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ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー #250
ガチトラ (PSP)

購入金額: 2280円箱説付

ゲーム内容
喧嘩番長シリーズのスパイクによる、アクションアドベンチャーゲーム。
ヤクザの若頭のトラが、ひょんなことから教師になって、生徒の悩みを解決しつつ、裏にある大きな事件に巻き込まれていく。
言い合いを精神世界の格闘で表現した、ソウルヌードバトル(SNB)が特徴。
ミニゲームも豊富で、自由度も高い。
微エロなイベントも多々あり、バカゲーテイストも多い。

H.Kuwanoの考察

1.見せ方の面白いSNB

本作の特徴は、なんと言ってもソウルヌードバトル(SNB)です。
悩みを持った生徒や通行人に話しかけると、バトルを開始することができます(まれに駆け寄られて強制的にバトルになる場合もありますが)。
互いの激論を背景に、精神空間のような閉鎖された空間で、殴る蹴るの格闘を繰り広げます。
論争を格闘に見立てるというのは、同社の「ダンガンロンパ」に通ずるところがあるのではないでしょうか。
また、ゲームシステム的には「喧嘩番長」というよりも「龍が如く」に近いような気もします(主人公が元ヤクザなのも共通しているし)。
いずれかが攻撃を与えると、背景のキャラもセリフを吐き、相手を罵ったり、なだめたり、自暴自棄気味になったり、それに反論したりします。
このバトルの目的は、相手の閉ざされた心を開き、悩みを解決するなので、相手の体力を0にしても勝利にはならず、自分の殻に閉じこもってしまいます。
その殻を破壊することで勝利となります。
さらに、ストーリーの各所ではボスキャラ敵存在がいて、そのキャラの投げかけてくる言葉に対する反論を選択肢の中から選び、正解をあてると勝利になります。

「喧嘩番長」や「新宿の狼」では通行人を殴ったり警察から逃げ回ったりといった、「シャバイ」プレイで楽しんだ人も結構いたのではないかと思いますが、残念ながらそのようなことは一切できません。
一方、空想世界の上での格闘なので、何でもアリ感が漂います
大体のキャラは悩みを具現化したものを携えており、バットや木刀といったオーソドックスなものから、巨大なペンやカジキ、美少女アイドルの等身大人形(しかもパンツ一丁)という、いかにも妄想らしいものまであります。
殻に篭る状態もキャラクターによって様々であり、バリアーを張るオーソドックスなものから、遊園地のコーヒーカップに乗ってくるくる回る(気持ち悪くなって隙ができる)、注射器やUFOに乗って突進してくる、テニスボールを打ち込んで攻撃する(空振りして頭にボールが当たって落ち込むときに隙ができる)、股間から怪しいビームを放つなどがあります。

このアイデアやコミカルさが良く、笑わせてくれました。
KGRさんも「SNBの見せ方はイイ」と言っていました。
(個人的にはテレビドラマ風の各ストーリーの繋がり方も見せ方はいいと思いますが)


 

2.本編よりも面白い(?)ミニゲーム

「新宿の狼」でもそうでしたが、本作もストーリーよりもSNBや自由な教師ライフの方を楽しむゲームです。
個人的には、要所で挿入されるミニゲームも良かったです。

メイド喫茶「メイドぱらだいす」では、頑張れば際どい写真が取れる写真撮影(撮影した写真(スクリーンショット)はメモリスティックに保存可能)、オーソドックスなスピード、勝つと異様に粘度の高い牛乳を顔にかけられる早押しクイズなどが楽しめます。
それだけでなく、それらで遊んでメイドキャラ「萌」(主人公の教え子)のやる気を高め、そのやる気で接客させてメイドとして成長させる遊び要素もあります。
萌の衣装を着せ替えることもでき、中にはAKFさんの好きな「バニーガール」の衣装があったので、頑張って萌を成長させました。

よくやらされるのは、「釣り」になります。
いつも海の桟橋にいる厨二病のオヤジ、「浜川流」に釣った魚をあげるサブシナリオがあるのもありますが、釣った魚をオークションに売るという、基本的な金銭稼ぎのためにも釣りをします。
本作はストーリーの各話の最後に給料がもらえますが、雀の涙です。
ちなみに釣った魚は上のメイド喫茶で調理してもらえます。
・・・ちょっと話がそれましたが、釣りのシステムは部分的に妙に凝っています。
実在する店舗の「タックルベリー」があるからか、スタッフに釣り好きがいたのでしょうか。
まず、魚の種類は30近くあり、それぞれは釣れる時間帯、海域、好むエサが違います。
さらに魚以外にも「長靴」「古タイヤ」「壊れた傘」「欠けたハニワ」などが釣れることもあります。
釣った魚は「虎男の生き様(ゲームの成績)」に残り、魚拓や最大体長(長靴なども)が記録されます。
主に「タックルベリー」で釣具(リール、ロッド、エサ)を買いますが、情報誌を買うと魚の生息する海域を調べるためにことができます。
エサには生餌とルアーがあり、いずれも10種類ぐらいあります。
生餌は一度使うとなくなりますが、ルアーは使い続けられるという特徴があります。
道具を一通り揃えて桟橋に立つと、釣りが始まります。
まずはポイントを選んで錘を投げ、Rボタンで巻き取っていき、魚が食いついたら、画面上のゲージが左右に振り切らないように左右にアナログスティックを動かしながら、タイミングを見てRボタンを押してリールを巻いて釣り上げます。
魚に逃げられたときはエサやルアーがなくなることもあり、さらにはリールやロッドも壊れる場合があるので、気が抜けません。

オークションも凝っています。
オークションは携帯電話からいつでも出品できます。
定額出品と通常出品があり、通常出品は最低落札額、商品コメント、自動延長の有無まで選択できます。
通常出品で出品すると、本物のオークションみたいに30秒間入札を待つのですが、入札があるとソレっぽいIDが入札者に出てきます。
オークションなので、もちろん他の人がソレを上回る価格で入札してきます。
制限時間内に入札が完了すると、その場でアイテムが落札価格で引き取られることとなるのですが、その際に「よい評価者」の評価を受け、評価が+1されます(つまり評価=出品数です)。
まさに今時の質屋、単に持ち物を売却するだけでも楽しいので、このシステムはアイデアモノだと思います。

主人公は高校教師なので、部活の指導としてスポーツで生徒と対戦するものもあります。
レスリング、空手、ボクシング、女子テニス、野球があります。
特に笑えるのが「女子テニス」
文字通り対戦相手が女子(一部除く)ばかりで、こっちが必殺ショットを打つと必ずパンチラのカットインが挿入されます。
絶対にこれが狙いだろう、といいたくなってしまいます。
なお、野球は投げる方で、部活ではバッターと対決しますが、歓楽街にあるストラックアウト場では様々なルールのストラックアウトが楽しめます。

ストーリー内でも様々なミニゲームがあります。
その多くがお色気要素満載のもので、生徒の母親をホテルに言葉巧みに誘いこむ(よくある恋愛アドベンチャーゲームの選択肢のようなミニゲーム、後には教え子の女子高生や、同僚の女性教師を相手に同じことをします)、生徒の身体を指圧でマッサージする(ヘンなところを指圧すると・・・)、ホテルのベッドに教え子の女子生徒を寝かせてニ○ニ○動画で配信する(羞恥心を煽るコメントを選択していく)、といった、教師として問題アリアリなミニゲームがストーリー中に入っています。
さらに、埠頭で追いかけっこをしたり、シューティングゲーム「スターチャレンジャー」で
スコア対決をしたり、爆弾解体をしたりと、様々なミニゲームもあります。

これらのミニゲームは、ストーリーを進めていくプレイヤーの意欲を維持するために組み込まれたと思います。
ただSNBとストーリーの繰り返しでは、飽きてしまいますからね。

 

3.どうしてこの値段なのか

しかし、本作は早い段階で値崩れしたような感じで、発売数ヶ月で3980、今では中古で2000円台が相場、新品でも2980円で売っているところもあります。
ゲーム的には決して悪くないと思うのに、どうしてこんな値段で売られているのでしょうか。

  • ストーリーが冗長で、盛り上がりに欠ける
    本作をメンバーにプレイさせたところ「いつ面白くなるんですか?」「やってて疲れました」といった意見が出てきました。
    主人公が教師になるところで一話を使い切っている点や、テンポが悪いと不評でした。
    決してストーリーは悪くはないとは思いますが、序盤でプレイヤーを惹き付ける魅力がなく、離れていったプレイヤーもいたと考えると、もったいないですね(今時のゲーマーは忍耐力がない、という見方もできますが)。
  • ストーリーが基本一本道、周回プレイがない(ちょっとネタバレ)
    一番の要素はコレなのではないかと思います。
    値段が下がらないうちに売りたいのか、中古ショップに売ったユーザーが発売後数ヶ月間で多くいて、値段が下がったのだと思われます。
  • コレクション要素が公開されすぎている
    このゲームでは、全ての授業の出現条件とか魚の出現位置とかが分かるようになっており、コンプリートもそこまで難しくはありません(まあ、コンプリートしてもそれほどいいことがあるわけではないかもしれませんが)
  • 難しい
    あるWebサイトではこんな意見もありました。
    チュートリアルになっていない最初の戦闘、ストレスゲージが溜まると攻撃不能になる、相手が殻に篭るとガード不能の攻撃を繰り出し回避しづらい、序盤でお金を稼ぐ方法がないなど、分からなくもないです。
    上の問題があり、できるだけ長くプレイしてもらいたいので難易度を上げたという見方もできるかもしれません。
    ただ、戦闘中でもアイテムを使うことが出来る、通常先頭のSNBの負けはゲームオーバーにならない、など、個人的にはそこまで難しくは感じられませんでした。
    負け続けると難易度を落としてプレイすることが出来るようですが、これは見ることがありませんでした(このシステムは「龍が如く」みたいですね)。
  • 読み込みが長い
    個人的には読み込みが気になりました。
    しかもメモリースティックにデータインストールをしても、戦闘前に5秒ほどロードがあるのが気になりました。
    まあ、これが値段の安い理由にはならないかもしれませんが、欠点ではあると思います。

それでも個人的には、この安い値段が面白いゲームに出会えるきっかけとなったので、良かったと思います。
これが、中古ゲームの醍醐味の一つ、僕が中古ゲームを買い続ける理由である、と言えます(まあ、最終的には、ウサゲーということでAKFさんにタダであげてしまいましたが・・・。少々後悔しています・・・。)
また、安いことで注目を受け、再評価されたゲームも多くありますので、ゲームを「商品」ではなく「作品」として見るのであれば、値段が安いことは良いことだと思います。

余談ですが、本作の登場後には、「メイドぱらだいす」の部分だけを別のゲームにしたものがダウンロード専用で販売されました。
本作の痛手に対する対応策なのかもしれません。

攻略情報
お金の稼ぎ方
本作でお金を稼ぐには、釣った魚をオークションで売るのが良いです。
オークションはゲーム中のあるお使いイベントをこなすと出来るようになります。

関連情報

喧嘩番長

本作のシステムの元となったとも言える、ツッパリ高校生を主人公としたアクションアドベンチャーゲーム。
アルバイトでお金を稼ぐ、ヒロインとの恋愛を楽しむ、通行人を殴って警察に追いかけられるなど、自由度が高い。


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