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作品のあらすじと感想です。
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6月の風にゆれて 小椋冬美傑作集1


6月の風にゆれて

子供っぽくてボーイフレンドの一人もいない京美は、高校の先輩で大人っぽい笹見さんにあこがれている。しかし最近、ひょんなことから知り合ったラジコン好きの悟くんに調子を狂わされっぱなし。
ある日、あこがれの笹見さんにに誘われた京美は夢見ごこちでデートにのぞむ。でもなんだか落ち着かず、悟くんのことが気になって仕方ない。


うれしい昼下がり

デビュー作。

曲がり角でぶつかった銀ぶちメガネの彼にひとめぼれしてしまったむつみ。
日曜日に出かけたバーガーショップで再会し、舞い上がってしまう。
でも彼には美しいガールフレンドがいるようす。


ウェンディの小さな家

ロビンとベンが暮らす町はずれの家に、ある日元気な女の子が迷い込んでくる。名前はウェンディ。
身元も事情も明かさないまま、持ち前の明るさで暮らしにすっかり馴染んでしまう。
しだいにひかれあうロビンとウェンディだが、彼女が逃げてきたのにはとある事情があった。


冬色の絵本

美しい叔母に夢中なあまり、女の子たちのアプローチから逃げ回ってばかりの裕明。幼なじみの菜穂は、そんな彼を苛立たしく思っている。
あこがれの人を絵に描こうとキャンバス片手に叔母の家をたずねる裕明だが、その日のおばさんはどこかいつもと違っていた。


たんぽぽのメロディ

学園の人気者、修詩くんにあこがれているみのり。しかし彼をとりまく女の子の輪には入っていけず、いつも遠くから見ているだけ。
そんなある日、彼女はひょんなことから彼の秘密を知ってしまう。



金曜日にはママレード 小椋冬美傑作集2


金曜日にはママレード

カード占いで恋人出現を宣言されたりのは、クラスメイトの水野くんが気になりはじめる。彼のかわいがっている子犬が縁で親しくなる二人だが、まわりのウワサ話に心乱されたりのは預かっていた犬を逃がしてしまう。


雨のささやき

俊一の家に居候することになっためぐみは、信じられないほど不器用な女の子。しかし明るく素直な性格に、俊一は好意を抱く。
しかし、俊一のガールフレンドの前でドジをやらかしてしまっためぐみは、落胆して家をとびだしてしまう。


魔法のオレンジ・エッセンス

クリスの家に、遠縁の女の子・マリーがやってきた。
身体の弱いクリスはいつも一人でおとなしく過ごしていたが、彼女に誘われ友達と元気に遊ぶようになる。
いつかサッカーをやりたいという彼のために、マリーは魔法のオレンジエッセンスを取り出しておまじないをかける。


ラバーズ・コンチェルト

喫茶店で突然年下の男の子に声をかけられた聖子。無愛想で通っている彼女はつめたく応対するが、彼はめげずに誘い続ける。
クラシックが趣味の聖子と、バンドに精を出すロック少年の亮。世界が違いすぎると聖子はためらうが、一緒に過ごす時間が次第に楽しく感じられるようになる。


きまぐれな鳩時計

8ページのイラストポエム(?)
鳩時計から逃げ出したハトを捜しに家を抜け出した女の子のお話。



ルフラン夢色 小椋冬美傑作集3


ルフラン夢色

アパートの隣の部屋に住む磯辺くんに想いを寄せる久美。
しかし顔を合わせてもふざけてばかりで、なかなか素直になれない。
ある日、彼が家庭教師をしている女の子から磯部くんの家庭の事情を聞いた久美は、なぜ自分に話してくれなかったのかと落ち込んでしまう。


海よ遠い波の歌

伸吾は両親の海外出張のため、兄と二人暮し。
スーパーでばったり会ったクラスメイトの羽衣子が、次の日からせっせと料理を持ってきてくれるようになる。しかし彼女のお目当てははプレイボーイの兄・星夜。
これまで彼女のことを生意気で気に食わないと思っていた伸吾だが、次々と意外な一面をみせられ、心が揺れる。


桜降る春のまん中

大好きな万葉集の歌に桜の花びらを添えて、あこがれていた小泉くんに思いを伝えた雛子。
しかし彼のほうは肝心の歌の意味がわからず、顔をあわせても心はすれ違ったまま。


気分でとばせて

学園のマドンナ・季実子さんと、グズの香津美は恋人同士。まわりが不釣合いとウワサしても、二人はいつも仲が良かった。
しかし、学園一のプレイボーイが、季実子さんに猛烈なアタックをかけはじめる。


いとしのサマーブルー

街角で金髪の男の子にカサをさしかけられたまさみ。彼にあこがれの地・カリフォルニアの香りを感じて胸をときめかす。
転校生としてやってきた彼と仲良くなるものの、どうやらなにか秘密があるようす。



Mickey ミッキー


Mickey ミッキー

フィギュアスケートが得意なミッキーは、学校の人気者。しかし皆の期待に応えようとするあまり、女の子らしいことから遠ざかっているのがひそかな悩み。
ある日、プレイボーイの新聞部部長・グレイにからかわれてしょんぼりしているミッキーの前に、シンシアと名乗る妖精が現れる。
シンシアにはげまされ、ミッキーはドレスアップしてパーティに出かける。


星の扉をノックして

音痴の不二子は音楽の授業が大の苦手。
でも音楽部の岩田くんと知り合って、バンドの練習を見学するようになってから、素直に音楽を楽しめるようになる。
そんなおり、授業で歌のテストが行われることに。


きんぽうげ

16歳のレオンは、礼拝堂の前でみかける女性・サブリナと知り合う。きんぽうげの花咲く村から出てきた彼女は、歌手の夢破れ酒場の歌い手になっていた。
故郷の話をするとなぜかぶっきらぼうな態度を取るサブリナ。その奥に隠されたほんとうの気持ちを知ったレオンは、彼女に故郷に戻るようすすめる。



Mickey ミッキー 2


Mickey ミッキー 2

憎まれ口など叩きつつも、つきあいを続けるミッキーとグレイ。
しかしグレイの前には訳ありげな美人教師、ミッキーの前にはペアを組もうとせまる天才スケーターがあらわれ、二人の間には様々な誤解が生じる。


週末

真理子はイトコの聡ちゃんのことが好き。小さいころはよく一緒にあそんだが、年頃になった聡は女の子とのデートに忙しく、あまり顔を合わせる機会もない。真理子は幼いころ原っぱで遊んだ思い出だけを大事に心にしまっていた。



赤い天使


赤い天使

カメラマンのマモルの前に、ある日ひとりの少女があらわれる。名前はミオ。
生意気で派手で、とても手に負えそうにない彼女になぜか魅かれていくマモル。
二人は一緒に暮らすようになるが、意見の食い違いやミオをとりまく男たちのせいで、マモルの心は休まらなかった。


ひそやかに秋は沈黙する

自主映画を撮っている哲朗は、喫茶店で主演女優にぴったりの女の子をみつけて声をかける。
彼女の名は青蘭、哲朗がかかさずみている大好きな料理番組の先生の娘だった。
映画撮影もだいぶ進んだころ、青蘭は母親に新しい恋人ができたことを知りショックを受ける。元気づける哲朗だが…


だから今夜はスローダンス

ひとり暮らしの浪人生・次郎は、町でいっぷう変わった女の子、チカと知り合う。
二人は一緒に暮らすようになるが、チカは大きな不安を抱えていた。



リップスティック・グラフィティ (前・後)


リップスティック・グラフィティ

ひっつめ髪のポニーテール、女の子らしいところはひとつもない街子と、いつもオシャレに気をつかい、男の子に囲まれている神子。ふたりの通う高校は男子部と女子部に分かれており、なにかというとクラスをあげて大騒ぎ。
そんなおり、姉さんの見合い相手が街子の担任の先生だったという大事件が発覚。先生のほうは街子のお姉さんにひとめ惚れのようす。
街子の前にも、ちょっと小憎らしい同級生の新巻くんと、オトナっぽい上級生の紀文さんがあらわれて、なにやらいろいろ変わっていく予感。


熱い紅茶のおかわり

漫画家生活6年目に入った小椋冬美の私生活。ファンには嬉しいエッセイ漫画です。
「リップスティック・グラフィティ」の元になった高校時代の思い出や子供のころの記憶、トシちゃんのポスター貼ってるなんてこともわかります。



さよならなんていえない (1〜3)


さよならなんていえない

麻美はイギリス人の祖母の血をひく美少女。画家の祖父の影響もあり、美術部で絵を描くことに熱中している。
ある日彼女は、女の子にはモテるが愛想が悪いことで有名な隆生と出会う。第一印象はお互い最悪。
ところが後日、ひょんなことから隆生の幼なじみがやっているバンドを見に行くことに。昔の隆生はあんなふうではなかったという話を聞いて、彼のことが気になりはじめる。
隆生は、麻美との意地の張り合いの末バンドに入る。周りの皆は喜ぶが、当の二人の間には多くのわだかまりがあった。

「リップスティック・グラフィティ」と同じ高校生ものでありながら、こちらはまた趣の異なる作品。この2作がやはり名実ともに小椋冬美の代表作と言えるのではないでしょうか。
勝気な美少女、家庭に問題を抱えた美少年、美大に通うオトナっぽい先輩、年下のイトコに想いを寄せる女子大生、そしてバンド、ギグ…
80年代文化のエッセンスがうまくすくいあげられています。
初対面の印象が最悪だった二人が、様々な衝突を繰り返しながら絆を強めていく…というのはたとえば「風と木の詩」や「トーマの心臓」なんかもそうですが、よくあるストーリーではあります。ひとつひとつのエピソードがリアルでないとなんの説得力もないものですが、この物語ではささいな出来事が丁寧に積み重ねられており、二人がひかれあっていく過程がすんなり心に入ってきます。
クライマックスの文化祭のシーンが、子供のころの私には非常にオトナっぽいものに感じられて、高校生活へのあこがれをかきたてられました。



ごめんねダーリン


ごめんねダーリン

世界中を旅して回ることが夢の園子は、あこがれの作家・大貫先生のうちにやってくる。お手伝いさんとして雇ってほしいという彼女を仕方なく受け入れた一家。
しかし大貫家の三兄弟、とくに次男の里見は偏食や気まぐれで園子を悩ませる。
明るく元気な園子だが、男だらけの大貫家での生活は前途多難。

ポップで可愛らしい作品。私としては初めて買ってもらったコミックスなので、思い入れもあります。
キャラクターの配置やストーリーのテンポも良くて、小椋冬美にはちょうどこのくらいの長さ(単行本一冊分程度)が合ってるんじゃないかと思う。
余談ですが、これと「シルク」「砂漠の夜へどうぞ」はとくに如実にロックの影響が出てるような気がします。端的に言うと、キャラクターのアタマがでかい(笑)当時はこういうアタマがロックの人達の間で流行ってたんだな。
さらに余談になりますが、途中岩館真理子がモブシーン描いてるところがあります。おない年のお手伝いさんがやってきたと知って、里見の家まで押しかけてくるクラスメイトたちがそれ。結構貴重な場面かもしれません。(そのほか、「リップスティック・グラフィティ」では、街子が神子の母親の店に行く回で岩館真理子がモブシーンを描いてます)



シルク


シルク

レコードショップで働く塔也は、無類のハデ好き。しかしほんとうは小心者で真面目な性格だった。
お店にやってきたショートカットの女の子と知り合った彼は好意を持つが、彼女には恋人がいる様子。それでも二人は一緒に出かけ、いろんな話をしながら気持ちを通じ合わせる。

自分で「性格が地味」とわかってるにもかかわらず、「おでんなんてダサすぎる」と文句を垂れる塔也くんが若々しく可愛らしい(笑)
髪を金髪にして遊びあるいても、なんとなく心は晴れない。代わり映えのしない毎日。夜、自分の部屋に帰ってTシャツ一枚でストーブのスイッチをつけるその表情は印象的です。
そんな彼が一人の女の子と出会って人生に喜びを見出していく。しかし実は女の子のほうも、彼によって救われているのです。
一生懸命やってても、一人じゃなんだか上手くいかないことってある。けれど二人になれば、なにかいいことありそうな気持ちになれる。そういうのっていいなと思います。



いつかこんな晴れた日

無愛想な令子と高野くんは似た者同士。
なんとなく知りあい、なんとなく会話を交わすものの、どこかちぐはぐでうまくいかない。

他愛ない恋物語ですが、ラストシーンにはけっこう感動させられます。
文系(だと思う)大学生のちょっと気だるい私生活感が伝わってくるのもいい。



花まつり

失恋したばかりのOL・景子に、喫茶店でひとりの男の子が声をかけてきた。
気まぐれで誘いに応じた景子だが、心をよぎるのは辛い思い出ばかり。調子のいい彼の会話が気持ちを余計苛立たせる。

ステレオタイプといえばそれまでですが、実にオトナな男と女の物語。


砂漠の夜へどうぞ

有人はちょっと気の弱い高校2年生。
文芸部の杏子先輩にあこがれて入部したものの、彼女は卒業してしまい、気が抜けたような学生生活を送っている。
しかしある日、有人は街でぐうぜん杏子先輩に出会う。先輩はライブハウスで詩の朗読をしていた。

この短編大好きなんです。まず有人くんが可愛いから。
優柔不断で腑抜けた生活を送っていた彼が、しだいにシッカリしてく様子が自然に描かれており、気持ちよく読めます。



夢で逢えたら


夢で逢えたら

さえ子は内気で真面目な女の子。イトコに連れて行かれたボーイズバーでクラスメイトの凍場くんと顔を合わせたときから、彼のことが気になりはじめる。
さえ子のために真っ赤なバラの花束をかついで登校してくれる凍場くん。
彼の気まぐれを知っているさえ子は戸惑いつつも、嬉しく思う。

最終回は『りぼん』読みながら感動して泣いたのを覚えてます。



パーティがはじまる (前・後)


パーティがはじまる

遊び人の郁夫とお坊ちゃんの重行は、マンションで同居生活中。平穏な高校生活を送る郁夫の悩みといえば、重行が自分にしか心を開かないということ。
しかし、二人の前に眉毛のふとい女の子・恭子があらわれた日から、その関係は変わっていく。

なんというか、けっこう混沌としたイメージのある作品。
「りぼん」で連載が始まったときは、完璧に浮きまくってました。だってほかのページでは柊あおいや水沢めぐみが胸キュン話を繰り広げてたんだから…
「わたしたちができるまで」(角川書店)によると、これを描いてるときにフリーになると決意したんだそうです。そのためか、ある種居直ったような雰囲気が感じられないこともない。
重行の担任の国木田先生が非常にいいキャラで気に入ってたんですが、のちの「オリーブの木陰」で主役になったので再会することができました。



うさぎ頃のマリア

別れた男の子供を妊娠してした茉亜子は、電車の窓からふと見えた町に降り立った。
ところが、身体を休めに入った食堂で、店長のお嫁さんと間違えられてしまう。

初期の作品「ウェンディの小さな家」を思い出します。


夏がやさしく

町外れの店で働くウェイトレスのまり江は、いつも同じ時間にやってくるサラリーマンのことが気になっていた。
ふとしたことで声を交わすようになった二人は、休日にデートの約束をする。

これは「ヤングユー」のほうで描かれていてもおかしくない一作。

(01/10/22)




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