1.カメラワークが最悪
本作は俯瞰形の3D格闘アクションゲームですが、カメラワークがとてもひどいです。
マップのある位置でカメラの方向が勝手に変わるようになっているのですが、操作も画面上側が上キーになるため、カメラが切り替わるたびに画面での方向にターンして歩き続けてしまいます。
画面上の上下が逆になるようなカメラの切り替わりもあり、操作が混乱してしまいます。
さらに切り替わりのタイミングも不明で、同じ地点でもカメラの向きが違ったり、画面奥に進んで相当小さくなっても切り替わらなかったり、逆に寄り過ぎて周りが見えないこともしばしば。
さらにさらに障害物や天井などで画面が隠されたりするので最悪です。
もちろんカメラは動かせないようになっているので、救いようがありません。
まるで「バイオハザード」のカメラワークがひどくなった版のようです。
2.敵のアルゴリズムがバカ
思わず笑ってしまったのが、敵のアルゴリズムです。
こちらがジャンプして後ろに回りこんでも向きを変えなかったり、目の前に立っていても攻撃してこなかったり、ジャンプしてキックしてくるのかと思いきやただ飛んでくるだけだし。
かと思うと、いきなり「たぁっ!」「たぁっ!」 と駄々をこねているような連続技を繰り出してきたりします。
まるでランダムか何かで行動が決められているようにぎこちなく、かつ意味不明です。
しかもこちら側のダメージが大きく、初期状態だと相手のコンボで半分近くライフが減り、5〜6発食らうと倒れてしまいます。
バランスを取ろうとしたのでしょうが、それでも悪いですね。
3.意外とお金がかかってそうだが…
本作はシンプルシリーズにもかかわらず、モーションキャプチャを使用しているようです。
敵のパンチがダダこねてるみたいに見えるのはそのためなのかな?
まさかビデオカメラで取ったものをデータにしているだけで、モーションキャプチャと銘打ってるんじゃないでしょうね?
それと、デモシーンに声が当てられていますが、広東語です。
わざわざ中国で録音したんでしょうか、それとも在日中国人を呼んだんでしょうか。
いずれにせよ、こんなシンプルシリーズなのにそこまでするとは脱帽です。
しかし、時折棒読みっぽく聞こえるのは、もともと広東語がそういう風に聞こえるからでしょうか?
それとも本当に素人がやっているから?
さらにパッケージの裏には「フルボイス、しかし広東語」とまるで広東語がユーザの期待を裏切ったような書き方をしているのですが、「しかし」という否定の言葉を使うのは…。
僕はむしろ日本語のフルボイスよりマシ だと思いますが。
せめて「広東語によるフルボイス」「カンフー映画の雰囲気満点」など、うたい文句は別にあると思うのですが…。
4.カンフーなのに武器奨励
本作はContinueというゲーム誌でク○ゲー第一位に輝いたのですが、その中で「長椅子最強」という言葉が強く心に残りました。
タダでさえリーチが短い主人公ですが、「棒」「剣」 の武器を持つと遠くの敵まで倒せ、敵の攻撃を牽制できます。
攻撃のスキが大きく、連続攻撃しにくいのが難点ですが、敵を近づけさせなくできます。
唯一「長椅子」はリーチが短いのですが、なぜか素手攻撃よりも攻撃の出が早く、特に単発攻撃な序盤で重宝します。
(「鉄扇」 は武器の中では一番使いにくいです)
武器は全て攻撃力がプラスされるので、敵を速く倒せます。
さらに武器はダウンしたりしても消えずに地面に落ちるだけなので、拾い直せばステージクリアまで使い続けられます。
このほかにも、普通のアイテムと同じ取得方法で技のアイテムがあります。
これを取ると「少林寺拳法」「蛇拳」「酔拳」 が使えるようになります。
(ちなみに少林寺拳法や蛇拳はマスターするためのシナリオがストーリーとしてあるのですが、どのシナリオでもマスターする前にアイテムが出てきます。
さらに酔拳はいつの間にか使えるようになっています。)
確かに動きがそれっぽく、見た目は良いのですが、ゲームとなるとスキが大きすぎたり、技が出るまでに時間がかかったりして使いづらいです。
さらに、武器を持ったりダウンしたりすると技のアイテムの効果がなくなってしまいます。
武器を拾うのも攻撃ボタンなので、混戦状態になるとつい武器を拾ってしまいがちで、あまり長続きしません。
本作のパッケージの裏には「注目すべきは長椅子」と、武器を使って戦うことを奨励しているように受け取れます。
さらに「かつてない武器で戦え」と、「ダイナマイト刑事」や「龍が如く」はどうなんだ、
と言いたいようなことが書かれています。
それではカンフーじゃない、とコピーライターは思ったんでしょうか、ふと我に返ったように「もちろん極めた酔拳で敵をぶっ飛ばすことも可能だ」
と赤字で強調して書いています。
思わず、笑ってしまいました。
4.修行による成長システムは良い
いろいろ悪いところばかり連ねてしまいましたが、個人的には修行すると強くなる成長システムは良いと思います。
それも、ストーリーモード内だけでなく、修行モードでも鍛えられるのは大変良い仕様だと思います。
こうすることで、ストーリーモードでムダにうろついて経験値稼ぎをする必要もないし、強敵に遭遇しゲームが先に進まなくなっても、修行モードで強くなってから挑戦できます。
しかも修行はミニゲームになっており、そこそこ(下手すると本編よりも)楽しめるものもあります。
個人的には「丸太ジャンプ」「森を抜けろ」「岩を割れ」あたりが面白く感じられました。
ただ欲をいえば、この効果を実感するのに、もうちょっと能力値を具体化してもいいんじゃないかと思います。
能力値のレベルはそれぞれ5段階ありますが、レベルが上がるまでどれだけ修行をすれば良いのかが分かった方が、もっと修行にやる気が出てくると思います。
5.総評:一般価格のゲームと比べると厳しいが、シンプルシリーズとしてみると納得
総評すると、確かに一般のさまざまなゲームと比べると、見劣りしているところは多々あります。
「Continue」でク○ゲー第一位に輝くのも、分からないでもないです。
しかし、本作は一般のゲームの価格よりも半分近く安い、シンプルシリーズです。
強くなればそれなりに爽快感も味わえるし、ミニゲームもそこそこ遊べるし、広東語やモーションキャプチャなどがあるし、価格を考慮すると決して悪くないと感じました(それでも、プレイは数日しか持たず、2000円は高い方だと思いましたが)
。
それに、シンプルシリーズでない価格でシンプルシリーズ並にしか遊べない「炎の宅配便」(製作者には失礼ですが)と比べると、価格が安いだけダメージが少ないです。
一般人が手を出すとヤケドしてしまうかもしれませんが、300円程度で安売りされていれば、買っても良いのではないでしょうか。
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