1.PROJECT RS-3?
本作は、発売はコナミですが、実は開発元がトレジャーです。
しかも音楽が、「オウガバトル」「ファイナルファンタジータクティクス」などの作曲を手がけた「崎元 仁 」氏です。
以前この組み合わせで、「レイディアント シルバーガン」というシューティングゲームを製作しており、「本作が、もしかして実質の「レイディアント
シルバーガン3」になるんじゃないか?」と不安でした。
実際にやってみると、それは半分あたりで半分ハズレでした。
予想が当たった部分について、一番大きいのはディレクターまで「レイディアント
シルバーガン」と同じ人 だったということです。
実際に確認したのはスタッフロールなので、これまでゲームでいろいろ見てからだったのですが、「ああやっぱりこの人が作ったのか」と思ってしまいました。
その最たる部分は演出です。
まず、「回転」「ボスの巨大レーザー」をイヤというほど見せ付けられます。
1面ボスは自機の周りを取り囲まれ巨大レーザーで狙われる、「レイディアントシルバーガン」の「DAIKAI-10」みたいなボスだし、6面ボスは「斑鳩」の4面
みたいです。
取り囲まれるといえば、6面ボスの手前でも、回転している四角の枠のなかで飛び跳ねているコアを攻撃 したりします。
2面ボスや6面ボスのレーザー掃射をブロックや隕石の影でやり過ごすなんていうのも「レイディアントシルバーガン」の「UNDO」や「斑鳩」の3面ボスそのものです。
また、いまどきのゲームにあわせようとしたのか、敵弾や敵機はたくさんでてきます。
そのため、自機のショットは4連射(ダブルは2連射) になっています。
そして、自機の当たり判定も従来のグラディウスと比べて小さいような気がします。
強くなったな。
しかし、 エクステンドが最低20万点で、従来よりも1UPしにくくなってしまいました。
このエクステンドの周期や弾幕は、「レイディアントシルバーガン」や「斑鳩」に通ずるものがあります。
また、オプションが操作できるようになったため、攻略のカギが「ミサイル」「ダブル」による攻撃方法の使い分けではなく、「オプションの使い方」と、ゲーム性もちょっとこれまでと違っています。
特に、オプションの攻撃方向を操作できるパワーアップは、ミサイルやダブルが不要になる
ことでしょう。
さらに言えば、自機のパワーアップによる難易度の調整が無くなり、最初から殺すモード全開
です。
これは、「レイディアントシルバーガン」のポリシーでもあります。
画面効果なんか、まるっきり「斑鳩」です。
ボスの大爆発は「斑鳩」そのもの です。
背景の半透明の雲や、敵の放つ光球状の球なんかは、なんかどっかで見たような感じ
です。
案の定、「レイディアントシルバーガン」「斑鳩」同様、ディレクターがBGを担当していて、質感もそっくり。
ただ、この人が生物系のBGを描いたのは初めてみましたね。
グラディウス伝統の敵キャラ「ザブ」の登場も、これまでのグラディウスのような「暗闇から浮かんでくる」イメージではなく、「斑鳩」5面最初のザコ敵ソックリで、「光り輝いてワープしてくる」イメージなのは、従来のファンがどうかなー
って思うんじゃないでしょうか
「ボスオンパレードが多い」というのも特色かもしれません。
いきなり2面からボスオンパレード、中ボスも登場する面がほとんどで、トレジャーのゲームを彷彿とさせます。
良く聞いてみると、効果音も「斑鳩」から引用した、あるいは酷似しているところがあります。
特に敵のレーザーの射出音がそっくりで、グラディウスらしくない効果音です。
予想の外れたと思った部分は、やはり同社が開発したゲーム「シルフィード
ザ ロストプラネット(以下シルフィード)」 に近い部分があったためです。
製作者は違うようですが、雰囲気は似ていると感じました。
まず、ゲームシステムは「レイディアントシルバーガン」や「斑鳩」と比べるとわりとシンプルです。
まあ続編モノという制限があったためでしょうが、システムがシンプルなトレジャー製作のシューティングは「シルフィード」ぐらい
です。
考えてみれば、「シルフィード」も委託して作られた続編モノです。
音楽的にも、「レイディアントシルバーガン」よりは「シルフィード」に近い感じです。
やっぱり、本作は「グラディウス」らしいメロディを中心とした楽曲ではありませんでした。
なんというか、メロディよりもノリを重視したような楽曲 なのです。
「蒼穹紅蓮隊」でもない楽曲は、最初は「こりゃ実はNON氏か沙羅曼蛇2の作曲者の曲じゃないのか?」
と疑ったほどです。
一応氏らしいクラシック調の曲もありましたが、本作の(オリジナルの)楽曲はむしろ「シルフィード」の方が合っているのではないか
、と感じました。
ちなみに「シルフィード ザ ロストプラネット」はトレジャーの「NON」氏による作曲ですが、「NON」氏にグラディウスVの曲を作らせたほうが面白かったかもしれませんね。
また、演出的にも途中で無線が入ったり、艦隊突入のデモが入ったりするので、「シルフィード」っぽく感じました。
効果音もいくつか「シルフィード」っぽいところもあります。
もちろん、グラディウスを引き継いだところも多くあります。
パワーアップ方式やパワーアップそのもの、デモ以外にはメッセージが表示されない 、空中戦がある、文字フォントなどなど。
しかし、やっぱり異質な感じは否めません。
総評すると、本作は
グラディウスシリーズが40%、レイディアントシルバーガン・斑鳩が40%、シルフィードが10%、新規アイデアやその他10%
という感じのゲームになっています。
やっぱり、製作者も同じだけに、作風が似てしまうのは仕方ないところなのでしょうか。
3.どのグラディウスを参考にしたのか?
僕自身は「IV」は殆どやったことが無く、ましては「外伝」はプレイしたことすらありません。
その点を了承頂いて、どのグラディウスを参考に製作されたのか考えてみることにしました。
まず大きく参考にしたのは「II」か「III」だと思われます。
最初の4種類から選べるパワーメーターの選択は「II」「III」どちらにもありますが、追加のエディットモードは「III」
です。
面の構成も、人工太陽やクリスタル、高速ステージや基地面というあたりは「II」ですが、もしかすると高速ステージは「III」の方を参考にしたのかもしれません。
しかし、「モアイ」「火山」は全く出てきません。
グラディウスの顔なのに、一体どうしたんでしょう?
武装も殆どは「II」からのもので、「III」登場の武装もいくつかあります。
旧作のボス敵も、「II」からは、「ビッグコアMkII」「デス」、「III」からは、「ビッグコアMkIII」「ビーコン」が登場します。
もしかすると、不条理なやられ方をすることも多いので、ゲームバランスは「III」を参考にしたのかもしれませんね。
しかし、アーケード版に「I」から存在した、自機のパワーアップの程度に応じた難易度調整のシステムはなくなりました。
これでは、「わざとパワーアップを控えて敵の攻撃を抑えて復活」 という戦法が取れないということです。
個人的には、これはグラディウスとして大きなマイナスです。
そして、「沙羅曼蛇」も参考にしています。
というか、作者は絶対「沙羅曼蛇」好き で、かなり影響を受けています。
「レイディアントシルバーガン」「斑鳩」で、あの高速シャッターくぐり を真似ているんですから。
こりゃよっぽど好きなんじゃないかと思いました。
でも、そのシャッターくぐりは見られず(難易度を上げると見られるかもしれませんが)、そこまで多くはありませんでした。
復活する壁の体内ステージは本作を参考にしたものかもしれませんが、たしか「III」にもありませんでしたっけ。
唯一効果音で流用されているのも「沙羅曼蛇」です。
生物系の敵のダメージ音は沙羅曼蛇のダメージ音です。
そのほかは全部オリジナルで、これまでのグラディウスとは変わった印象を受けました。
ドラクエで魔法の効果音や効果音が決定音が違うだけでダメというファンもいるのですが、分かるような気もします(だからといって、本作の効果音がダメというわけではありません)。
しかし「テトラン」は出てきても、「ゴーレム」は出てきませんでしたね。
MSX版もある程度は考慮されています。
付録の「ビックバイパー開発史」には「リーク星人」「メタリオン」についても出てきますし、本作でも「ファイアーブラスター」はMSX版「2」で出てくる武装
です。
ストーリーでも「ヴェノム」は関係してきますし、最後のワープやメッセージの出るデモなんかは「ゴーファーの野望エピソードII」あたりを参考にしているんじゃないかと思われます。
ただ、個人的にはMSX版の面白さは、「復活の面白さ」だと思うのです。
復活については、後の章で述べます。
4.本作の進化はドラクエと似ている
本作の進化は、まるで「ドラクエ」のようです。
ドラクエは「VII」で久々の復活を遂げましたが、いまどきPSのゲーム? といった感じで、結局3Dを有効に活用していないようで、古臭いイメージでした。
(まあドラクエファンにはそれがいいんでしょうけど、これを言うと古参グラディウスファンも同様です)
これはグラディウス「IV」も同じで、僕も「古い」という印象です。
「VIII」では3Dを活用して、まるでいまどきの別のゲームのようになりましたが、本作もそんな感じです。
開発元が変わって、より開発元の個性が出てきたのも同じです。
画面イメージ的には、「サンダーフォース」の進化とも似ています。
サンダーフォース「IV」はメガドライブで2Dでしたが、「V」はセガサターンで3Dになって、3D表現を活用した演出になっています。
そのため、かっこいいのはいいのですが、やや画面が見にくくなってしまいました。
攻撃範囲も3Dになったため、当たらない弾と当たる弾の見分けがつきにくくなっています。
本作でも背景に潜む敵はもちろん、爆風やレーザーの残像などで、敵弾や自機、敵機を見失いがちです。
5.復活とコンティニューの関係
グラディウスシリーズの醍醐味の一つに、「復活」があります。
通常、シューティングゲームは「強い状態で敵を倒しまくる」ことに快感を感じます。
最近では「雨のような敵弾をかいくぐる」 快感も生まれてきました。
しかし、グラディウスシリーズでは、「途中でミスして弱い状態になってしまったあと、窮地を脱して先に進む」
ことの達成感に快感を覚えることを発見しました。
これを「復活」と言って、「復活パターン」などのように使われます。
通常「復活」は、やられると特定のポイントに戻されるゲームでないと楽しむことができません。
本作では、REVIVALをOFFに している状態です。
難易度調整のない本作では、REVIVALをON(その場復活)にしている状態では、「復活を楽しむ」とは言えません。
アーケードではコンティニューはできませんでしたが、MSX版をはじめとした家庭版では無限にできます。
特にMSX版は「死んで覚える」場面が多いため、コンティニューは不可欠です。
またMSX版は装備による難易度調整がないので、攻撃はいつもシビアで、当然復活も難しいのですが、やられてやられて復活を達成できたときの喜びは計り知れません。
しかし、本作はコンティニューに制限がついているのです。
装備が弱くても敵の攻撃が変わらず、弾幕系に近い本作では、復活はシリーズのどの作品よりも困難
です。
アーケード版のフルパワーアップの状態の敵の攻撃から復活しろ と言っているのと同じです。
ある意味復活のし甲斐がある かもしれませんが、その前にくじけてしまうことでしょう。
さらに一周までのプレイ時間が長い ので、そこまで到達するのにやり直さなくてはいけないと考えるとウンザリしてしまいます(プレイするたびにコンティニューの回数はふえますが)
辛うじて、これまで到達したシーンまではタイトルのステージセレクトで練習できるようになっています。
そこで復活の練習をすることもできますが、通常「復活する」だけで楽しめる人は少なく、「復活してゲームが進行する(記録に残る)」ことが楽しいと感じられる人が殆ど
でしょう。
それに、本作では装備による難易度調整がないから、多分そこで復活できるようになったら、強い状態のまま先に進めますからね。
6.なぜ、アーケードでは出さなかったのか
これまでグラディウスシリーズは、ほとんどがアーケードでデビューしていました。
ウデの立つゲーマーは何周もクリアし、ビックバイパーの残機を画面一列いっぱいに並べて
見せびらかしていました。
それが、本作ではいきなり家庭用ゲーム機で登場しました。
開発元のトレジャーも、アーケードゲームの開発のノウハウはあったはず。
これはどうしてでしょう。
一番の原因は、やっぱりアーケードは流行っていないということでしょう。
今はシューティングゲームはもちろん、ビデオゲームは不況です。
ゲーマーの人はつぎ込んでくれるでしょうが、うまいとプレイ時間が長くなり、ゲームセンター側の収入(インカム)が減ります。
発売元のコナミも「いまさらビデオゲーム?」という感じもあったんでしょうね。
そして、本作がこれまでのシリーズと違う点が多い、つまり「グラディウスらしくない」こともあげられます。
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殺人的な難易度+エクステンド回数が少ない
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コンティニューが可能
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二人同時プレイが可能
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1周のプレイ時間が長い
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復活が困難で、復活方式が違うとだいぶプレイ時間や点数などに影響する
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見ただけで難しそうだと思わせる、初心者には近寄りがたい印象
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途中でデモが入る
ただ、こう見てみると「殺人的難易度+エクステンドが少ない」「二人同時プレイ可」というアーケード向きな要素もあれば、「1周のプレイ時間が長い」「初心者には近寄りがたい」「デモが入る」という不向きな要素もあり、家庭用向けに作られたのか、アーケード向けに作られたのか、良く分からない作品という感じもしました。
家庭用に作るのであれば、もうちょっと敷居を下げた方がよいですし。
飽きられないように1周を長くしたのであれば、ボーナスステージやエクストラステージにするとか、復活方式を固定して途中でセーブできるようにしたほうがよかったのでは。
7.総評
正直言って、本作は、これまでのグラディウスとは別物と考えてしまってもいいでしょう。
弾幕系シューティングゲームに近くなり、ボスとの戦闘が増えた ためです。
「装備による難易度の調整」「適度な面の長さ」 というグラディウスの良さが無くなったのもイタイところ。
「グラディウスは復活が命」という人は、ちょっと後悔するかもしれません。
もちろん、「レイディアント シルバーガン」や「斑鳩」の続編として期待してもいけません。
サウンドは個人的嗜好が出てしまいますが、従来の崎元サウンドとは違った感じになっています。
「レイディアント シルバーガン」のような楽曲は期待しない方がいいです。
また、従来のグラディウスのようなメロディ中心の曲でもないので、これも期待しないほうがいいです。
いろいろ書いてしまいましたが、グラフィックは綺麗で、演出はカッコイイです。
その演出がプレイに影響することもありますが、それはご愛嬌。
こんな人にはオススメできます。
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変わったグラディウスをプレイしてみたい人
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グラフィックの綺麗なシューティングゲームを遊んでみたい人
なお、VERYEASYでも難しい
ので、初心者は注意すべきです。
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