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ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー # 197
シンプルシリーズVol.118〜THE落武者 (プレイステーション2)

購入金額: 1180円 (箱説付)

ゲーム内容

シンプルシリーズで登場した、明智光秀を落武者に見立てた後方視点の3Dアクションゲーム。
本作の特徴は、敵の攻撃を受けるとゲージが溜まり、体に敵の武器が刺さり、ボタンを押すと力を開放しゲージの分だけ一時的にパワーアップする「怒獲武システム」 である。
体に敵の武器が刺さった痛々しい姿が印象的。
他にも、弓や鉄砲、槍や槌などの多彩な武器を使い分けたり、敵から集めたりするのもポイント。
他にもセクシーくのいち「渓」がおり、ゲーム中にキャラクターチェンジすることもできるが、渓には「怒獲武システム」が搭載されていないので存在感は薄い。

H.Kuwanoの考察

1.そんなにMなのか?

本作は「怒獲武」とありますが、そんなにマゾヒストではありません。

怒獲武システム」とは、結局は敵の攻撃を食らうとゲージが溜まって、怒りを爆発させるというものです。
たとえが悪いのですが、いじめを受けた人が強くなって仕返しをするような感じです。
これはMとは言えないんじゃないでしょうか。

また、敵の攻撃を受けると武器を体に刺して奪い取るという「怒獲武受け」という技があります。
これはダメージは受けますが、敵を無力化することができます。
まさに「肉を斬らせて骨を断つ」ですね。
ただ、「ゲージを溜めるためにわざと敵の攻撃を食らいに行く」という状態になれば多少はMにはなるでしょうが、だからといってバンガイオーみたいに「敵がたくさんいるとチャンスに思える」 までには至りません。
やはり、Mとはいえません。
Nさんも、「もっと変態的なビジュアルを期待していた」と期待はずれだったようです。

それなら、ゲージが多いと受けるダメージが減る(怒獲武受けの発展系)とか、発動中に敵の攻撃を受けると逆に回復するとか、相手に当たらない自己完結型にすればMっぽく見えるんじゃないでしょうか。

 

2.普通に遊べると思うのだが…

本作は怒獲武システムを抜きにしても、武器のシステムが面白いと感じました。
多武装アクション」と銘打っているように、武器が多彩なのです。

武器には使用回数に制限があり、使い続けると壊れます。
その前に敵を倒して武器を手に入れる 必要があります。
武器の種類を増やしたり、より強い武器を手に入れるためにも、敵から武器を奪う 必要があります。
ただし、怒獲武受けで敵の武器を奪ってしまうと、体に刺さったままとなるためか、敵を倒しても武器を落としません。
怒獲武受けばかり使わず、強そうな敵は普通に倒して落とす武器に期待する、ということも必要になります。

また、武器の種類には熟練度があり、使い続けているとコンボの攻撃回数が増加したり、武器の使用回数が増えたり(耐久力の減りが少なくなる)します。

さらに嬉しいことに、たとえゲームオーバーになったとしても、それまで貯めた武器や熟練度、レベルはそのままでセーブすることができます。
さらには、本編とは別のフリープレイモード「落延の巻」でもそれらを引き継ぐことができ、「落延の巻」も同様に、終了後にそれらの状態を保存することもできます。
つまりおまけモードで修行して、本編に活かすことができる というものです。
「THE カンフー」といい、これはプレイが無駄にならない良い仕様だと思います。

 

3.お姉チャンバラシリーズ(アバラバーン)の技術を発揮

本作を制作したのは、「タムソフト」という会社です。
調べてみると、「お姉チャンバラ」シリーズを手がけている会社のようです。

お姉チャンバラ」はもう数作の続編も作られており、最近は映画化されたとも聞きます。
本作を開発する前に、すでに3D剣戟アクションゲームの土台は出来ていたということです。
道理でシンプルシリーズなのにそこそこのクオリティが維持できるわけです。

また、本作は「お姉チャンバラ」とは逆の発想で作られたのではないかという見方も出来ると思います。
お姉チャンバラ 」は、敵を斬って返り血を浴びるとパワーアップ するというものです。
逆に斬られることでパワーアップするとどうなるか、というのが本作になるのではないでしょうか。

さらに、これらのシリーズの祖となったゲームとして、このページでも取り上げたPSの「アバラバーン」があります。
当時から、3Dアクションゲームを手がけていたということです。

 

4.低価格ソフトの脅威

しかし、シンプルシリーズで2000円なのにこれだけのクオリティのゲームが作れるというのは、他のメーカーにとって脅威なのではないでしょうか。
このようなゲームを見た後で、たとえば「戦国BASARA」を当時の発売価格5800円で買って遊んだら、「これで5800円は高い。2800〜3800円が妥当じゃないか」って僕は思うでしょう。
(後にベスト版が出ているのですが)

ここのところ、ゲームソフトは開発費が増える反面、価格は安くなっていっています。
というより、安くないと売れない時代になっています。
ゲームの価格についてはいろいろ考えるところがあり、まだまだ整理がつかない状態ですが、 これがゲーム業界の景気の首を絞める結果にならなければ良いのですが…。

 

名言

怒獲武

死者をも復活させる、神秘的な力。
本来は「どM」 の当て字なのだが、うまい当て字を見つけたものだ。
ところで、この力は寺に伝わる秘術なのだが、神(M神 )の力である。
…あれっ?

関連情報

アバラバーン

タカラから発売された、PSの後方視点アクションゲーム。
開発は「闘神伝」を開発したタムソフトが手がけている。


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