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ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー #233
ひぐらしデイブレイク ポータブル (PSP)

購入金額: 1980円箱説付

ゲーム内容
有名な同人創作「ひぐらしのなく頃に」の設定を使用した同人ゲーム「ひぐらしデイブレイク」をPSPに移植。
同人ゲームの移植ではなく、同人の二次制作の同人ゲームを移植するのは異例である。
ゲーム内容は2対2の対戦格闘シューティングアクションで、あまりにもとあるゲームに似ているが、元が同人ゲームなので言わないこと。
元ネタが同人であるためか、移植に関しては賛否両論のあるゲームでもある。

H.Kuwanoの考察

1.同人ゲームの同人ゲームの移植

本作(以降、PSP版)は、もともとはパソコンの同人ゲーム(以降、PC版)であり、PSP版はその移植となっています。
ややこしいですが、このゲーム(以降、このゲームといった場合はPC版、PSP版の両方を指します)の元ネタ「ひぐらしのなく頃に」(以降、原作)も同人ゲーム(?)です。
同人ゲームの同人ゲーム 、ということですね。
今や、人気同人ゲームは下手な商用ゲームよりも商品価値が高い、ということです。

 

PC版は以前Nさんがミーティングで持ってきたので知っていました。
面白くてよくできている同人ゲーム、ということで持ってきたのですが、僕はこのゲームの元ネタと思われる商用ゲーム(以降、(元ゲーム)とします)を知っていたので、よく出来たというよりは、(元ゲーム)をうまく真似ることが出来た、という印象が残りました。
よく「(元ゲーム)とは違いますよ」と言われますが、多少のルールやバランスの違いはあっても、根本は同じと思います。

それが、PSP版として一般に販売されるようになりました。
PC版をよく商用に持ってこられたな、というのが正直な感想です。
あまり色々言うと(元ゲーム)の関係でこのゲーム(PSP版だけでなく)がまずいことになる危険性もあるので伏せます。

 

さて、ゲームの内容ですが、このゲームは2対2で対戦を繰り広げる3Dアクションゲームで、射撃と格闘で相手を攻撃したり、ダッシュやジャンプで相手の攻撃を回避したりしながら敵チームを撃破していく3Dの対戦格闘アクションゲームです。
両チームには風船が設けられており、撃破されるたびに風船が膨らんでいき、破裂すると負けになるというルールになっております。
現実の風船とは違い、風船は決まった量で破裂するようになっていてランダム性はありません(個人的にはここが惜しいところです)。
風船が破裂するまでは、何度撃破されても復活します。
また、(元ゲーム)とは違い、風船の膨張量はどのキャラクターでも一定で、キャラクターを撃破したときに追い討ちをかけることでさらに膨張量が増加します。

ゲームモードとしては、一人用のストーリーモード、多人数プレイの対戦モードがあります。
PSP版では、プレイ中の勝敗でポイントが貯まり、新コスチュームや新武器、フィギュア(3Dキャラの鑑賞)、カセットテープ(サウンドテスト)を購入できる要素が追加されています。

ストーリーモードは、元のPC版同様、フルボッコもといフルボイス、3Dキャラのムービーで進行します。
特に元のPC版は、原作者がシナリオを監修したり、同人ゲームにも関わらず原作のアニメ版か何かの声優と同じという力の入れようで、メンバーともどもオドロキで、同人ゲームなのに、製作元の開発力はもはや会社と化している 、とまで言われました。
もちろんPSP版も同様ですが、キャラクターが「ぼくのなつやすみ」風に、ややグラフィックが省略化されています。
ストーリーの内容は、いちおう原作を知らなくてもゲーム進行に支障はないのですが、(ネタバレに通じるからかもしれませんが)知らない人へのフォローは全くありません
特に他作品(フェイト?原作者の許可つきらしい)のネタが、解説もなし(されてもそれはそれでまずいですが)にそのままストーリーデモの一話分に使われている のは、正直どうかと思いました。
同人ゲームなら許されたと思いますが、それをそのまま商用に移植するのはねぇ・・・。

ストーリーは良くある予定調和な話で、個人的にはそれほど面白いとは感じられませんでした
原作を知らないからかもしれませんが、多分原作を知っていたとしても、そう感じていたと思います。
(その前にやったのが「フェイト タイガーころしあむ アッパー」だったからそう思ったのかもしれません。「フェイト〜」と違い、道中の対戦前デモにあまり意味がなく、オープニングとエンディングだけ見れば十分なストーリーだったためです)。
ストーリーはチームごとに用意されているものの、10程度しかなく、クリアするとやることがなくなってしまうのも問題です。
(その点、「フェイト タイガーころしあむ アッパー」はストーリー(キャラ)が14人と多く、難易度ごとに達成度(クリア人数)が出るので、ついコンプリートを目指してしまいます)

ゲーム的には、PC版のファンが叩いているようなキャラバランスの悪さやバグなどはそれほど目立たず、ちょっとプレイしたぐらいならあまり違いは無いように感じます。
PC版を散々やっていたNさんも、ゲーム内容にはそれほど文句は言ってきませんでした。
ただ、CPUがそれほど強くなく、記録や追加要素も大してないため、対戦相手がいないと極めようという気にならないのが難点です。

追加されたオマケ要素ですが、まずポイントはフリー対戦でCPUをフルボッコにすれば簡単に貯まります。
クリア後も飽きさせない工夫のつもりでしょうが、効果はあまりなく、プレイが作業になってしまいます。
本作は武器によって性能や攻撃パターンが変わるため、PC版のファンにとっては追加武器が注目だったと思われますが、既存の武器のグラフィック違いで、がっかりしたと思われます。
結局一番は追加コスチュームだと思われますが、やはり元ネタを知らないと、なぜこの格好なのかが分かりません(Nさん曰く、アニメ版で一瞬出てきた服装なのだそうです)。

このように、PSP版は基本的にはPC版の内容をそのまま移植したもので、PSP用にちょっと(だいぶ)性能を低下させて変換し、さらにちょっとオマケを足したような内容になっています。
個人的には、原作やPC版よりも、グレードアップ版の「メガエディション」でどのように進化したのかが気になりますが本当にNさんの逆鱗に触れそうなのでやめときます。

 

2.本作のターゲットは誰?

本作は、PC版のファン向けにも思われましたが、あまり追加要素が多くないベタな移植(服装や武器は追加されたようですが)で、あまり受け入れられなかったようです。
また、携帯ゲーム機でどこでも対戦できるようにした、という意味でPC版のファン向けだったとも考えられますが、結局バランスが原作と異なっていたようで、コアなファンからは不評のようでした。

Nさんを含め、PC版を知る人は口々にこう言っています。
「PC版(同人ゲーム)で十分」
確かに、PC版は本作よりも半分近い値段で買えますし、評判も上々です(OSに制限はあるらしいですが)。
実際にインターネット上でも、PC版からのファンはPSP版を批評し、肯定派(?)とぶつかり合うところもしばしば見受けられます。

となると、PC版を知らない、PS2やDSで「ひぐらし〜」を知った人で、PCを持っていなかったり、僕のように同人ゲームには手を出しにくい人(特にキャラクターデザインに抵抗を感じた人)がターゲットだったんでしょうか。
しかし、果たしてコンシューマー機で「ひぐらし〜」を知った人が、PC版の存在に興味を持っていたでしょうか?
PC版を知らない人にとっては、PSP版はメーカーが新規に開発した「パロディゲーム」「お祭りゲーム」のように受け入れられたのかもしれませんね。

 

3.なぜ発売元はここまでして本作を移植したのか

本作は同人ゲームの二次創作の同人ゲームをコンシューマーに移植したという、きわめて異例なゲームです。
なせメーカーはそこまでして、同人ゲームをそのまま移植・発売しようとしたのでしょうか。

考えてみると面白いところがあります。

考えがまとまっていませんが、こんな意見・考察が上げられました。

  • 単に「金稼ぎ」のためにやったんじゃないのか?
  • 同人ゲームの移植の方が低コストで出せるため
  • 「ひぐらし〜」のブランドイメージの持続のため
    悪く言うと、「ひぐらし〜」の延命のため
  • 原作(「ひぐらしのなく頃に」)を、ゲームシステムを若干変えて(選択肢によるストーリー分岐を設けて)移植したところファンから猛反発を受けたため(あまり変えずに移植した)

それにしても、原作(PS2版)同様、PSP版も考えさせられるところが多いです。

攻略情報
簡単にポイント稼ぎ
本作にはポイントを稼いでお買い物をする要素があり、そのポイントは勝敗と敵の強さで決まるが、ハンディキャップは考慮していないので、風船リミットを40対200などの設定で戦闘を繰り返すと、簡単に戦闘1回につき600ずつ貯まる。

関連情報

ひぐらしのなく頃に〜祭

同名の同人ゲームをPS2に移植したゲームで、本作の元ネタとなっている。
システムに選択肢を設け、サウンドノベル風のアドベンチャーゲームになった。
後にアペンドディスクが出ており、この商法も、「ひぐらしデイブレイク ポータブル」(PSP版)に引き継がれていると言われている。 

フェイト タイガーころしあむ

同人創作モノをネタにしたパロディ対戦アクションゲーム。
ゲーム内容に類似点があることと、プレイした時期が同じであることから、比較対象にされやすい
この作品のスタッフの一部が、本作に関わっているという指摘もあった。

メルティブラッド

同人ゲーム「月姫」のキャラクターを元にした対戦格闘ゲーム。
こちらももともとは同人だが、アーケードに移植され好評を博した。


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