1.独特の操作感「SDI」
「SDI」はこれまでに類を見ない操作方法で、その独特さのせいかほとんど似たようなゲームがありません(実験的なゲームだったとも言う)。
PS2版では、コントローラーで自機の移動、アナログコントローラー(もしくはUSBマウス)で照準の移動、L1ボタンでショットを撃ちます。
ショットは通常は炸裂弾で、自機から照準の位置に飛んでいき、炸裂しているときに当たり判定があります。
ただし、照準の位置にあるものによってショットが変わり、ミサイルや基地を攻撃する際は炸裂しません(そのかわりミサイルの誘爆はあります)。
最初の方はまだ照準だけで何とかなるのですが、中盤になると敵の攻撃に当たらないように自機を動かしつつ、照準を合わせて敵を破壊するということが必要になってきます。
ここら辺になると常人には付いていけず、練習していく必要があります。
一つは敵に触れてはダメで、もう一つは敵に触れてもいい、という性質の異なる二つのものを同時に動かすという感覚が独特で、その後も追従できるゲームがあまりありませんでした。
とはいえ、本作の元となったゲームがあります。
それは、まず「ミサイルコマンド」は間違いないでしょう。
どちらもトラックボールで照準を操作し、炸裂するショットで降り注ぐミサイルから地球を守るというゲームであることは間違いありません。
地球にダメージメーターがあり、撃ちもらすとダメージが増えるというのはまるで「ハレーズコメット」でもあります。
逆に、このゲームをプレイして、「罪と罰」がこのゲームの影響を受けたのではないか、と思うようになりました。
というのも、片手でプレイヤーを、片手で照準を操作する操作方法だからです。
最後の場面は降り注ぐ隕石を打ち落とし、地球を守るというものですが、これもプレイヤー自身を操作でき、宇宙空間で地球を守る内容なので、「ミサイルコマンド」よりも「SDI」の方が影響が大きいと感じました。
ちょっと話が逸れてしまいましたが、USBマウスでプレイするとなかなか面白いです。
まるでターゲットを素早くマウスでクリックするような、ガンシューティングみたいなゲームになります。
スーパーリプレイほどうまくなるのは至難の業ですが、パソコンのマウスさばきも向上することでしょう。
USBのトラックボールを用意してアーケードのような操作を真似るのもよし、別の人にマウスを動かしてもらって射撃と移動を分担するのもよし、いろんな遊び方があります。
USBマウスが無いと照準がなかなか合わせられず、イライラすること必至です。
安いものなら1000円未満で買えるし、パソコンをはじめ他のゲームなどでも使える場合があるので、これを機会に購入してもいいと思います。
あと、個人的にはBGMも素晴らしいと思います。
実はこのゲームを知った理由が「アフターバーナー」のCDにBGMが収録されており、暗い曲ながらも雰囲気が出ていて好きだったからです。
どの曲も宇宙や冷戦を彷彿とさせるような、静寂感と緊張感を感じさせてくれます。
ただ、残念なのはとっつきにくさ、と言いたいところですが、それよりもむしろ背景のグラフィックです。
キャラクターや地球の輪郭や地形はいいのですが、背景に4色ぐらいしか使われていないように色数が少なく、ドットが荒く見えるのが難点です。
余談ですが、今となっては大変気まずいゲームでもあります。
「SDI」という題材はもちろんですが、デモシーンでツインタワーにミサイルが着弾し、大爆発というのは今となっては非常に気まずいです。
そのため、説明書の開発者のコメントでも「現実になるとは思ってもいませんでしたが」「こんな過激なテーマのゲーム、今発売して大丈夫なのかな」という言葉があります。
しかもモードをオリジナルにすると激しくフラッシュするので、てんかんを起こしそうです。
そのため、起動時に警告を出したり、フラッシュを抑えたモードがあります。
2.アーケード版とは違った楽しみ方のできるマークIII版「SDI」
マークIII版「SDI」は、アーケード版とほぼ同じルールなのですが、操作方法が大きく異なっており、もはや別のゲームといってもいいかもしれません。
アーケード版は、照準と自機を別々に、同時に動かすことができました。
それがマークIII版はボタンを押している間だけ自機が、離している間だけ照準が動くようになりました。
(ただし移動しながら撃つことはできます)
もちろん、照準の移動量も8方向で一定なので、ますます敵に照準を合わせるのが厳しくなりました。
でも、個人的にはこちらも面白いと思います。
敵の配置とかも仕様変更(ハードの制限?)によってそれなりに配置され、そんなにたくさんの敵が出てくるわけでもないのでそこまで混乱することもありません。
ファミコンと違って、キャラクターがたくさん出てもスプライトがちらつくといった現象も(移植版だからかもしれませんが)なく、快適に遊べます。
ただ、ステージのBGMが「SYSTEM DOWN」1種類しかないのが残念。
3.多人数でプレイしないと面白くない?アーケード版「カルテット」
「カルテット」は割とシンプルな横スクロールアクションゲームです。
ボスを倒して鍵を取り、扉に入ればクリアという内容です。
本作の特徴は、タイトルどおり4人同時プレイが可能になっていることです。
その他にもライフ制だったり、パワーアップアイテムはプレイヤーキャラと同じ色のアイテムを取らないとパワーアップしなかったり、色々ありますが、さほど特徴的ではありません。
正直言って一人でプレイしても単純すぎてあまり面白いとは感じませんでした。
ステージにあまり特徴がなく、どの面もほとんど同じような作業になってしまうためです。
それに、エンディングがなくループするので、今時のゲーマーにとっては物足りないかもしれません。
きっと多人数でプレイすると、分担して敵を倒したり、鍵やアイテムの奪い合いといったことができるんでしょう。
唯一良いと思った点は、やっぱりBGMです。
特に「OKI_RAP」はおそらくゲームミュージックで初めてボイスチップによるラップを成し遂げた記念すべき曲です。
僕もこんな感じのBGMはコナミの「X-MEN」(これはラップじゃないか?)ぐらいしか知らなかった(そういえば、「播磨体操第一」もそうだっけ)ので、当時のクリエイターのアイデアに驚きました(あと、ボイスチップで歌を歌う「サイコソルジャー」とか)。
ところで、「OKI_RAP」のタイトルの由来は一体何なんでしょう?
もしかして、使っているチップがOKI製だったとか?
4.目的があってメリハリがついたマークIII版「ダブルターゲット」
「ダブルターゲット」はカルテットの基本的なシステムを一部継承しながらも、目的やエンディングを設定し、家庭用にアレンジされたゲームになっています。
ボスを倒して鍵を取り、扉に入ってステージクリアというルールは一緒ですが、各ステージに隠されている星型のアイテムをそろえないと最終ステージに到達できないため、繰り返してプレイする必要があります。
また、パワーアップのシステムもアイテムからスコアになり、ライフを気にしつつも得点を稼ぐ必要もでてきました。
個人的には、一人でプレイするならアーケード版よりも面白いと思いました。
こちらの方がステージに特徴があり、目的もはっきりしているためです。
隠れたアイテムを探すというだけですが、ちょっとした謎解き・探索要素もあります。
ファミコンのゲームと比べるとなかなか手応えがあり、そう簡単にはクリアできません。
どうでもいいのですが、本作のパッケージイラストはなぜかアーケード版よりも気合が入っています(まあどちらもアニメ絵ですが)。
このPS2版のパッケージイラストでもこちらが使われており、よっぽどアーケード版の方が「絵にならなかった」のだと思われます。
(多分ゲームフラッシュの冊子も、それを補うために作られたんじゃないか、というのは僕の邪推ですが)。
5.総評:「SDI」がメインで「カルテット」はおまけ
4本のゲームを別々に紹介していきましたが、やはり本作は「SDI」がメインで「カルテット」はおまけ、といっても過言ではありません。
個人的には「SDI」の方が面白いと感じましたが、そう思う人も結構いると思われます。
「SDI」にはスーパーリプレイも付いているし、説明書に載せられている開発秘話も「SDI」の方が多いです。
ただ、どちらもBGMが良いので、ゲームミュージックファンにはオススメしたいです。
もちろん、当時は敷居が高くてプレイできなかった人や、特殊な操作をするゲームをプレイしたい人にもオススメできます。
ただ、18年前に出たゲームなので、新しい物好きにはオススメできないです。
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