1.クルマ好きにはたまらない一本
本作は現実に存在する車が多く登場します。
後に似たようなゲームとして、「グランツーリスモ」が大ヒットしますが、このようなレースゲームは本作が初めてなのではないでしょうか。
もちろん名前だけでなく、外観も再現されており、車重や馬力などの細かいデータも載せられています。
そのため本作の車にはとても親近感が持て、実際の車に興味を持ったりした人もいるのではないでしょうか。
(かく言う僕も、「ゼロヨンチャンプII」で少し車に興味を持ちました)。
また、操作感もかなり実車に近い感じがします。
とは言ってもハンドル操作はなく、アクセル、クラッチ(またはブレーキ)、チェンジ(シフト)レバー操作しかありませんが、この思い切った仕様が実車感を高めています。
特にマニュアル車はギアチェンジする際は本当に実車のような操作をします。
左手でチェンジレバーを操作し、右手でクラッチを切ります。
チェンジレバーの操作も実車同様、2速から3速には「上→右→上」というように入力します。
たとえクルマのことを良く知らなくても、用語は説明書やゲーム中(ホリデーオートのメカニック入門)に解説してくれます。
ゲーム中の説明が(ランダムですが)そこそこ種類があるので、眺めてみるだけでも少しずつ分かってくるでしょう。
さらにはストーリーモードもカーライフらしい要素が満載です。
主人公はレースをするにはしょぼい車から、アルバイトや草レースを積み重ねてお金を貯め、性能の良い車に乗り換えてチューンアップしていくのです。
なんか働いてお金を稼いで車をグレードアップさせていく、「いつかはクラウン」みたいなカーライフに感じてきませんか?
また、キャラクターを登場させたことも、クルマに興味を持つことに一躍買っています。
ストーリーに入りやすくなるというのはもちろんですが、チューナーやライバルとの出会いは「レーサーとメカニックの出会いは二人の人生を決める重大なことなんだなぁ」「相手は車でなく人なんだなぁ」と、レーサーの心情も伝わってきます。
「グランツーリスモ」にも同様のモードがありますが、これには人間がほとんど出てこないので、かえって機械的に感じカーライフを満喫しているとは思えませんでした。
このように、本作にはクルマ好きに受ける要素がいろいろ詰まっています。
もしかすると「グランツーリスモ」の元になっているのかもしれません。
(元(になったと思われる)のOh!Xに連載されていたドライブシミュレータでもゼロヨンレースから作っていたしなぁ)
2.遊び心満載
本作は「トイレキッズ」を作ったメーカーだからか、いたるところにバカらしいところやふざけた所があります。
まずは実在のパクりから。
レース情報雑誌「ホリデーオート」には「ぽくだいじありとめのカーメカニック講座」が掲載されています。
しかも顔つき。
モータージャーナリスト歴も長いんですね。
他にもゲームセンターでは「UFOキッチャー」ならぬ「UFOピッチャー」があります。
あまりにも安易なネーミングですが、意味不明です。
そして出てくるキャラクターも笑えます。
友人の今村はたまにプレゼントを持ってきてくれるのですが、「いかあし」「てあみのマフラー」などしょうもないものばかり。
まあ、カー雑誌の通販で「アルミホイル」が売っているのもあるのですが…。
四天王もどこかおかしなやつばかりで、相手のクルマに細工するやつ、オカマっぽいどぎつい化粧のエセ成金男、色仕掛けで相手を騙す女、無口な男です。
最後の男以外はまともなレーサーはいません。
やはり笑えるのは警備員のバイトで出てくる泥棒で、「まほう」や「どうぐ」を使うと謎の呪文を唱えたり、近くにあるものを投げつけます。
すると泥棒が反応してメッセージを返すのですが、なぜか関西弁。
攻撃するときにはなにもないのに。
ちなみに効く道具は「ゴキブリホイホイ」「エッチなほん」で、効かない道具は「ハサミ」「ティッシュ」です。
他社ゲームネタもいろいろあります。
まずゲームセンターでは「あふたばあな」という大型筐体のゲームが画面にあります(あは微妙に隠れていますが)。
もう元となったゲーム名は言わなくても分かるとは思いますが、まるっきり筐体や画面が一緒なのです。
なかなかやりますね。
そしてなんといってもドラ○エ、FFネタ。
警備員のバイトでは、泥棒に遭遇するとRPG風のバトルになるのですが、戦闘画面はまんまドラ○エです。
攻撃するとたまに「かいしんのいちげき」「つうこんのいちげき」が出るのも一緒です。
それならまだしも、BGMもドラ○エIIとIII、FFIIとIIIを合わせたような音楽になっています。
さらに瀕死状態だと文字がオレンジ色になります。
また、勝つとFFのファンファーレを真似たようなメロディに、バックでやたらドラ○エのレベルアップ音が鳴り響くBGMになります。
個人的にはこのBGMは必聴です。
Hネタも豊富にあります。
「ホリデーオート」の通販で「つかいすて ××××」が買えます。
「××××」は履いたり被ったり嗅いだりするもの(?)ですが、別にメッセージで音が出ないのに×(伏字)が出るときだけ「ピー」と音が鳴ります。
この他にも伏字が出ると「ピー」と音がなります。
その他、ゲームセンターで「UFOピッチャー」をプレイし、3回連続でぬいぐるみを取ると、ぬいぐるみがパンティになってしまいます。
(これは大技林でも出ている裏技です)。
別に絵柄はどうってことないのですが、よく下着が入っているUFOキャッチャーを現実でも目にすることがあるので、「もしかして時代を先取りしていたのかな」と思ってしまったり。
そして極めつけは、ゼロヨン四天王の一人「松永」。
彼女は色仕掛けで主人公を困惑させます。
まず大会前に突然主人公の家にやってきて、「××××」を持ちかけます。
受け入れると下着姿になります。
その後彼女とゼロヨンで対決するときに、わざとスタートを遅らせて勝つと、その秒数に応じてご褒美がもらえます。
0.5秒ならキス、1秒ならぱふぱふ、2秒なら××××(またか)になります。
××××の正体は脱衣です。
個人的に笑ってしまったところは以下の2つです。
・カーショップの店員がやたら目がでかい
他のキャラクターは大人向けの漫画のように目が細いのですが、彼女だけまるで「レインボーアイランド」の主人公みたいに目がでかいです。
違和感を感じて思わず笑ってしまいました。
・「UFOピッチャー」のBGMが「グリーンスリーブス」
ゲームセンターのBGMはロック調のイケイケな感じがするBGMですが、「UFOピッチャー」を選ぶといきなり「グリーンスリーブス」が流れます。
この騒々しさと静けさのギャップに思わず笑ってしまいました。
ぬいぐるみをパンティにしてしまうとますます異様な雰囲気になります。
いきなり知っている曲がゲーム中に流れると笑ってしまう、ということはゲーム探検倶楽部の中ではよくあることです。
たとえば「未踏峰への挑戦」では風が吹きすさぶ中アイテム画面を出すといきなりBGMがクラシック(名前忘れた)になり、メンバーが笑っていました。
「東方見文録」でもゲームオーバーになって「ハレルヤ」になったり、パスワード画面になって「マイムマイム」になるなど、
なぜなのか意味不明で笑えます。
(「ハレルヤ」と言えば「ファーストサムライ」もそうですね)
ただあまり場面との関連が強すぎる場合はさほど笑いは取れず、「なぜ○○がここで流れるのか」と場面にミスマッチしていないと笑いが取れないようです。
例えば「グルーヴ地獄V」では「キノコorDie」のサ○エさん風BGMや「ときめいていいとも」の笑っていい○も風BGMではなく、
「ボール山ペン吉」のゴッ○ファーザー風BGMで笑ってしまいました(聴き続けると変調するのもありますが)。
このように、本作にはふざけた所が多くあります。
きっとスタッフも楽しみながら作ったんでしょうね。
IIではさらにパワーアップしています。
3.オートマでゼロヨン?
本作で一番気になったのは、車の購入でオートマ車が選べることです。
オートマだったら、D(ドライブ)にシフトしてずっと走り続ければいいんじゃないの?
確かにトータルの速度は落ちるけど、それはゼロヨンとしてありなのか?
そう思っていましたが、どうやらクラッチがないだけでギアチェンジそのものは自分で行わないといけないようです。
でもそれは普通のレースゲームのギアの操作方法で、オートマとは言えないんじゃ…。
(オートマにも1や2はありますが…)
やはり不評だったのか、IIではマニュアルしかなくなっています。
(でも確か、アメリカってオートマの方が多かったような)
4.総評:クルマを知らなくても遊べるゲーム
本作はクルマに興味がある人はもちろん、クルマにあまり興味がなくても十分に楽しめます。
操作は単純なので飽きやすいかもしれませんが、クルマを成長させていくRPG的な楽しみや、プレイヤーが操作に慣れていくアクションゲーム的な楽しみがあります。
昔のHuカードのゲームなので、やや短めに感じるかもしれませんが、その分手軽に遊べます。
続編をプレイしている人にもオススメできます。
IIでは日時の概念がなくなってしまったので、こちらの方がカーライフを過ごしている感覚があります。
また、アルバイトが作業になりがちなのが難点ですが、逆にお金を稼ぎやすくなっています。
視点もIIでは運転席視点ですが、本作では後方視点です。
そして相手のクルマも判別できるようになっているのがうれしいです。
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