Prev Back  Next

ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー # 161
SEGA AGES 2500シリーズ Vol.21 SDI & カルテット (プレイステーション2)

購入金額: 1680円 (箱説付)

ゲーム内容

特殊な操作感とリアル(?)な設定で話題を呼んだ「SDI」と、4人同時プレイ可能な横スクロールアクションゲーム「カルテット」を18年ぶりに家庭用ハードに移植。
両作品とも原作のアーケード版の他に、セガマークIII版(「カルテット」は「ダブルターゲット」の名前で登場)も移植されている。

アーケード版「SDI」は、その名の通り某国の「戦略防衛構想」をそのままゲームにしたもので、プレイヤーは地球周辺の宇宙空間で、探査機のようなものを操作して敵の攻撃を避けつつ、照準を動かしてICBMを狙い、ショットで破壊して自国を防衛する。
原作ではトラックボールを使用していたが、本作では別売りのUSBマウスを装着することで操作感覚を原作に近づけることができる。
とはいえ、自国の防衛に失敗したらゲームオーバーになるのはもちろん、シューティングゲームのようにプレイヤー機を全て失ってもゲームオーバーになる。
また、SDIはスーパーリプレイが収録されており、照準の的確な移動には圧巻させられる。

セガマークIII版「SDI」はゲームシステムはほとんど一緒だが、操作方法が照準と自機を切り替えながら動かす方式に変わっている。
もちろんハードウェアの制約でグラフィックや音楽がショボくなっているのはあるが、原作とはまた違った楽しみ方ができる。
ちなみに、本作はFM音源パックを使用するかどうかをオプションで変えることができる。

アーケード版「カルテット」は、アタリの「ガントレット」のヒットに便乗するような形で作成された横スクロールアクションゲーム。
個性の異なる4人のうち一人を操作し、敵ボスを倒して鍵を奪い、その鍵で扉に入ると1面クリアというもの。
他にもアイテムが登場し、ショットのパワーアップをするアイテムの他、移動スピードやジャンプ力をアップさせるものもある。
多人数プレイ時は鍵はもちろん、パワーアップアイテムも奪い合いになること必至。
プレイヤーはライフ制で、敵のダメージはもちろん時間でも減っていく。
0になったときにダメージを受けるとゲームオーバー。
マルチタップをつければ4人同時プレイが可能。
その他にも、2人同時プレイまでにした「カルテット2」もプレイできる。
ゲームミュージックで初めてラップを採用したBGMも聞き応えがあり、なかなか面白い。

セガマークIII版「ダブルターゲット」は、アーケード版「カルテット」のシステムを大幅に縮小し、ルールも変更して別のアクションゲームになったもの。
プレイヤーは2人となり、ライフ+残機制になった。
(穴に落ちるとミスになるので要注意!)
パワーアップアイテムはライフ回復とジェットぐらいになり、ショットパワーアップのみステージクリア時のスコアによって可能になっている。
ゲームの目的も、ただボスを倒して鍵を取って出口に行くだけではなく、最後の面に行くのに必要な星型の隠しアイテムを探し、最後のボスを倒す内容になっている。
また、ステージ2以降は表面と裏面があり、自由に行き来ができる。

H.Kuwanoの考察

1.独特の操作感「SDI」

「SDI」はこれまでに類を見ない操作方法で、その独特さのせいかほとんど似たようなゲームがありません(実験的なゲームだったとも言う)。
PS2版では、コントローラーで自機の移動、アナログコントローラー(もしくはUSBマウス)で照準の移動、L1ボタンでショットを撃ちます。
ショットは通常は炸裂弾で、自機から照準の位置に飛んでいき、炸裂しているときに当たり判定があります。
ただし、照準の位置にあるものによってショットが変わり、ミサイルや基地を攻撃する際は炸裂しません(そのかわりミサイルの誘爆はあります)。

最初の方はまだ照準だけで何とかなるのですが、中盤になると敵の攻撃に当たらないように自機を動かしつつ、照準を合わせて敵を破壊するということが必要になってきます。
ここら辺になると常人には付いていけず、練習していく必要があります。
一つは敵に触れてはダメで、もう一つは敵に触れてもいい、という性質の異なる二つのものを同時に動かすという感覚が独特で、その後も追従できるゲームがあまりありませんでした。

とはいえ、本作の元となったゲームがあります。
それは、まず「ミサイルコマンド」は間違いないでしょう。
どちらもトラックボールで照準を操作し、炸裂するショットで降り注ぐミサイルから地球を守るというゲームであることは間違いありません。
地球にダメージメーターがあり、撃ちもらすとダメージが増えるというのはまるで「ハレーズコメット」でもあります。

逆に、このゲームをプレイして、「罪と罰」がこのゲームの影響を受けたのではないか、と思うようになりました。
というのも、片手でプレイヤーを、片手で照準を操作する操作方法だからです。
最後の場面は降り注ぐ隕石を打ち落とし、地球を守るというものですが、これもプレイヤー自身を操作でき、宇宙空間で地球を守る内容なので、「ミサイルコマンド」よりも「SDI」の方が影響が大きいと感じました。

ちょっと話が逸れてしまいましたが、USBマウスでプレイするとなかなか面白いです。
まるでターゲットを素早くマウスでクリックするような、ガンシューティングみたいなゲームになります。
スーパーリプレイほどうまくなるのは至難の業ですが、パソコンのマウスさばきも向上することでしょう。
USBのトラックボールを用意してアーケードのような操作を真似るのもよし、別の人にマウスを動かしてもらって射撃と移動を分担するのもよし、いろんな遊び方があります。

USBマウスが無いと照準がなかなか合わせられず、イライラすること必至です。
安いものなら1000円未満で買えるし、パソコンをはじめ他のゲームなどでも使える場合があるので、これを機会に購入してもいいと思います。

あと、個人的にはBGMも素晴らしいと思います。
実はこのゲームを知った理由が「アフターバーナー」のCDにBGMが収録されており、暗い曲ながらも雰囲気が出ていて好きだったからです。
どの曲も宇宙や冷戦を彷彿とさせるような、静寂感と緊張感を感じさせてくれます。

ただ、残念なのはとっつきにくさ、と言いたいところですが、それよりもむしろ背景のグラフィックです。
キャラクターや地球の輪郭や地形はいいのですが、背景に4色ぐらいしか使われていないように色数が少なく、ドットが荒く見えるのが難点です。

余談ですが、今となっては大変気まずいゲームでもあります。
「SDI」という題材はもちろんですが、デモシーンでツインタワーにミサイルが着弾し、大爆発というのは今となっては非常に気まずいです。
そのため、説明書の開発者のコメントでも「現実になるとは思ってもいませんでしたが」「こんな過激なテーマのゲーム、今発売して大丈夫なのかな」という言葉があります。
しかもモードをオリジナルにすると激しくフラッシュするので、てんかんを起こしそうです。
そのため、起動時に警告を出したり、フラッシュを抑えたモードがあります。

 

2.アーケード版とは違った楽しみ方のできるマークIII版「SDI」

マークIII版「SDI」は、アーケード版とほぼ同じルールなのですが、操作方法が大きく異なっており、もはや別のゲームといってもいいかもしれません。

アーケード版は、照準と自機を別々に、同時に動かすことができました。
それがマークIII版はボタンを押している間だけ自機が、離している間だけ照準が動くようになりました。
(ただし移動しながら撃つことはできます)
もちろん、照準の移動量も8方向で一定なので、ますます敵に照準を合わせるのが厳しくなりました。

でも、個人的にはこちらも面白いと思います。
敵の配置とかも仕様変更(ハードの制限?)によってそれなりに配置され、そんなにたくさんの敵が出てくるわけでもないのでそこまで混乱することもありません。
ファミコンと違って、キャラクターがたくさん出てもスプライトがちらつくといった現象も(移植版だからかもしれませんが)なく、快適に遊べます。
ただ、ステージのBGMが「SYSTEM DOWN」1種類しかないのが残念

 

3.多人数でプレイしないと面白くない?アーケード版「カルテット」

「カルテット」は割とシンプルな横スクロールアクションゲームです。
ボスを倒して鍵を取り、扉に入ればクリアという内容です。

本作の特徴は、タイトルどおり4人同時プレイが可能になっていることです。
その他にもライフ制だったり、パワーアップアイテムはプレイヤーキャラと同じ色のアイテムを取らないとパワーアップしなかったり、色々ありますが、さほど特徴的ではありません。

正直言って一人でプレイしても単純すぎてあまり面白いとは感じませんでした。
ステージにあまり特徴がなく、どの面もほとんど同じような作業になってしまうためです。
それに、エンディングがなくループするので、今時のゲーマーにとっては物足りないかもしれません。
きっと多人数でプレイすると、分担して敵を倒したり、鍵やアイテムの奪い合いといったことができるんでしょう。

唯一良いと思った点は、やっぱりBGMです。
特に「OKI_RAP」はおそらくゲームミュージックで初めてボイスチップによるラップを成し遂げた記念すべき曲です。
僕もこんな感じのBGMはコナミの「X-MEN」(これはラップじゃないか?)ぐらいしか知らなかった(そういえば、「播磨体操第一」もそうだっけ)ので、当時のクリエイターのアイデアに驚きました(あと、ボイスチップで歌を歌う「サイコソルジャー」とか)。
ところで、「OKI_RAP」のタイトルの由来は一体何なんでしょう?
もしかして、使っているチップがOKI製だったとか?

 

4.目的があってメリハリがついたマークIII版「ダブルターゲット」

「ダブルターゲット」はカルテットの基本的なシステムを一部継承しながらも、目的やエンディングを設定し、家庭用にアレンジされたゲームになっています。
ボスを倒して鍵を取り、扉に入ってステージクリアというルールは一緒ですが、各ステージに隠されている星型のアイテムをそろえないと最終ステージに到達できないため、繰り返してプレイする必要があります。
また、パワーアップのシステムもアイテムからスコアになり、ライフを気にしつつも得点を稼ぐ必要もでてきました。

個人的には、一人でプレイするならアーケード版よりも面白いと思いました。
こちらの方がステージに特徴があり、目的もはっきりしているためです。
隠れたアイテムを探すというだけですが、ちょっとした謎解き・探索要素もあります。
ファミコンのゲームと比べるとなかなか手応えがあり、そう簡単にはクリアできません。

どうでもいいのですが、本作のパッケージイラストはなぜかアーケード版よりも気合が入っています(まあどちらもアニメ絵ですが)。
このPS2版のパッケージイラストでもこちらが使われており、よっぽどアーケード版の方が「絵にならなかった」のだと思われます。
(多分ゲームフラッシュの冊子も、それを補うために作られたんじゃないか、というのは僕の邪推ですが)。

 

5.総評:「SDI」がメインで「カルテット」はおまけ

4本のゲームを別々に紹介していきましたが、やはり本作は「SDI」がメインで「カルテット」はおまけ、といっても過言ではありません。
個人的には「SDI」の方が面白いと感じましたが、そう思う人も結構いると思われます。
「SDI」にはスーパーリプレイも付いているし、説明書に載せられている開発秘話も「SDI」の方が多いです。
ただ、どちらもBGMが良いので、ゲームミュージックファンにはオススメしたいです。
もちろん、当時は敷居が高くてプレイできなかった人や、特殊な操作をするゲームをプレイしたい人にもオススメできます。
ただ、18年前に出たゲームなので、新しい物好きにはオススメできないです。

攻略情報

「ダブルターゲット」の星のありか&隠しアイテム

  • 1面…面の途中に普通に落ちている。
  • 2面…裏の面で、動かない目玉型の敵が3体縦に並んでいるので、(多分)全部倒すと出てくる。
    ちなみにその屋にはライフ回復のアイテムが出るので、忘れず取ろう。
  • 3面…裏の面の出口付近にある穴のちょっと右にある徳利状のブロックの並んでいるところで、一番左下の徳利状ブロックの上を撃つと出てくる。
    表の面にいるボスは、ブロック地帯右端の中段あたりに無敵になれるアイテムが隠されているのでそれを取って攻撃すると受けるダメージを減らせる。
  • 4面…表・裏の両方の右端にいるコウモリ型の敵を全て倒した後、表面の右端から1画面ほど左に進むと出てくる。
    ボスの大コウモリはボスの左側でしゃがみながら撃つとダメージを受けにくい。
  • 5面…裏の面に行って、右端にいる上下する骸骨型の敵の、左側にある柱状のブロックの中央よりやや上を壊すと出てくる。
  • 6面…面に5箇所ほどある棺の頭を撃つと、頭が飛び出て攻撃してくるので、それを倒す。
    全部倒すと防衛システム(?)との戦いが始まる。
    ここは体力で勝負するしかない。

関連情報

ミサイルコマンド

1980年代初期にアタリが出したシューティングゲーム。
画面上部から降ってくるミサイルから地表にある都市を守るため、砲台で撃ち落とす。
トラックボールで照準を動かし、ショットで炸裂弾を発射する。

ハレーズコメット

1986年にタイトーが出したシューティングゲーム。
普通の縦スクロールシューティングだが、敵を撃ち逃すと惑星のダメージが増え、100%を超えるとゲームオーバーになってしまう。

罪と罰

2000年頃に任天堂がニンテンドー64で出したアクションシューティングゲーム。
開発元はトレジャー。
64コントローラーを活かし、十字キーでプレイヤーの操作、3Dスティックで照準を動かすといった独特な操作感が味わえる。

ガントレット

1985年にアタリが出したアクションシューティングゲーム。
モンスターを武器を投げつけて倒しながらダンジョンの出口を目指す。
4人同時プレイが可能であることが最大の特徴。


Prev Back  Next