするたび、まさに闘うためだけに生まれてきたのだと思わざるを得なかった。彼が敵でなくて良かったと、心の底から思っていた。
「おまえに心配されるようでは、俺も形無しだな」
 セフィロスは低く笑って髪をかき上げた。
 そんな仕草を見て、クラウドは、以前、彼の長い髪の手入れをしてくれる女性がいると言っていたのを思い出した。
「ところで、彼女はどうしてるんですか? 寂しがってるんじゃ……?」
「なんだ? 唐突なヤツだな」
 不意に、人間らしい表情になって、セフィロスはクラウドを見つめる。その傍らで、ザックスがたくましい肩を揺すって笑いだした。
「いいかげん、会わせてやれよな。いつまでも隠してるんじゃねーって」
 茶化しながら、ザックスがけしかける。
「この任務が終わったら、いっしょに暮らそうと思ってる、と言ったら驚くか?」
 ニッと余裕の笑みを浮かべ、横目でザックスを見る。
「えっ!?」
 思わず、飛び上がって、ザックスはトラックの屋根に頭をしたたかに打ち付けた。
「いで〜……。いでででで……。ちくしょぉ」
 ザックスは、頭を抱えてうずくまる。
 勿論クラウドも驚いた。セフィロスのクールな様子からは、彼と恋人の間がそれほど進展していたとは想像もつかなかったからだ。
「無事に帰ることが出来れば、の話さ」
 クラウドとザックスは、不審な表情になった。
「何か、ウラがあるのか? この任務……?」
 急に真面目な顔になって、ザックスが訊く。
「ないと思うのか? それに……、俺は呼ばれているような気がする……」
「呼ばれる? 誰に?」
「ジェノバ……」
 クラウドが、2人を仰いだ。
「それは……?」
「俺を生んですぐ死んだ筈の、母だ」
 クラウドは、初めて聞いたそのジェノバという名が、妙に胸にひっかかった。
 セフィロス・ルシフィール・ド・ジェノバ。
 彼の名に刻まれた母の名を、このとき初めて、強く意識した。


「ちょっと待った!」
 突然、バレットがクラウドの話に割って入る。
「な、あれじゃねえか? セフィロスの母親の名前……」
 クラウドは、暗い表情でバレットを見た。
 JENOVA……。
 その存在を身近に感じるたび、悪寒が走り、全身が震える。
 そんなクラウドになどおかまいなしで、バレットは盛り上がった。
「ジェノバだ。……覚えてるぞ! 神羅ビルにいた首ナシのバケモノだな!」
「ああ。そのとおりだ」
 うなずいて、クラウドは先を続けた。


 突然の衝撃がトラックを揺らした。
「へ、へんな動物が!!」
 運転手が、ひきつって叫ぶ。
「トラックに突っ込んで来ました!」
 セフィロスは、左手に長刀正宗を握りしめ、すっくと立ち上がった。
「行くぞ」
 傍らのクラウドを促す。
「ぼ、ぼくですか?」
 クラウドは、緊張して、思わずどもってしまった。
「俺と一緒では不安か?」
 クラウドは慌ててぶんぶんと首を振る。
 そんなクラウドを見て、ザックスは気楽な様子で片手をひらひらと振った。
 クラウドは、意を決してセフィロスの後に続いた。
 姿を現したのは、全身を緑色の鱗で覆われた、巨大なドラゴンだ。凶悪な形相でうなり声を上げる。対峙しただけで身震いするような恐ろしい相手だった。
 ドラゴンは、翼を震わせ、火炎の息を吐き散らす。
 火炎放射の直撃を受けて、クラウドが倒れた。
 セフィロスは、そんなクラウドにアレイズをかける。立ち直ったクラウドを横目で見て、セフィロスは、地を蹴って飛んだ。巨大なドラゴンの体に、下から弧を描くように切りつける。
 大ダメージを受けて、ドラゴンは雄叫びを上げた。
 セフィロスのあまりの強さに、クラウドは剣を繰り出すのも忘れて見入った。
 舞うように優美な身のこなしだった。
 間髪入れずに、再び白銀の髪がしのつく雨の中に踊る。巨大な化け物をさえ圧倒する、鬼神のごとき太刀さばきだった。
 ドラゴンは、断末魔の叫びを残して、巨体をドウと横たえた。
 あっという間の出来事だった。
 セフィロスは、長刀を左右に振ってからみついた汚れを払い、くるりと逆手に持ち変えてそれを収めた。呼吸ひとつ、乱れてはいなかった。


「セフィロスの強さは普通じゃない。戦うことが運命だなどと自分で言うくらいだからな」
 虚空を睨み、少し苦い表情でクラウドは回想した。
「あれ〜? クラウドの活躍は?」
 ちょっとからかうように、エアリスがクラウドの顔をのぞき込む。しかし、その瞳は何故だか不安で揺れていた。無理して、元気を装っているようだった。
「俺か? 俺はセフィロスの戦いぶりにみとれていたな」
 ティファは、黙ってうつむいていた。何か言いたげに顔を上げたが、何も言い出せずに、また、下を向いた。
「そして俺たちは、ニブルヘイムについたんだ」

「……村はひっそりしていた。みんな、モンスターを恐れて家に閉じこもっていたのかと最初は思ったが、俺たちを恐れていたのかもしれない……」
 魔晄炉への出発は明朝だとセフィロスは言った。見張りを1人に減らし、制服組の兵士も休ませる。
 戦場を駆ける戦士としての彼は、勿論一流だったが、自らてきぱきと調査の準備をこなす事務能力にも、長けたものがあった。
 家族や知り合いと会ってきてもかまわないと言い残して、セフィロスは早々に宿に引き上げた。ザックスは、例によって遊びにふらふらとさまよい出たようだった。
 セフィロスは同行者の行動を規制することはなかったが、彼自身は、必要以上に赴任地で他人と関わることはなかった。皆が英雄と呼び、憧れる者が群がってきても、滅多に笑顔は見せなかった。それが、一部の人間には冷たく映ることもあったようだが、彼は、英雄と祭り上げられるのを特に誇りに思ってはいないようだった。
 いつも、どこか別の次元にいるような雰囲気を持っていた。
 そんな彼のことを、全ての事象に執着していないのだ、とクラウドは分析していた。
「執着してなかったって、どして?」
 ためらいがちに、エアリスが訊いた。
「セフィロスは、特に努力をしなくても何でもできたからな。当時のヤツの歳に近づいた今、俺は自分が子供に思えてしかたがないよ」
「ほんとに、そうかな……?」
 エアリスは、考え込む。
「どうしてそんなことを?」
「ううん。ただ……。そういう人って、寂しくて泣いたりしないのかなって思ったから」
「泣く? セフィロスが……?」
 クラウドは、絶句する。あまりに似合わなくて、想像もできなかった。
「あ、ごめん。先、続けて」
 クラウドが困った顔になったので、あわててエアリスは先を促した。
「ただ……、ヤツは、本当の自分を押し隠すことでバランスを取ってるんじゃないか、と思うことはあったけどな……」
 記憶をまさぐるようにしみじみと呟いたクラウドに、エアリスは、浅くうなずいた。


 翌朝、早くに、彼らはニブル山の魔晄炉に出発した。
 セフィロスが手配したガイドは、まだ少女の面影を残すティファだった。
 彼女を先頭に、一行は寒々とした空気の漂うニブル山へと入って行った。途中、橋が壊れて落下するアクシデントに見舞われたが、彼らは回り道をしながらも先へ進んだ。
 洞窟の中で、不思議な泉を発見した。
 物珍しさに駆け寄って、クラウドは泉を観察した。それは、魔晄の泉だった。地中深くから、魔晄の淡い光が吹き出しているのだ。
 もともとこのニブル山は、自然に魔晄が吹き出す、生きては超えられない山として恐れられていたところであった。
「きれいね……。でも、このまま魔晄炉がエネルギーを吸い上げ続けたら、この泉も消えてしまうのね」
 泉の中央に浮かぶ緑色の宝石を見つめながら、ティファがしみじみと言った。
「マテリア?」
 驚いて、クラウドはセフィロスを振り仰ぐ。魔晄エネルギーが凝縮されるとマテリアができることは、クラウドも知っていたが実物を見るのは初めてだった。
「すげぇ、珍しいよな。なぁなぁ、天然のマテリアを見るなんて、めったにない機会じゃねぇ?」
 ザックスが、子供のようにはしゃぐ。
「そうだな。恐らく、この山は特異な場だ」
「場?」
 クラウドは、怪訝な顔でセフィロスを見た。
「魔晄エネルギーとライフストリームが合流することによって生じる、場だ。こういう場所では、魔法の力も倍増される」
 クラウドは感心した。
「そういえば……。どうしてマテリアを使うと魔法を使うことができるんだろう?」
 セフィロスは、少し驚いたようだった。
「おまえ、そんなことも知らずにソルジャーをやってるのか?」
 クラウドは、テレて頭をかく。しかしセフィロスは、面倒がらずに説明を始めた。
「マテリアの中には、古代種の知識が封じこめられている。それは、自然と大地、星の力を自在に操る知識だ。その知識が星と我々をむすびつけ魔法を呼び出す、といわれている。まあ、真偽のほどは定かではないがな」
 ザックスは、腕組みをして唸った。
「魔法……不思議な力だぜ……」
 その、ザックスの素直な発言に、セフィロスは思わず声を上げて笑った。
「へ? 俺、なにか変なこと言ったか?」
 セフィロスは、首を振った。
「いや。まあ、おまえが変なのは昔からだが……」
「ちぇ」
「……ある男がな、不思議な力なんて非科学的な言い方は許さん! 魔法なんて呼び方もダメだ! ……そう言って怒っていたのを思い出しただけだ」
「誰ですか?」
 クラウドは、促した。
「神羅カンパニーの宝条。偉大な科学者の仕事を引き継いだ、未熟でコンプレックスのかたまりのような男だ……」
 そう言って、セフィロスは複雑な想いを孕んだきつい目をした。彼がその宝条という科学者に、何らかの感情的なわだかまりを持っているのは明白だった。逆に言えば、彼が他人にそうとわかるほどの強い感情を表すのは、珍しかった。だから、印象に残っていたのかもしれない。
 神羅カンパニーの宝条……。
 確かに、実際に会ってみると、常人とは異なった、狂気に囚われたような男だった。


 やがて、一行は魔晄炉にたどりついた。
 ティファと兵士を外に待たせて、セフィロスとクラウドとザックスが中へ入る。
 魔晄炉の中は、一種独特の空間だった。地鳴りのように低く胎動音が響き、魔晄の匂いで充満している。そこはまさに、神経中枢を酔わせるような、禁断の場所だった。
 魔晄の冷却圧縮装置のポッドが階段状に並んだ奥に、JENOVAと書かれた閉ざされた扉があった。
 セフィロスが、その扉の前で一瞬、釘付けになる。
「これって……なぁ?」
 ザックスが、クラウドに同意を求めるように首を巡らせた。
 クラウドは、ドアを開けようと試みたがしっかりとロックされていて、ビクともしない。
 セフィロスは、何も言わず、そのドアから離れた。今、自分がなすべきことを最優先するためだ。
 動作異常の原因を探して、装置をチェックする。ポッドの1つが壊れているようだった。
「クラウド、バルブを閉じてくれ」
 言われるままに、クラウドは、示されたポッドのエネルギー供給バルブを閉じる。
「なぜ壊れた……?」
 セフィロスは、首をひねった。ふと、思いつき、手近なポッドの窓から中をのぞき込む。
 そこに、狂気の現実があった。
 セフィロスは、ぐっと両の拳に力をこめた。
「……宝条……?」
 その、低く押し殺した声に殺気のようなものを感じて、クラウドとザックスは緊張した。
 戦場で、彼が全身に殺気をまとい、敵を斬り崩す様を何度も見てきた。そんなときいつも、畏怖の念を感じてきたことは確かだった。しかし、今のセフィロスには、それとは別の底知れないなにかを感じる。
 この男は、いったい……。
 クラウドはそのとき初めて、セフィロスに対して本能的な恐怖を感じた。
 セフィロスは、傍らのザックスを見た。
「……罠かもしれない」
「あん?」
 首をひねったザックスが、セフィロスにならって、ポッドの中をひょいと覗く。
 ポッドの外側をコンコンと叩いた。
「しゃれになんねーって」
 セフィロスは溜息をついた。
「これは、魔晄エネルギーを凝縮、過冷却し、マテリアを結晶化させるシステムだ。だが、宝条はこの中にあるものを入れた」
「あるもの?」
「見ろ」
 セフィロスに促され、クラウドは窓によじのぼる。そこをのぞき込んで仰天した。高密度の魔晄エネルギーに浸された、異形の生物がうごめいている。
「こ、これは!?」
 思わずしりもちをついて、後ずさった。
「おまえたち普通のソルジャーは、魔晄を浴びた者だ。確かに一般人とは違うが、それでも人間なんだ」
 セフィロスは、ポッドを睨む。青い瞳が、怒りに揺れていた。
「しかし、こいつらはなんだ? おまえたちとは比べものにならないほど、高密度の魔晄に浸されている」
「……モンスター?」
 クラウドの呟きが、凍った空気に吸い込まれた。
「恐らく、モンスターは魔晄エネルギーの副産物だ。そして、それを人工的に創り出しているヤツがいる……」
「それは?」
 クラウドの震える声に、ザックスが答えた。
「神羅カンパニーの宝条」
「宝条……」
 セフィロスは、うつむいた。
「……これでガスト・ファレミスに勝ったつもりか……? これを俺に見せて、いったい、俺に何をさせようというのだ……?」
 クラウドは、あまりのことに動揺を隠せなかった。
「普通のソルジャーって? セフィロス、あなたは違うんですか?」
 その、クラウドのセリフに弾かれたように、セフィロスはクラウドを見、ザックスを見、そして、階段の奥の閉ざされたドアを見上げた。
 JENOVA……。
 禁断の扉の奥に、その答えが隠されているに違いなかった。
「俺は……」
 セフィロスは、両手でこめかみを押さえ、激しくかぶりを振った。
 有り得べからざる考えが、彼に衝撃を与えた。
 母の名はジェノバ……。
 魔晄に浸されたモンスター……。
開かない扉……。
「クラウド、ザックス、忘れるな。こいつらは人間だ」
「人間!? まさか!」
 クラウドは、にわかには信じられなかった。見てはいけないものを見、聞いてはいけないことを聞いたような気がした。
 セフィロスは、天を仰いだ。
「……子供のころから、俺は不思議だった。何故、俺は他の子供と違うのか。何故、マテリアがなくても魔法が使えるのか……」
 クラウドは、驚倒してセフィロスを見た。マテリアがなくても魔法が使える……? それは……どういうことだ……?
「誰もが俺は特別なんだと丸め込もうとした。それが必然なら、甘んじていようとも思った。しかし……それは……、それはこんな意味じゃない!」
 吐き捨てるように、セフィロスは言い放った。
「俺は……人間なのか……?」
 クラウドは、茫然としてセフィロスを見つめるだけだった。彼が何に気づき、何を考え、何を言っているのかよくわからなかった。
 俺は……人間なのか……?
 それは、存在の根底を揺さぶる疑問だ。
 だが、そのときのクラウドは、なにより、神羅カンパニーがモンスターをつくっていたという事実に、大きなショックを受けていた。


「くっ……神羅めっ! ますます許せねえ!」
 バレットが、ぎりぎりと歯をきしらせて叫んだ。
「……あの魔晄炉には、そんな秘密があったのね」
 ティファは、切ない表情だ。
「ここ数年来のモンスターの増加には、そういったウラがあったのか」
 レッドXIIIも、得心がいったようだ。
「セフィロス……」
 エアリスが、ぽつりと呟いた。クラウドの視線がエアリスにそそがれる。
「なんか、辛いね……」
 エアリスはうつむいた。そんなエアリスを見て、クラウドはかぶりを振った。
「セフィロスは、罠だと言っていた。俺も、そうだったのかもしれないと思う。しかし……」
「あ……」
 ティファが、自分の頭を押さえて、ひきつった声を上げた。
「私……、覚えてない……。それからどうしたんだろう? 村に戻って、セフィロスが神羅屋敷にこもりきりになって……。村が……父さんが……。それから……? それから……?」
「ティファ……」
 クラウドが、優しい目で、怯えたように記憶をまさぐるティファを見つめた。
「覚えていなくても、無理はないかもしれない」
「どういうこと?」
「順番に話すよ」
 いたわるようにティファを見つめて、クラウドは優しく言った。

 

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