『マーガレット』以降の作品紹介です。
リストで読みたい作品を選んでとんでくることもできます。
子供はわかってくれない(1988年マーガレット2号〜1989年6号)
元スケバンの保母・カンナが仲間とともに世の悪事をあばく…というか事件に巻き込まれる話。
子持ちのやもめ男に弱いカンナと、陰は薄いがカンナひとすじの五郎、巻ごとに違う高級外車で登場するお嬢の比呂子。頼りない3人が、モタモタしながら事件を解決します。
元とはいえ「スケバン?」とも思うんだけど、よく考えたらもう12年ほど前の話。当時ならたしかにスケバンなるものも生息してたかも。
スローモーション(1987年週刊マーガレット28号)
おんぼろボクシングジムを経営するダメな母親と暮らす、しぶきちゃんの物語。
気はいいもののお互い浮気性のママとパパは、現在離婚中。そんなおり、ママが目をかけている若手選手と、再起を賭けたパパが対戦することになり…
パッション(1988年週刊マーガレット12号)
「スローモーション」の続編。
しぶきちゃんのつたない恋心と不器用なオトナ二人の恋物語が、平行して描かれます。
男勝りで惚れっぽい主人公というあたり「子供はわかってくれない」とちょっと似ている。
ボロいけれどもアットホームな集団生活、というのは「わたしはサボテン」かな?
ポーラ・スター(1988年マーガレット14号)
天国の接吻(キス)(1989年マーガレット12号〜17号)
両親のアパートに「大家さん」としてやってきた女子大生の晶(あきら)。
しかし、住人はみななぜか全員見目麗しい男性モデル。その中でもとりわけ晶と縁のある羊(よう)は、なんと晶の義姉のかつての恋人であった。
すごく御都合主義な話なんですが、読んでて楽しいです。
どすこい天国(1990年ブローチクリスマス特集号〜1992年ASUKA3月号)
相撲取りの若玉田くんに一目惚れしたカマボコ屋の娘・つみれちゃん。
美男力士に目のないおばあちゃん、プレイボーイだけど実は相撲オタクの砂岡さん、ほか相撲部屋の味わい深い仲間達を巻き込んで繰り広げられる恋物語…というより片思い物語。
肝心の若玉田くんはおばあちゃんいわく「オバサン顔」にぬぼーっとした性格で、いつもの作品に出てくる男性キャラクターよりはインパクトがないのですが、あったかい雰囲気が楽しい一作です。
月曜日が待ち遠しい(1990年別冊ヤングユーSPRING〜ヤングユー10月号)
国内トップクラスの実業団女子バレーチーム。日々練習にあけくれる仲間たちの、それぞれの恋と青春の物語。
それぞれ主人公の違う4作がおさめられた一冊です。
読み返すと、「あとで主役になるこの人、この回ではこんなことを…」という発見があって面白い。
強気でちょっと不器用、という女の子が主役なのは相変わらず。こうして女だけの世界が舞台の作品を読むと、どうしても「海猫寮シリーズ」を思い出してしまう。
レッスン(1991年ヤングユー3月号〜6月号)
実業団リーグ最下位のバレーボール・チームの監督を突然命じられた熱海。
男と駆け落ちしてバレー界から姿を消していた、かつてのエース・万葉も同時に入団してくるが、気ばかり強くてなかなかチームになじもうとしない。
前途多難なチームと、熱海をめぐる恋の行方を描いた、さわやかな一作です。
遭うときはいつも他人(1991年ヤングユー11月号〜1992年5月号)
絹の靴下(1992年ヤングユー9月号〜1993年5月号)
地味なだんご屋の娘・公子と、社長さんの恋物語。
公子がいきなり、そば屋で見初めた男性に声をかけるところから、話ははじまります。
ところが彼は、公子が勤める会社の若社長。そこから二人の社内恋愛?が…
舞台はひと昔前の映画に出てきそうな、典型的な「会社」。公子はお茶くみやコピー取りに精を出し、おしゃべりな先輩ОLコンビは噂話に花を咲かせています。(この二人がまたいい味を添えている。高橋由佳利って、膝下だけの会話シーンがもの最高に上手い)
さほど取り柄のない主人公に男たちが惚れるところや、あまりにも御都合主義なラスト(「わたしはサボテン」に少し似ている)など、ありがちなストーリーなんですが、嫌味がありません。これはやっぱりキャラクターの魅力。
星に願いを(1991年別冊ヤングユーSUMMER)
トルコでわたしも考えた(1992年別冊ヤングユー/ヤングユー7月号〜現在連載中)
食事や買い物、流行歌など生活に密着したことがテーマなので、地理や外国情勢に疎い自分でもすごく楽しめる。政治的なことを描くのはなかなか難しいのでしょうが…
「ヤングユー」誌上で現在も連載中です。
02/08/21追記:
先日3巻が発売されました。
あとがきによると、写真撮影のため発売が遅れたらしい。どうせならあと一ヶ月待ってW杯後編も収録すればよかったのに。丁度4年後に4巻が出たら面白いけど(笑)
正直なところ、外国事情に人並み以上の関心があるわけではない自分にとって、トル考は高橋由佳利の絵、技法で描かれてるからこそ価値がある。それはかつて好きだった漫画家へのノスタルジーという意味合いではない。高橋由佳利にはこういうエッセイ漫画の素養がもともとあったと思う。りぼん時代の単行本の柱だって面白かったし、なによりあの、妙に地に足がついたような、それでいて可愛らしい絵柄と文字。食べ物など身の回りのものをさらっと描かせたらほんとに上手い。
ヤングユー本誌で読んでると、正直時折「そろそろネタ切れじゃなかろうか…」と心配になったりするんだけど、こうして単行本になると「まだまだイケルじゃん!」と安心してしまう(笑)
あとがきに
「『トルコをそんなに好きなのか』と訊かれると、正直いってよくわからないし、『トルコのためになにかしたい』という献身的な動機でもない。ただ、自分の人生を肯定したいから、書きつづけているのだと思う」
という一文があったのだけど、これはいいなあと思った。自分の生まれた町、住んでる町、成り行きで自分と縁深くなったものにに対してこういう気持ちを抱いてしまうのが人間ってもんじゃないかなと。