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ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー #121
彷魔が刻(ファミコン)

購入金額:500円

ゲーム内容

ジキルとハイドを題材にしたアクションゲーム。
ジキル博士は婚約者の待つ教会に向かうが、街をうろつく爆弾魔、パチンコをうつ少年、ケンカするオバサンにオンチなオバサンに殺意を覚え、たびたびハイドに変身することとなる。
ハイドはジキル博士に潜む影のような存在で、ジキル博士の跡をつける死神のようなもの。
背景は夜、建物は崩れ落ち、まるでジキル博士の見る世界を鏡で移したように逆の進むようになっている。
ジキル博士のときはただ住民の追撃をかわすだけだが、ハイドのときは妖怪をパンチやショットで倒すようになっている。
ハイドのときに敵を倒していると、殺意が消えてもとのジキル博士に戻る。

H.Kuwanoの考察

1.遊び方をしらないとク○ゲーになるゲーム

ます電源を入れます。
おどろおどろしいフォント(文字の形)のメーカー表記のあと、おどろおどろしいけど落ち着いた感じのタイトルBGMと共に、傷跡のような「彷魔が刻」の文字が。
そして、画面下からスーッとバケモノのような緑色の手が「START」の文字をつかもうとしています。

しばらく見ていると、画面が変わってデモ画面。
彷魔が刻 の文字の下に、なにやら研究室のような部屋があって、なにやら試験管を眺めている男がいます。
彼がジキル博士でしょうか。

スタートを押してゲームを始めると、先ほどのデモ画面の男が、研究室から出て行きます。
そして、街の中からスタートです。
画面上にはLIFEMETERCOIN があります。
METERには左にJ、右にHとあり、イマイチ意味が分かりません。

たけしの挑戦状」や「シャーロックホームズ」とは違い、街の人は襲ってこないようです。
Aボタンでジャンプ、Bボタンで杖による攻撃を行うようですが、街の人に杖で攻撃してもなにも起こりません。

街にはいくつか扉のついた入れそうな建物があります。
上を押すと扉を開けた音がして、 主人公が消えました。
しかし、買い物やダンジョンに入れるのかと思ったら、すぐに出てきました。
いったいなんなんだ?

そうしているうちに、ハッチ帽を被った少年がなにやら拳銃のようなものをバーンを撃って来ました。
弾はとても早く、かわすまもなく当たってしまいました。
点滅し、仰け反ってはね飛ばされる主人公。
しかし、LIFEは減っていません。
その代わり、METERというゲージの右側が少し緑色に、三角状に表示されていました
いったいなんなんだ?

さらに、なにやら街の人の動きが速くなっています。
その街の人に触るとはね飛ばされ、さらにMETERの緑色の部分が増えていきました。

画面右側から、唯一動きの遅い紳士らしき人がこちらに近づいていきます。
すれ違うかな、と思いきや、一目散にUターンして逃げて行きました。

…もしかして、スリかな?
と思っていると、なにやら足元が爆発 しました。
ごっそりと削られていくLIFEとMETER。
まだLIFEが残っている、と思うと、主人公は頭を抱えてその場にうずくまり、画面は真っ暗になってしまいました。

もしかして、死んだのか?
と思うと、背景が夜になり、ボロボロに崩れ落ちた街になにやら黄色い服を着た野蛮なおっさん がいます。
もしかしてコレがハイド氏でしょうか?
なにやら左方向への強制スクロール になり、脳に足と牙のついたバケモノが飛び跳ねて襲ってきます。
おっさんはBボタンでパンチを繰り出し、Aボタンでさっきの男よりも高くジャンプすることができます。

どうやらLIFEは先ほどの男と共有しているみたいです。
先ほどの爆風のダメージもあり、さらに多勢に無勢で、おっさんはLIFEが無くなって力尽きてしまいました。
今度こそ本当にゲームオーバーです。

操作性の悪いのを我慢して、今度こそは頑張ってみよう、と思い、タイトル画面の緑色の手を、CONTINUEの文字にあわせてスタートしました。
最初の状態と殆ど変わっていません。

先ほどの紳士の動きを観察していると、紳士が去った後に、足元に黒い●が残されています。
ジジジッと音が鳴ることから、これは爆弾 のようです。
慌てて逃げましたが爆発までに間に合わず、しばらく進んだ後でまたMETERが緑色に埋め尽くされてしまいました。

さきほどの黄色いおっさんの場面で、頑張って敵を倒したりよけたりして進んでいると、いきなり雷が落ちてまたもや力尽きてしまいました。

このゲームは一体なんなんだ!!

 

 

2.独特なゲームシステムは評価できる「業なゲーム」

インターネットで検索すると 、どうやらこういうルールなのだそうです。

  • ジキル博士の状態で、教会で待っている婚約者に会うのが目的。
  • METERが完全にHになると、ハイド氏にチェンジ。
  • ハイド氏の場面は、ジキル博士の状態背景を鏡で映したように対称になっており、ジキル博士の後を追うように進んでいく。
    ライフが無くなったり穴に落ちたときはもちろん、ハイド氏がジキル博士のいる位置にたどり着くと雷が落ちてゲームオーバー。
  • ハイド氏は上ボタンとBボタンで飛び道具を撃つことができる。

なるほど、その場でハイド氏に変身するのではなく、後を追うハイドに交代すると考えれば分かりやすいですね。
気を取り直してレッツプレイ!!

いろいろな障害に悩まされ、プレイしているこっちがハイド氏に変身しそうになりつつも、なんとかエンディングを見ることができました。
非常に印象的な終わり方ですね。

このゲームを通じて伝わったことは、「人間には誰しも善の面と悪の面があり、このストレス社会の中で、ふとしたことから悪の面が顔を出すのだ。」ということです。
僕は原作の「ジキル博士とハイド氏」を詳しくは知らないのですが、きっと原作もこうした「人間の二面性」を描いているのでしょう。
このゲームは薬で変身しないなど、原作を無視しているようですが、本筋の部分は保たれています。

 

3.でもやっぱりク○ゲー

それでも、結局このゲームはあまり面白いゲームじゃありません。
操作性が悪く、バランスも悪いのです。

特にハイドの面では、強制スクロールのためか歩いて壁にぶつかると勝手にジャンプします。
そもそもジャンプの軌道もおかしいですしね(古き良きパソコンゲームといった感じです)。
また、画面中央より左側にいけない ため、うっかりするとダメージを食ったり落とされたり してしまいます。

ジキル博士にしたって動きが遅く、樽や爆弾魔が連続して先に進めないとか、オンチな婦人の前でハイド必至とかいう状況になりがちです。

コインの表示が一つ欠けている(こんな感じ→OOOOOO OOO)とか、ジキル最終面のめがね橋の謎なワープ(橋から落ちると画面上から登場)があるなど、小さななミスも目に付いて思わず笑ってしまいます。

また主人公の唯一のアイテムである「コイン」も、オンチな婦人の口止めに使うしか利用方法がないのが残念です。
用途がないといえば、パッケージには薬品の絵が描かれているのに、ゲーム中には一切出てこないのが(一応オープニングデモで研究しているか…)残念です。

 

4.こんなゲームはどう?

せっかくだから、このゲームのシステムを活用して何か面白いものはできないか、考えてみました。

ジキル博士でプレイヤー自身にも溜まったストレスを、ハイド氏が発散させる、しかしそれは同時に後ろめたいことをしている、というゲームデザインはどうでしょう。

ということで、次の二つのようなゲームが思い浮かびました。

  1. 横スクロールタイプのアクションアドベンチャーゲームで、ジキル博士は新薬の作成に情報収集をするが、ストレスが溜まるとハイドに変身。
    変身後は街の中の者や人々を攻撃することによってジキル博士に戻れるが、ハイドのときに壊したものや倒した人は復活しない(クリア不能な状態にもなりうる)
  2. 縦スクロールのシューティングゲームで、ジキルモードでは攻撃力が弱いショットで、敵弾を被弾するたびにハイドモードになっていき、攻撃力が増す。
    敵を倒すたびにジキルモードに戻っていく。
    しかし完全なハイドモードで被弾するとゲームオーバー。
    (なんか自在にモードが変えられれば「カオスフィールド」みたいなゲームになってしまいますね)

攻略情報

最終面攻略のコツ

ジキルの最終面は、樽が転がる上にひっきりなしに爆弾魔がやってきて、しかも爆発までの時間が短くなっているので、かなり難しくなっています。
計画的にハイドにならないと、ハイドになってもライフが少ないため、すぐにゲームオーバーになってしまいます。
樽はライフも減ってしまうので、ハイドになるのは爆弾魔の爆風を利用しましょう。
(直撃するとライフもかなり減ってしまいます。4キャラ分ぐらい離れていればよかったはず)

もし、ハイドで最後まで行かずにジキル面をクリアするのを目指すのであれば、ジキルが最終面に行く前に、ハイド面は1〜2面ぐらいで止まっていないとかなり辛いものがあります。

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