1.荒縄兄弟やりすぎ!!
本作も例に漏れずCDの背表紙が「荒縄兄弟」なのですが、サブタイトルは「モロッコ特急引込線」。
モロッコって・・・、しかも引込線(本線から外れた整備用の線路)だなんて、ダッセーー!!
もっと驚愕なのはジャケットで、表面は「フロポンワールド(仮称)」のタイトルと各キャラクターが描かれたプリズムステッカーなのですが、それを取ると…。
なんと二人のフンドシ姿の男(漢?)が、腕を組んで線路上に立っているではありませんか!!
濃い!! なんて濃すぎるんだ!!
二人の男はどうやら社員のようで、それほど筋肉質でもありません。
しかも、どう見てもモロッコに見えない、まるで北海道かどこかのローカル線のような場所なのです。
もしステッカーじゃなくてこの絵が表に出ていたら引くよな…。
2.やっぱり本編が一番つまらない
さて、前回ワープの3DOのゲームで、「突撃機関 メガダす!」というゲームを紹介しましたが、本作は本編+ミニゲームというよりは、どのゲームもそこそこ作りこまれた、バラエティーゲームの形式になっています。
その中でも本編と思われるものは、「宇宙生物フロポンくん2」という落ちモノパズルゲームです。
名前の通り「宇宙生物フロポンくん」というゲームの続編で、確か3DOやプレイステーションで出ていたと思いました。
ルールは「ぷよぷよ」の要領でブロックをつなげて消していくというものですが、同じ種類のブロックを4つ四角の形(2x2)に並べると「ビックフロポン」という大きなブロックになります。
そのブロックはその種類と同じ通常サイズのブロックを消すと一緒に消え、種類によって周囲のブロックが消えるなどの特殊効果が発生します。
ここまでは前作と同じルールみたいですが、「2」ではさらに「ビビック」というルールが追加されました。
これは「ビックフロポン」を4つ四角の形に並べると、さらに大きなブロックになり、「ビックフロポン」と同じ方法で消すことができます。
特殊効果も「ビックフロポン」より強化されます。
どの種類の「ビックフロポン」を並べても良く、どの種類の「ビビック」になるかは使ったビックフロポンの種類によって確率で決まります。
ゲームモードは、通常モードとCPU対戦モード、2P対戦モードがあります。
CPUモードが今回追加されたモードで、ワープらしく、強いのか弱いのか分からないCPUキャラと対戦します。
実際に通常モードをプレイしてみると、ブロックの回転も棒状、鉤状と形態を変えることができ、レベルアップすると下2段が消えるので、初心者にとっては消しやすくなっています。
しかし、プレイに慣れてくるとこのレベルアップの下2段消去で連鎖パターンが崩されてしまい、うっとうしく感じてしまいます。
また、「ぷよぷよ」に慣れている人はうっかり四角状につなげてしまい、消すつもりがビックフロポンを作ってしまいがちです。
さらに「ビックフロポン」「ビビックフロポン」は幅があるので、フタになることもあります。
だからといって、決してルールが悪い訳ではありません。
問題はレベルが上がっても難易度がそれほど上がらないことです。
レベルは999まであるので、プレイするとダレること必至です。
気分を変えてCPU対戦モードをプレイしてみると、なんと落ちてくるブロックのパターンが相手と全く異なるではありませんか。
これはフェアじゃないですね。
せっかくつけたんだったら、本家を見習ってください、と言いたいです。
それよりも問題なのは、あくまでも2P対戦の代わりでしかないということ。
終了しない限り同じ相手と対戦し続け、勝ち抜いてエンディングが見られるようなモードではありません。
そんなモードをプレイし続ける人なんているのか?
結果、この「宇宙生物フロポンくん2」は一人プレイでは飽きやすいモードとなっています。
続いて、「なぞぷよ」みたいに本編のルールで与えられた課題をクリアしていく面クリア型のモードが「なぞポンくん」です。
全100面あり、フロポン博士が指示した条件(「ビックフロポンをつくれ」など)を満たせばクリアです。
ただし、本家とは違い、画面にはブロックが全く無い状態からスタートします。
さらにブロックの落ちてくる順序もランダムで、ブロックの制限はないようです。
これでは詰め将棋的な(解法が決まっている)楽しみ方ではなく、多少運に左右される(解法が決まっていない)楽しみ方ですね。
まあ、パスワードコンティニューもあるし、「フロポンくん2」よりは面白いと思います。
さらにこのブロックのルールで「鮫亀」をやってしまったのが「宇宙生物フロポンくん2/3」です。
同じ種類のブロックが隣接するブロックをクリックすると消すことができ、上にあったブロックが落下するというのは「鮫亀」と一緒ですが、本編のルールが適用されるので2x2で固まると「ビックフロポン」ができてしまうのです。
他の同じ種類のブロックを消すと同時に消えるのですが、消えたときの効果は本編とは違うので注意が必要です。
このモードはクリアなどは無く、消せなくなったらゲームオーバーとなり、消した特定の種類の「ビックフロポン」の数がスコアとして表示されます。
普通の「鮫亀」とは違い、「ビックフロポン」を作ることで隣の列の足場を作ったり、消したときの効果でブロックを追加したりすることができるので、うまくすると窮地を脱出できたり、画面以上にブロックを消すことができます。
短いゲームですが、「鮫亀」にはない面白さを体験できました。
最後に、本作のキャラクターによるシューティングゲーム「スペースフロポン」があります。
ゲームのルールはシューティングシーンで惑星を制圧しながら敵基地の鍵を集め、ラスボスと対決するという「スターラスター」みたいなシステムになっており、多少の戦略性を必要とします。
惑星は複数あり、星座のようにそれぞれの惑星が線で結ばれています。
プレイヤーは線の上を移動し、未占領の惑星でシューティングシーン(後述)をプレイし、惑星を制圧します。
そして、線で結ばれた隣接する3つの惑星を占領すると、その線でできた三角形の領域が自分のものとなります。
その領域内にアイテムや鍵があれば、それを取得することができます。
なお、自分の基地とアイテムショップはすでに制圧済みです。
マップ上にはボス敵もおり、「スーパーマリオブラザーズ3」のハンマーブロスのように、自分が移動するたびに移動します。
ぶつかるとボス戦となり、惑星とは違ったシューティングシーンとなります。
自分の基地に行くと基準値以下の仲間のレベルが元に戻り(やられていたら復活して)、アイテムショップではスコアでアイテムが買えます。
手に入れたアイテムはマップ画面で使用することができ、パワーアップやアイテムサーチ、1UPやクレジット(コンティニュー回数)アップ、シューティングシーンなしで惑星制圧やボス破壊などがあります。
こうして4つの鍵を手に入れるとラスボスの待つ敵基地への線ができ、敵基地に移動するとラストバトルです。
シューティングシーンは「ギャラガ」のような固定画面ですが、まるで「ジャイラス」を半円にしたかのように、プレイヤーは左右に弧を描くようにしか動くことはできません。
一方敵は画面奥から出てくる敵もいますが、「ギャラガ」のように画面上や左右からやってくるのがほとんどです。
また、LボタンやRボタンでキャラクターを変えることができ、それぞれ攻撃方法が異なります。
「サンダーフォース」のように使い分ける必要があるということです。
敵を倒すと時折パワーアップアイテムが登場し、種類に応じたキャラクターがレベルアップ(パワーアップ)します。
ある程度敵を倒せばステージクリアで、惑星を制圧することができます。 ボス敵との戦いの場合はボスを倒せばクリアとなります。
一見マトモなゲームですが、ワープらしさも残っています。
オープニングはまるでランダムに言葉をつなげたような、支離滅裂のストーリーデモ。
なぜかボスキャラはアヒルやウサギやクマなどのおもちゃやぬいぐるみだし、アイテム名にも「クリアフラグ」などニヤリとさせられるものもあります。
実際プレイしてみると、見た目に反して難しく感じる場面もあります。
自分の動きは半円なのに敵の動きは平面を自在に動くので、なかなか画面端の敵が狙えなかったり、敵の攻撃をかわせなかったりします。
特に画面内を反射して飛ぶ敵がかなりいやらしく、敵は斜めに飛んでいるように見えても、こちらからすると真横に飛んできた状態になり、死亡確定になることもしょっちゅうです。
しかし説明書でE野賢治が言っている以上に戦略が必要で、ここが面白く感じました。
戦略はプレイヤーキャラを選ぶところからも始まっています。
動きの早さ、耐久力、場面に合わせてキャラクターを使い分けることが必要ですが、やられるとレベルが最初に戻り、しばらくそのキャラクターが使えなくなるので、やられてもいいキャラクターに変更する戦略も大切です。
だからといっても、やられてもいいキャラを使うと、撃ち漏らしやパワー不足でやられてしまい、無駄に残機を消耗しがちです。
そのほかにも、惑星の占領の仕方や順番、ボスの移動ルートに合わせた移動やアイテムの購入など、いろいろ頭を使う場面があります。
結局、本ソフトに収録されているゲームで面白かった順に並べ替えると、以下の通りです。
スペースフロポン > 宇宙生物フロポンくん2/3 > なぞポンくん > 宇宙生物フロポンくん2
本編が一番つまらないのは、「突撃機関メガダす!」でもそうでした。
ただこちらの方が「スペースフロポン」に気合が入っているのでずっと楽しめます。
パッケージの「荒縄兄弟」のインパクトも上だしね。
3.3DOの表現力に改めて関心
このゲームを改めてプレイしてみると、決して3DOの性能も悪いわけではない、ということに気づかされました。
特に良いと思ったのは、「スペースフロポン」に見られる二次元グラフィックの変形や画面効果です。
タイトル画面のロゴに球面のような変形をさせたり、クマのぬいぐるみを左右にちぎるように変形させたり、ペンギンを半透明でラスタースクロールさせたり…。
2Dのゲームだったら3DOのグラフィック性能でも十分通用するのでは、と思いました。
しかし、これだけ当時としてはスゴイ表現力を持っているゲーム機だったのに、廃れてしまったのはどうしてでしょうか?
4.敗者には死あるのみ
しかし、このゲームは落ち物パズルなのに、どうしてゲームオーバーになると男の頭が斧でかち割られなければならないのでしょうか?
また、対戦モードでも負けたときに髑髏の目玉が取れて落ちるといったグロテスクな表現があります。
そういえば、「突撃機関メガダす!」のミニゲーム「動物王国」でも、飛行船から吊り下げられた人がワニに食われてゲームオーバーという表現が使われていました。
これはゲームシステムからして時間制限を設けないといけないので、このような表現も仕方ないと思うのですが、どうして「フロポンくん」ではこんな表現にしたのでしょう?
それは、スタッフが「ゲームオーバー=プレイヤーの死亡」を当たり前と考えていたのかもしれません。
しかし、アクションゲームでタイムアップになるとは訳が違います。
もしかすると、スタッフの誰かが精神的に病んでいたかもしれません。
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