1.なぜクソゲーを狙ったのか
本作を作ったメーカーは「ドリームオーディション」というカラオケのゲームを出していて、本作も「カラオケ」を意識していると思われます。
カラオケを意識したミニゲーム集といえば、本作の前に「電波少年的ゲーム」というものがあります。
「電波少年的ゲーム」とは、「進ぬ!電波少年」というテレビ番組の企画で作られたゲームです。
タレントのふかわりょうが本作をカラオケ屋に売り歩いていたのですが、このゲームは多人数で遊ぶことを目的として作られており、ミニゲーム集というよりもミニゲームでビリになったときの罰ゲームの方が怖い「王様ゲーム」のような内容になっていたと思います。
結局人気でセガサターンとプレイステーションで一般販売されたのですが、そのときの広告が「こんなゲーム本当に売るの?(byふかわ)」とあり、デカデカとウ○コの絵が描かれています。
つまり「ク○ゲー」を狙っていたのです。
もしかすると、本作は「電波少年的ゲーム」を意識していたのかもしれません。
パッケージにも、「あの、王様ゲームを凌ぐと言われていた」とあり、その「王様ゲーム」とは「電波少年的ゲーム」のことだったのかもしれません。
カラオケを意識して作られたミニゲーム集、多人数で遊ぶと面白い、と共通点も多く、本作もクソゲーを狙った、というのもあるかもしれません。
また、会社が韓国の会社に買収され、社名も「パシフィック・センチュリー・サイバーワークス・ジャパン」というなんとも長ったらしい名前に変更され、その混乱のさなかスタッフがキレたのかもしれません。
早く元の会社に戻って欲しい、と。
もしくは、昔の会社を否定するべく、昔の社名でクソゲーを出して自己否定からスタートしたかった、というのもあるかもしれません。
2.みんなで遊ぶと意外と面白い
と、本作は散々クソゲー扱いされているのですが、やってみると意外と面白いです。
マイクでキャラクターを直接操作する、という感覚が斬新なのです。
マイクで指示を出す、といった間接的に動かす(入力に遅れて反応する)ゲームはいくつかあるのですが、しゃべったことが即座に反映されるというのはなかなかありません。
タイミングよく声を出す、音程を調節するといったテクニックも要求され、アクションゲームを声でプレイしているような感じです。
しかも声を出すのでダイエットにも効果的なのではないでしょうか。
一人プレイでもそれなりには遊べるのですが、やっぱり多人数でわいわいプレイしたほうが面白いです。
もちろんゲームの内容ではなく、プレイヤーの反応を見るのがです。
普段見られないような一面を見る、掛け声などプレイスタイルが人によって違う、といったことが面白いと感じました。
なぜカラオケボックスに置かなかったのか、ちょっと残念です。
3.いろいろある他ゲームのオマージュ
ゲームの内容は、「がんばれギンくん」に似たものがあります。
ミニゲームに失敗すると、昇天したり惑星が破壊されたり、やや過激なものもあります。
おバカテイストも似ているものがあります。
そのほかにも、ゲームやテレビ番組などを参考にしたものが多くあります。
ちょっと長くなりますが、挙げてみましょう。
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速えーっ コメット
タイトルの元ネタはタイトーのゲームの「ハレーズコメット」であると思われます。
ルールも「隕石が地球にぶつかる前にビームを撃って破壊し、隕石から地球を守る」というそっくりなもの。
ちなみに地球の状態を表示しているテレビは、「スペースチャンネルV」を意識しているのかな?
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世界バルルン放浪記
タイトルの元ネタはもちろんテレビ番組の「世界ウルルン放浪記」であると思われますが、ゲームの内容は「バルーンファイト」のバルーントリップです。
終盤には雷が登場しますが、もしかするとこれは「スカイキッド」を意識したのかも。
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掘りムシャ
タイトルの元ネタはおそらくカプコンのゲームの「鬼武者」であると思われますが、ゲームの内容はかなり「Mr.ドリラー」に影響を受けた思われます。
「キヨシ」が地面を掘り進みながら地球の裏側を目指すというもので、途中の休憩ポイントまで酸素の残量を気にしつつマイクに叫び続け(ボタンを連打し続け)ます。
酸素は詰まるところ制限時間で、固い岩盤を掘ると酸素が減少、じゃなかったスピードが低下します。
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キャプテンマイク
タイトルの元ネタは自社の専用筐体のアーケードゲーム「キャプテンフラッグ」で、筐体もまるっきり同じです。
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Laマーズ砲
タイトルの元ネタはもちろん「ラマーズ法」で、おそらく本作の中でも快心作のタイトルに入ります。
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キヨシのくいしん坊!なンだい
元ネタはテレビ番組の「○○の食いしん坊バンザイ」と思われますが、ゲームの内容はまるで「がんばれギンくん」のような…。
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マイクdeガンマン
タイトルの元ネタは「ワイルドガンマン」というのはちょっと苦しいかな?
ゲームの内容は「ゴルゴ13」みたいなもので、スコープ越しに見てカリスマ・ストーカーに照準が合ったときにマイクで叫ぶ(ボタンを押す)というものです。
残弾数が6発というのは「リーサルエンフォーサーズ」を意識したのかな(リロードできませんが)。
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クリスタルドッキング
タイトルの元ネタはミュージシャンの「クリスタルキング」(Nさん情報サンクス)と思われますが、ゲーム内容は「ロードファイター」のギア操作に「ムーンクレスタ」のドッキング要素を追加したものと思われます。
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激撮仕事人
タイトルの元ネタはテレビ番組の「必殺仕事人」に「激写ボーイ」を足したものと思われ、内容も「激写ボーイ」っぽくなっています。
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空手ばっか一代
タイトルの元ネタは漫画の「空手バカ一代」と思われますすが、ゲームの内容は「タントアール」などでよくある早押しゲームです。
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鬼はそっと吹くわ、ウチ
タイトルの元ネタは「鬼は外福は内」ですが、このゲームも形容が難しいものです。
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地獄の黙示64
タイトルの元ネタは映画の「地獄の黙示録」と思われますが、なぜか「ニンテンドー64」のロゴみたいに64の文字が右上についています。
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チョースケのジャンプ天国
タイトルの元ネタはビック東海の「カケフくんのジャンプ天国」というゲームであると思われます。
後戻りできないところから「チェルノブ」を意識しているのかもしれません。
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そこ退け脱走ゲーム
タイトルの元ネタは「そこぬけ対戦ゲーム」であると思われますが、ゲームの内容は「ビシバシチャンプ」にあるようなゲームです。
4.こんなゲームヤッちゃいました
本作はとにかくスタッフの暴走ぶりが伺えるもので、特にパッケージと説明書、それにアンケートハガキは抱腹絶倒モノです。
これだけバカなことをやっていると、何故かこちらも爽快に感じてきます。
まずはパッケージと説明書でスタッフが体を張ったギャグを見せてくれます。
パッケージでで目に黒線が入っているスタッフA、良く見ると鼻に鉛筆を差し込んでいます。
昔のメディアリングのCMじゃないんだから…。
次に、説明書を読み続けるといきなり「ジャレコスターカード」というページがあり、カンフーの構えを取ったスタッフの写真がブロマイド風に印刷されています。
名前は実名っぽいので伏せますが、知りたくも無い体重や身長のデータまであります。
しかも体毛2kgっていったい…。
極めつけはアンケートはがきです。
一見普通のアンケートはがきですが、よく見るとふざけた設問や解答があります。
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アンケートの前書きで、「スタッフの息抜きとして活用させていただくため」と余計な一言。
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名前にミドルネームを書くスペースが。
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性別は、男と女と?。
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なぜか国籍の欄があり、日本向けのゲームなのにアメリカ、イギリス、中国、ケニア、その他から選ぶようになっています。
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あだ名の欄があります。
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好きな球団の欄があります。
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好きな力士の欄があります。
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好きな妖怪の欄があります。
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超人パワーの欄があり、単位は万パワー。
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一見普通の購入場所も、良く見ると「大手スーパー」があります。
ダイエーとかで売っていたのか?
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持っているゲーム機とソフト本数の欄に「ぴゅう太」があります。
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気に入ったゲームの回答の中にひそかに「むっつり圭太の珍道中」というゲームがあります。
隠しゲームか、と思いましたが、特にそのようなゲームはないようです。
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このゲームをどのように遊んだか、という質問があるのですが、ゲームとして以外は「フリスビーとして」「ちょっと小粋なコースターとして」「お医者さんごっこの道具」「コンパクト代わりに」「穴に棒を通してくるくる」という、いかにもク○ゲーの使い道として考えられそうなものがあります。
ちなみに複数回答可です。
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誰とプレイしたかの欄に、「友達の彼氏(彼女)と」「義理のお母さんと」「義理のお父さんと」「メイドさんと」「家庭教師の先生と」「妹(姉)と」と、微妙なセンがあります。
「弟(兄)と」「親と」「いとこと」といったあたりはないのに、何を考えているんでしょうか。
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持っている弊社のマイクゲームの欄があり、「ドリームオーディション」の他になぜか「燃えろ!!プロ野球」のシリーズがあります。
「燃えプロ」ってマイク対応していたとは知りませんでした(本当か?)。
しかも「燃えろ!!プロ野球'95 ダブルヘッダー」ってセガサターンかプレイステーションのゲームなのに、どうやってマイク対応しているんでしょうか?
しかし本社も「燃えプロ」の○○っぷりは意識しているっていうことですよね。
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「さて、この問題は何問目?」とダメ系なクイズゲームのような質問があります。
答えは数字のものの中に一つ、「はないち問目」としゃれた回答があります。
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「マイクを何本持っているか」という質問ですが、まるでこれじゃ「わざわざマイクを同梱するな」と言ってもらいたいようなものです。
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「このゲームの発売を何で知ったか」という質問で、回答の中に「神からの啓示」という項目が。
しかも神様名まで書くようになっています。
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「このゲームを購入したきっかけ」という質問で、「人に脅されて」「人に薦められて」という回答があり、しかもそれぞれ脅した人、薦めた人を書く欄があります。
そんな人知ってどうするの!
ちなみに「つい、うっかりして」というお約束の回答もあります。
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最後の質問が「もし一億円が手に入ったらどうするか」というしょうもない質問があります。
ここは自由に書けます。
このように、本作はゲーム以外のところでもおバカなところが満載です。
これじゃ、小向美奈子も霞んでしまいます。
ク○ゲーマーはぜひともアンケートハガキつきで買いましょう。
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