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はじめて読んだ作品は「シルク」(1983年りぼん12月号掲載、読み切り)です。
近所の喫茶店に置いてあった「りぼん」の巻頭に掲載されてました。
(巻頭というのは思い込みかと懸念してたんですが、えいこさんのサイト「また会う約束」内のりぼんの目次で確認したところ、間違いありませんでした)
小心者なのに派手好きな金髪少年の物語なのですが、子供だった私にはあまり理解できず、流し読みにとどまりました。
しかし、寒色系でまとめられた美しいカラーページは印象的で、後々まで心に残りました。

次に目にしたのは「さよならなんていえない」(1982年りぼん9月号〜翌年10月号掲載)の単行本。
教師をしてる母親にくっついて、同僚の先生の家を訪ねた際、生徒から没収したというんで部屋に置いてありました。大人たちが世間話をする横でなんとなく手に取ったのですが、これもあまり理解できず。3巻しか置いてなかったというのもあるんですが。

「さよならなんていえない」は、りぼんマスコットコミックスで3巻まで出ていますが、どれも表紙が非常にシブイ。
今みてもセンスがよくてため息が出ます。
(集英社BOOK NAVI内の文庫版表紙画像その1その2←新書版の表紙絵をそのまま使ってる。でも人物だけアップにしちゃってるのが勿体ないなあ)
話の内容にはついていけなかった当時の私も、表紙が気に入ったのでタイトルを頭に入れました。
ちなみに、「わたしたちができるまで」(角川書店)でご本人も「この時の表紙イラスト、どれも良い出来なんです」と述べています。

結局私が「りぼん」を買うようになったのは小学4年生になってから。このときに連載がはじまった「夢で逢えたら」(1984年りぼん12月号〜翌年5月号)に一発でノックアウト(死語だけど、まさにこんなかんじ)されてしまい、夢中になりました。
(今考えると、「シルク」読んでから1年ほどしかたってなかったんだな…子供の成長って早い…ということにしておこう)
ビルの屋上でひとり暮らしする躁鬱症の男の子と、くるくる巻き毛がかわいい女の子の恋物語。彼女の作品の舞台はほとんど東京(だと思われる)なのですが、この作品では主人公は私服で高校に通っており、派手じゃないんだけどオシャレでかんじのいい格好をしてました。見渡すかぎり田畑…という町に住んでいた子供(私)にはあこがれの生活だった。
しかし連載中はあまり人気がなかったようで、いつも巻末だったのを覚えてます。子供心にも浮いてるのが感じられました。
前述の「わたしたちができるまで」によれば、このころは「りぼん」の読者層が低くなってきたこともあり、しんどかったそうです。
(結局小椋冬美はこのあと連載をひとつこなし、1987年からフリーになって「ヤングユー」で超ファッショナブル(笑)な「ビーマイベイビー」を始めます)

親にねだってうまれて初めて買ってもらった漫画(コミックス)は「ごめんねダーリン」(1984年りぼん2月号〜7月号連載)。
これはそんなに「オトナー」というかんじのしない居候コメディで、「りぼん」の読者にも広く受け入れられたんじゃないでしょうか。前述のりぼんの目次で確認すると、巻末に落ちることもなく連載を続けています。
コミックスを手に入れた私は舞い上がってしまい、毎日絵を模写してました。
ご多分にもれず、当時の私の夢はりぼんの漫画家になること。あのころの「りぼん」には、女の子にそういう夢をみせる魔法がありました。

続けてコミックスを集め、上記「シルク」(短編集の表題作になっている)もあらためて読み返すことができました。
先輩に思いを寄せる男子高校生の話、失恋したOLの話など、バラエティに富んだ内容の一冊です。
小椋冬美が「りぼん」専属だったのは10年ほどですが、初期の傑作集をのぞくと、短編集はこれ一冊しか出ていません。
(正しくはもうひとつあるんだけど、「リップスティック〜」などで看板作家となる前のもので、雰囲気が若干ちがう)
のちの「天のテラス」に代表されるような洗練された短編もいいですが、ここに収録されている作品の若々しい素朴な魅力は貴重なものです。彼女を知るには、この一冊がもっとも適しているんじゃないかと思います。

(01/09/30)




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