この「レベルX」は、東京写真美術館の地下1階で開催されています。
まず入り口の前に、新作ゲームが展示されています。 とはいっても、数点だけで、GBA「鉄腕アトム」「ドラクエスライム〜」、GC「ポケモンスタジアム」、PS2「レーシングレボリューション」など、もう発売されているゲームが10台近くある程度で、本当にオマケのようなもので、中途半端な印象を受けました。
そして、入り口の前には、「ゲームのプレイ画面を編集したムービー」をプロジェクタで映し出しています。 その入り口には、太田出版のファミコンの本や、アンケートの記入のスペースがあります。
そして入り口に入ると、まずは「開発者インタビュー」に出てくる人の履歴書があり、それぞれの開発者の作品や、ゲームの仕様書などが展示されてます。 開発者インタビューに出てくる開発者は、以下の通りです。
- マリオの生みの親、任天堂の宮本茂氏
- ポケモン生みの親、ゲームフリークの田尻智氏
- 同じくポケモンのデザイナー、ゲームフリークの杉森健氏
- マザーの生みの親、シナリオライターの糸井重里氏
- ドラクエの生みの親、スクウェアエニックスの堀井雄二氏
- ドラクエのプログラマー、チュンソフトの中村光一氏
- メタルギアの生みの親、コナミの小島秀夫氏
- ソニックの生みの親、セガの中祐司氏
ここでちょっと早いのですが、開発者の人選について。 ちょっとファミコンの立役者としては違うような人もいるような感じがしますが、これはファミコン20周年のイベントということではない、ファミコンが趣旨ではない、ということで、まあ容認できるでしょう。 ただ、ゲームの歴史という意味であれば、もっといろんな人を呼ぶべきではないかと思います。たとえば・・・。
- ファイナルファンタジーで一気に大企業に発展させた、スクウェアエニックスの坂口博信氏
- ドラクエの作曲を担当した、すぎやまこういち氏
- 同じく、スクウェアエニックスの植松信夫氏
- 16連射で有名、ハドソンの高橋名人
- バーチャファイターの生みの親、鈴木裕氏
- ゼビウスの生みの親、遠藤雅信氏
- 天外魔境の生みの親、枡田省治氏
- おなじく、REDの広井王子氏
履歴書は半分以上がふざけて書かれたものも多く、まじめに書かれているのは出身校ぐらいしかありません。 でも、堀井雄二氏の「人生はRPGだ」とか、宮本茂氏の「ゲーム作りは楽しくて金になる。おすすめの職業」とか、その人の考え方が分かります。
開発者に関係する物品の展示も、なかなか面白いものがありました。 特に、田尻智氏や「ポケモン」の企画書は、「このゲームの真意はそういうものだったのか!」と、目からウロコでした。 また「ゼビウス」の基盤、「ゲームフリーク」が展示されていて、ゲーム好きから上がっていったということが感じられます。
そして、中央には巨大なプロジェクタの試遊機があり、この日は「バベルの塔」がありました。 多分、日によって違うゲームが展示されているのでしょう。 プレイしていた人は皆、3フロアぐらいでゲームオーバーになっていました。 このゲームも実は後になってから再評価されたゲームですよね。
その隅の一角には、「ファミコン最後の日」と題されたビデオが流されています。 最後のファミコン本体の製造ラインや、梱包されて配送される風景をバックに、ファミコンの販売の歴史がテロップに映し出されています。 また、ビデオの横にはファミコンをはじめ、任天堂ゲーム機のフライヤー(ビラ)が飾られています。 非常に感慨深いものだったんでしょう、と感じられました。
そして先ほどのプロジェクタの脇を通っていくと、いよいよ本命のファミコン全展示のコーナーがあります。 知り合いと行って、ゲームを指して思い出を語り合うのがよいでしょう。 意外と「スペランカー」や「ゴルゴ13」など、クソゲーについて知っている人が多いのにびっくりしました(そういった人たちは、たいてい男同士で来ている人たちでした)。 ただ、この展示は解説が少なく、「だからどうした」といわれればそれまでのものです。 苦労して集めたのは分かりますが、せっかく展示するのですから、もっと解説を増やしてくれれば、と思いました。
その一角には、人気投票100位に入ったゲームがプレイできるコーナーがあります。 「ボンバーマン」「ワルキューレの冒険」「いただきストリート」「オホーツクに消ゆ」「スーパーマリオブラザーズ3」など、割と有名なゲームがならんでいます。 意外だったのが、「スマッシュピンポン」と「いっき」です。 ここは、子連れの入館者が、昔のゲームを知らない子供に遊ばせて、「お父さんも昔はこんなゲームをやっていたんだ」というようなところに感じられました。
そして、先ほどのプロジェクタの裏には、「野球ゲームに見る映像の変化」と題して、野球ゲームが年代順に並んでいるコーナーがあります。 その映像の変化をやはり、あの「燃えろプロ野球」もありました。 まあ、「バントホームラン」はともかく、音声合成や演出、打ち分けなど、リアルさを追求した野球ゲームですから、歴史に残って当然でしょう。 ただ、燃えプロからは突然、「パワプロ」「ワースタ」にジャンプしてしまい、急に映像が進化してしまいました。 もうちょっとファミコンのゲームから引っ張ってきた方がよかったのではないかと思います。 例えば、選手の成長の要素を加え、試合途中にアナウンサーの解説が入る「究極ハリキリスタジアム」や、ゲームでしかできない超人技が使える「超人ウルトラベースボール」なんかいいのでは。
最後に、開発者インタビューを見ました。 インタビューといっても、ストリーミングビデオで、一人7分、全員で約1時間のインタビューを流しているというものです。 十字型に5つのモニターがあり、縦の3つに開発者の全身(いすに座ってコントローラを持っている姿)が映し出され、 質問の内容や、開発者の代表作の画面が横の2つに映し出されます。 まれに、開発者の回答の内容や、残しておきたい名言?が表示されます。 また人によっては声が小さく、聞き取りにくいものもありました(そういう場合に限って代表作のビデオの音声が大きかったり、回答の内容が画面に出なかったりする)。
個人的に一番印象に残ったインタビューは、糸井重里氏でした。 他の人たちは、比較的「自分のために」ゲームを製作しているというような感じでしたが、この人は違いました。 「プレイヤーの子供を生んであげる」というような姿勢で、ゲームを作っているというようです。 僕はこの点に非常に共感し、「やはり良いゲームは、人にプレイするために作られたものである」ということが実感できました。 「箱庭療法」とか「代理出産」とか、面白い例え話もあり、ゲームをプレイしない人でも面白く聞けるのではないでしょうか。
だいぶ人が込み合ってきて、僕らのような2〜3人の男の集団をはじめ、カップルや親子連れも見られるようになりました。 子供はもちろんのこと、親も「開発者インタビュー」を、関心を持って聞いていたようです。 この展示が、ゲームの歴史をつなぎとめ、ゲームの発展の場となれば幸いです。 |