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ノーベル賞受賞後の第一作。 イシグロの小説は一口に言えば人間とは何かを問いかけている。 |
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Klara and the Sun by Kazuo Ishiguro 2021 カズオ・イシグロ『クララとお日さま』 ノーベル賞受賞後の第一作。さすがイシグロ。 主人公クララはロボット(AF:Artificial Friend)で、彼女が語り手なので、文章は易しい。10歳ぐらい子供から楽しめると思う。 私は最初からクララに感情移入できて、彼女と喜びも哀しみも 共にすることが出来、温かい気持ちで読み終えた。 物語は、ロボットを販売している店の中から始まる。ロボットにも個性があり、クララは、見たい、知りたい、学びたいという性格がある。そこでクララは何を見たか?彼女は、ある買い手を待っている。 クララはジョジーという病弱の少女に買われていく。近くにリックという友達がいるて、この二人を中心に物語は淡々と進み、穏やかに終わる。 クララはお日さまをエネルギー源としていることもあって、お日さまはクララにとって神様のようなものである。太陽の位置、日差しについての記述が絶えず挟まれていて、時間の流れを感じさせ、描写に現実感を与えている。(この手法は 前作Unconsolededでも採られていた) この作品についてカズオ・イシグロが自ら語っているのが Youtubeで聴ける。 https://www.youtube.com/watch?v=vdSzcu52gFY 彼の問題意識がよく分かる。特に、魂はデータとは別のものではないか、と問いかける。 しかし、読者は余り難しいことを考えずに、物語を楽しめばよいと思う。 英語は易しいので、単調にならないようにどう訳すのか、見たいと思うが、図書館予約待ち件数は現在90件。いつか読むつもり。 2022・8・30 |
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