1.ひどいロード
どこでも言われていることですが、このゲームはロードが頻繁に発生し、プレイに支障を来たすぐらいです。
ステージのはじめやデモシーンでのロードはまだ許容できるのですが、対戦中に変身するとその時点でロードが発生します。
たいていのキャラは変身時に10秒程度の時間制限があるため、変身時には2回ロードが発生するということです。
AKFさんは「PS版メタルスラッグみたいだ」と言っていました。
たしかに面の途中でロードが発生しますが、中ボス毎といった程度なのでそんなに酷くはありません。
比べるならば、ディスクシステムの「レリクス暗黒要塞」レベルなんじゃないでしょうか。
できればサターンとかで、拡張RAMカートリッジに対応した形で出して欲しかったところです。
あるいはネオジオも良かったんじゃないでしょうか。
2.ゲームではなく、音楽CDとして買え
本作は、ニコニコ動画などで有名な「レッツゴー!陰陽師」のルーツとなるゲームです。
坊主がビートの利いた歌にあわせて踊る内容が衝撃的でしたが、それが登場したゲーム「豪血寺一族外伝
煩悩開放」の前々々々作に当たるのが本作なのです。
ではなぜ初代がルーツなのではないかというと、本作は格闘ゲームでおそらく初の「歌入りBGM」を採用した作品なのです。
しかも歌詞の内容が「レッツゴー!陰陽師」ばりにナンセンスなもので、笑いを誘います。
本作の中で、僕が面白いと思ったものをちょっとだけ紹介します。
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半蔵ステージ
僕が初めて本作の存在を知ったBGMです。
哀愁漂うアコースティックギターとハーモニカの伴奏が奏でる中、マイクとルーが半蔵の忍者としての寂しさを歌う内容ですが、最後の「涙のポパペパプー」の部分だけが意味不明で、当時は爆笑した記憶があります。
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クララステージ
どうやら歌っている人は有名な声優さんのようです。
魔法少女モノのアニメソングのような歌ですが、歌詞が酷すぎます。
彼の自慢の チャリンコに乗って
夜の浜辺で ドラ焼き食べたの
あなたは素敵な人だけど
お金がないなら さよならね
パラリラ 魔法みたいな
スポポポ(?) 恋がしたい
鼻血が出そうな このお色気で
パラリラ 魔法みたいな
スポポポ(?) 恋がしたい
お金持ちの 素敵な王子様 待ってて
「乙女がチャリンコって言っていいのかよ」「何で夜の浜辺でドラ焼き」「金がなきゃ捨てるのかよ」「鼻血が出そうって自分で言うな」など、突っ込みどころはたくさんありますが、2番も凄いです。
2番はほとんど1番と変わりませんが、「お金がないなら さよならね」が「お金がないなら
ブタになれ」 になります。
この「ブタ」だけが声の調子が変わり、いかにも声優さんの演技が効いているところです。
さらに3番もあり、こちらはMADテープなどでよくある歌詞の入れ替えが行われています。
「彼の自慢の」と「夜の浜辺で」が入れ替わり、「鼻血が出そうな」と「お金持ちの」
が入れ替わります。
アーケード版は多分BGMと声が別に収録されていたので、こんな芸当ができたんだと思われます。
他にも「素敵な人」が「素敵なブタ」になっています。
なお、個人的にはクララステージの映像も笑ってしまいました。
ゲーム中では水族館で歌手が歌っているのですが、ダンサーが右足を上げ下げしているだけという低スペックで、思わず噴出しそうな状態です。
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おまけBGM(アンジェラステージの替え歌)
アンジェラステージでは、アップテンポで早口(一応英語)なロック調の女性の歌なのですが、BGMセレクトではこの歌の替え歌として、野郎(?)が日本語で「もったいない」を連呼する歌が入っています。
それも「こんなことやってる暇があるんだったら勉強しろ」とか「こんなことやるようなお金があるんだったら俺にくれ」といったような、ゲームを買った人を叱り付ける様な内容に取れます
。
しかし「こんな曲聴いてる暇があるんだったら仕事手伝え」、「エンディング作りたかったけど時間がないからフェードアウトじゃ」、「メモリーがもったいない」など、実は開発の悲惨な状況を歌に乗せて訴えかけているような内容で、笑いました。
他にも応援歌をイジった礼二ステージBGM、ビートに乗せて呪文を唱える「レッツゴー陰陽師」の元ネタとなったと思われる陳念ステージBGM、格闘ゲームなのに甘く優雅なラブソングのアニーステージBGM、幼稚園の園歌なのに不良っぽい内容の金田朗BGMなど、いろいろあります。
歌がないBGMも、ハードロック調で個人的にはなかなかイケています。
僕は「餓狼伝説」の「ギースにキッス」を思い出しました。
本作(PS版)は格闘ゲームとしては問題かもしれませんが、音楽CDとしては価値があると思います。
特に「レッツゴー!陰陽師」が気に入っている人には、一度聞いてもらいたいですね。
3.格闘ゲーム全盛の、古き良き時代
本作の元となったアーケード版は90年前半に登場しました。
その当時は格闘ブームの絶頂期でした。
アーケード版は結構無茶をしたゲームだと思います。
ステージBGMを歌にしたのは画期的ですが、当時はハード的に厳しい部分もあり、ROMの容量の大半が歌データで占められる (そして販売価格も上昇した)といった状態になったんじゃないでしょうか?
しかも敗者は顔にラクガキだし、キャラクターも3歳ぐらいの子供から100歳を超える老婆までイロモノぞろいだし、かなりふざけた内容が盛りだくさんなのに、良く販売できたなと思いました。
今となってはそんな冒険はできないでしょう。
予算や採算性は(場合によってはゲームのデキよりも )大切でしょうし、ゲーム作りはコストが増大していっているのです。
しかし、本作のような冒険をしないと、人々の記憶に残るゲームは作れない と思います。
僕が求めているのも、そのようなゲームなのかもしれませんね。
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