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ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー # 132
厄痛〜呪いのゲーム (プレイステーション)

購入金額: 980円 (箱説付)

ゲーム内容

アイデアファクトリーが出したホラーアドベンチャーゲームの続編。
冴えないゲーム会社の社長が謎の死を遂げた。
アルバイトだった「みすず」「省吾」はその謎を解明するために深夜のビルに潜入し、そこでとんでもないものを目の当たりにする。
本作はホラー漫画家で有名な日野日出志氏が監修しており、バケモノのデザインは氏によるものである。
また、前作と比べて全体的にレベルアップしており、非常にプレイしやすくなった。

H.Kuwanoの考察

1.前作の2倍は良くなった

前作は正直言っていろんな意味でイマイチでしたが、本作はなかなか頑張った方だと思います。

まず前作で指摘されていたボリュームですが、一周が30分から70〜90分近くになり、時間的には2倍楽しめるようになっています。
ただ、プレイヤーはやはり5人で、前半は殆ど流すような印象を受けますが…。

また、シナリオも前作より格段に良くなりました。
前作も「友情」「いじめ」といった、深いテーマを扱ったシナリオでしたが、いかんせん奥は浅く、2回プレイしただけでも事件の大まかは分かってしまう 内容でした。
しかし本作は、一回も長くなったせいか、シナリオの伏線がしっかりしています。
それでも、2回プレイすれば大体は分かってしまいますが、それでも「実は社長を殺したのは○○だった」とか、主人公の正体とか、さまざまなことがプレイしていくにつれ分かっていき、前作と違い5回プレイしてもダレません でした。
とくに最後の主人公のエンディングは救われない前作と比べて、感動モノ。

グラフィックも前よりは良くなったと思います。
味のあるのは変わっていませんが 、ポリゴン数が増えたようで、表情が豊かになりました。
バケモノも日野日出志氏が監修しただけあって、前作よりもかなり恐ろしくなりました。

演出もレベルアップしました。
ムービーもキャラクターの一枚絵も倍ぐらいの量に増えました。
ただ、 そのせいかロードが気になるのが難点。
プレイ時間が延びたのもこのせいかもしれません。

本作の特徴でもある、「ぎゃあああ」と主人公が叫ぶシーンは、前よりも遊びすぎていて、むしろより笑えるシーンになってしまいました。
文字が崩れたり、光源効果で影がついていたり、カメラワークでくるくる回ってみたり、「げりゃああああ」とか普通じゃない叫び声を出したり…。
こんなところで笑いを取るなんて、反則でしょ…。

システム面も十分レベルアップしました。
本作からは待望のセーブ機能 が付加されました。
しかもシナリオの途中(ザッピングポイント)から開始できます。
プレイ時間が長くなったからというのもあるかもしれませんが、これは大きな進歩です。

また、画面上部にはザッピングできるプレイヤーの状況や、選択しているプレイヤーが分かるようになりました。
状況に応じて驚いたりするので、結構見ていて面白いのですが、ネタバレにもなりますので注意。

 

一方、ザッピングシステムはそれほど進歩していません。
切り替えると混乱するだけで、あまりシナリオがうまくつながっていないのも難です。
このシステムにこだわる理由がイマイチ分かりません。

音響も効果音の種類が増えたものの、楽曲は前作の使いまわしも多々あり、それほどレベルアップした感じがありませんでした。

 

2.心のあるバケモノ

(ネタバレ注意)

前作でもそうですが、本作に出てくるバケモノも、もとは人間で、人間の心のまま、バケモノの体や本能との葛藤に苦しんでいます。

体はバケモノだけど、実は心の中では人を傷つけたくない。

そういう苦悩を、このシナリオライターは2作品を通じて描きたかったのではないでしょうか。


 

3.地球を大切に

前作同様、本作にも「環境を守ろう」という呼びかけが説明書にあり、あのCMも健在です。
しかし、前作は物語途中のCMになっていましたが、本作ではオープニングデモで会社ロゴの前後に出てきます。

さらに本作では、この「環境保全」「資源節約」はシナリオ中にも活かされていて驚きです。

(ネタバレ注意)

事件の黒幕から、「環境破壊で荒んでいく地球で生きていけるよう、新人類を作り出す研究を始めた。」と言われます。

また、最後の主人公は、冥土に旅立つ前に環境破壊でボロボロになる地球の姿を見せ付けられます。

さらに、主人公の勤めるゲームメーカーが生み出したクソゲー「お魚ちゃんフォーエバー」でも、海を汚染から守ることが目的で、環境保全を訴えています。

このように、「環境保全」はとうとう「このゲームの裏テーマ」と呼べるほど、ゲームの内部に浸透していっているのです


 

4.結論「前作よりもこっち」

個人的には、こちらの方がオススメです。
前作とのつながりは殆どありませんので、前作を買うのであればこっちを買う方をオススメしたいです。

ただ、本作も5回プレイすれば押入れにしまってしまうようなゲームですので、1000円以上する場合は検討した方がいいと思います。


 

5.タイトルがイマイチ

本作のタイトル「厄痛」は「ぷよぷよ通」のように良く考えたタイトルだと思われますが、そのサブタイトル「呪いのゲーム」というのはあまりにも陳腐なネーミングだと思います。
(ネタバレ注意)
呪いとは言っても、本作は「バイオハザード」のように黒幕が裏で犯行を実行していた、きわめて人為的なものであり、むしろ「呪い」が良い方向に導いてくれる場合もあるのです。
「新人類計画」とか「モンスターの悲劇」といった、
物語の核心を捉えたサブタイトルの方がよかったのではないでしょうか。

そもそも、本作をホラーゲームとして扱っていくのも限界があるように感じました。

名言

げりゃああああああ

本作の主人公の一人「省吾」の叫び声。
なんちゅう叫び声だ!

お魚ちゃんフォーエバー

主人公のアルバイト先で作るゲームの名前。
主人公のトビウオ?が海を汚すヤツらを探しにパトロールし、鮫や人間と戦って結局食われる アドベンチャーゲーム。
いわゆる「クソゲー」で、雑誌評価でも「遊ぶと死ぬ!クソゲーだ!」と酷評され、見事0点 を獲得している。
ゲーム中でも遊ぶことができるが、選択肢は2箇所しかなく、どれを選択しても結局はゲームオーバー になる。

関連情報

本作の前作。
主人公たち5人は、タイムカプセルを掘り出すため、廃校になった小学校に集まるが、とんでもない事件に巻き込まれてしまう。


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