1.今やっても面白いアドベンチャーゲーム
本作は現在でも十分通用するアドベンチャーゲームだと思いました。
確かにグラフィックは当時のままで色数・解像度は低いし、音楽もチープなのですが、後半のストーリーで意外などんでん返しがあり、驚きました。
そのストーリーには恋愛というものはないものの、親子の愛情といったものが隠されており、涙を誘う場面もありました。
(余談ですが、この「親子」という単語は「ファミコン探偵倶楽部」シリーズでは重要なキーワードなのではと思われます)
また、謎の複雑さや連続殺人のスリルについては、続編の「うしろに立つ少女」よりも上だと感じました
2.問題点
ただ、いくつか問題点もあります。
まず第一に、子供も対象にしているゲームであるにも関わらず難しい言葉が多いこと。
「いさんそうぞく」「どそう」「ゆいごんしょのさくせい」など、ひらがなで書かれていてもその意味や社会の仕組みについての説明はありません。
続編では(内容もソフトになったためか)難しい言葉が少なくなり、「さかん」など一部の意味がわかりにくい言葉は「壁を塗る職業」などと説明があります。
人によっては、探偵(主人公)の存在そのものが事件に大きくかかわっている点に「探偵モノ」として疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
詳しくはネタバレになるので書きませんが、探偵になっているというよりは、物語の主人公になって話を進めているという感じも否めません(そこがいいという人もいますが)。
僕もそう思い、前章のタイトルで「推理アドベンチャーゲーム」から「推理」をはずしました。
なんといっても問題点は物語の展開が後半になって急変するということ。
おかげで前編はほとんど登場人物の紹介(それも半分程度しかされていない)で終わっている ため、謎だらけのまま後編に移ってしまいます。
ディスクシステムで出た当時は前編がそれほど面白くないと感じ、後編までプレイに至らなかったという人もいたのではないかと思われます。
僕もその一人だったりします。
3.続編「うしろに立つ少女」とセットで
本作をプレイしたら、やっぱり続編「うしろに立つ少女」もプレイしてもらいたいです。
物語は本作よりも過去になるのですが、主人公がどうして空木探偵事務所に入ったか、あゆみと出会ったきっかけ、といったことが分かります。
本作ほどの大きな事件ではないのですが、本作では味わえなかった人間味あふれる物語を堪能することができます。
空木先生も登場するしね。
もちろんグラフィックや音楽もパワーアップしています。
入手可能であれば、SFCの書き換えサービスに入っていたリメイク版が一番プレイしやすくて良いです。
逆に続編だけをプレイしている場合、「もっと難しい推理アドベンチャーを楽しみたい」「主人公についてもっと知りたい」という人には本作はオススメです。
ただし、前作な分グラフィックや音楽はパワーダウンしているので注意。
特に「SFC版のキャラが萌え〜で良かった」という人には、原作のグラフィックを見ると「ナニコレ」とか言われそうでオススメできません。
ちなみに、両方とも故横井軍平氏が監修していたゲームです。
4.余談:シリーズの共通点
「ファミコン探偵倶楽部」シリーズは2作品(サテラビューで配信したものを含めるともっとあります)しかありませんが、探偵事務所や主人公といったもの以外にも、変わった共通点があります。
一つ目は、なんといっても「くまだ」の存在。
一作目は医者、二作目は美術の先生として出てくるのですが、以下の共通点があります。
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体格はやや小太り気味で、メガネをかけている
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語尾が「〜ぢゃ」
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ゲーム中に主人公を驚かすようなことをする
スタッフにモデルとなるような人がいたんでしょうか?
それとも前作で相当気に入って、続編でも出したんでしょうか。
他にもこんな共通点があります。
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「そうさやめる」で物語が展開する場面が含まれる
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最後に主人公に生命の危機が迫る
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警察官が主人公に検死をやらせる
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3D迷路のシーンがある
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