1.異質であるが佳作
本作は当時としては珍しい、人が空を飛ぶ横スクロールシューティングゲームです。
説明書が無いのでストーリーの詳細は分かりませんが、神と悪魔の戦いを描いたようです。
その悪魔の造形はかなりシュールで独特なもの で、生首やドクロが当然のように飛び回り、機関車や船に顔がついていたり、ある種の恐怖を感じてしまいます。
さらには後述のとおり、「超兄貴」の原型になったという噂(?)も広がったため、本作はイロモノとして避けられていたような気がします。
しかし、それらは単なるうわべで、本当はなかなか良くできたシューティングゲームです。
それはさまざまなところから見ることができます。
まず、アーケードゲーム並にさまざまな飛び方の敵の弾が大量に発射されること。
ファミコンなどのシューティングゲームの比ではありません。
タダでさえも敵の攻撃が激しいのに、自分が人型で縦に長いので当たり判定が分かりにくく、さらに難しさを感じます。
それでも絶妙なバランスで、プレイしていくうちにだんだん敵弾の避け方のパターンが見分けられるようになり、やればどんどん進められるようになります。
次に、サブウェポンである魔法の使い方に高い戦略性が見られること。
メインショットも3パターンの発射方向があり、それをアイテムで切り替える戦略もあるのですが、
魔法はただ切り替えればよいというものではありません。
魔法は回数制限があるものの、ボムのような使い方はあまりできないので、積極的に使っていかないと無駄にミスすることになってしまいます。
さらに魔法は3つまでストックでき、同じ種類の魔法を連続で溜めると使用回数が増え、より効果が強力になります。
しかし魔法は最初に使用するときにストックから取り出さなくてはならず、同じ魔法を溜める場合は使わずに溜める必要があります。
アイテムをとる順序を考えたり、わざと魔法アイテムを取らずに同じ種類を溜めたり、魔法の使用を我慢して強力にする、といった戦略を考えないといけません。
縦のラスタースクロールによる画面の揺れや、別々のラスタースクロールによる胎動など、技術力も十分にあります。
さらには、音楽が「ルナ」「ラングリッサー」などを手がけた岩垂徳行氏によるもの。
(と聞いたんですが、スタッフロールでは氏が所属していた「キューブ」がサウンドコンポーザとなっていました。)
本作の楽曲は、ややシリアスで暗めな曲が多く、ゲームには良くマッチしていると思います。
「この当時のメガドライブユーザーは、これだけのゲームができて幸せだったんだろうなぁ。」と、ふと思ってしまいました。
2.超兄貴の原作とは言うけれど…
よくメガドライブ関連の雑誌やホームページなどでは、本作はあの「超兄貴」の原作になったと言われています。
しかし、システムもスタッフも(おそらく)別の二作。
せいぜい共通点は以下ぐらいしかありません。
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主人公が筋肉質
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人(?)が空を飛ぶ横スクロールシューティング
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ショットがオート連射
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ステージクリアのデモ
どちらも異質なゲームであることは間違いありませんが、その方向性はちょっと違います。
せめて音楽の担当が一緒ならそう言いたいのも分かるのですが、それも別。
「超兄貴」を期待して本作を買うと、期待はずれとなるでしょう。
しかし少なくとも、ゲーム的にはこちらの方が上。
「超兄貴」の数倍は楽しめるゲームだと思います。
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