1.大冒険の逆襲
「超クソゲー」を見た人はまず知っているでしょうが、本作の元のセガサターン版ソフト「大冒険」は、あの「デスクリムゾン」に並ぶ超ク○ゲーとして有名でした。
それが約2年の月日を経て、プレイステーションに移植されましたが、前作で不満だった(ク○ゲーっぽい)ところはほぼ改善されました。
改善点は以下の通り。
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ムービーを作り直し
帆船や海面はグレードアップしたが、キャラクターはまるで「ぱっぱらぱおーん」のような浮きっぷり
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グラフィックを一新。
PCエンジン風のキャラクターや汚いグラフィックから、SFC版RPGツクール風キャラクター&グラフィックに変更。
婦人雑誌や広告などににちょこっと乗っている女性イラストレーターが書いたような絵に
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音楽を全て変更
民族音楽っぽい重厚な楽器の使用をやめて、MIDI音源の軽い音楽に。1ループが短いのは相変わらず。
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魔物を全て変更
前作のようなわけのわからん敵はいなくなり、さらにアニメーションもしなくなった。
もちろん、電波メッセージは聞けなくなったのは言うまでもない。
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街やフィールドのイベントの追加
前作では遭遇した人も少なかったという二人の海賊がきちんとイベントになり、さらに人探しや荷物の依頼などのイベントが追加された。
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魔物の占領範囲を変更
街単位ではなく、魔物の巣のブロック単位に。
占領された街で買い物できる反面、敵の種類が減った。
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各街の市場に特産品(そこでしか売っていない物)が追加された
街の個性が強化されるとともに、お使いイベントや後述の取引が加わり、交易による金稼ぎに重点が置かれるようになった。
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海戦の移動システムがわかりやすくなった
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海戦で一騎討ちができなくなった
接近戦で水夫を減らすか、砲撃で耐久力を減らさないと勝てなくなった。
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海戦に勝利しても積荷を奪えなくなった
交易に重点を置くためか、海戦に勝利してもお金しか入らなくなった。
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海上にモンスターが現れるようになった
一騎討ちができなくなった代わりの経験値稼ぎのための処置か?
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必殺技を大幅変更
これまで「必殺技(1)〜(8)」がランダムに出ていたのが、今回から「ダブル」「ストライク」など名前がつくようになった。
さらに使う技を自分で選べるようになったが、それぞれに「命中率低下」などのデメリットがつくようになった。
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南極〜北極ワープゾーンが無くなった
セガサターン版では、マップの南側を埋め尽くしている南極大陸のどこかに水路のような川があり、それを上っていくとなんとマップ北側の北極に到達するのだが、それが無くなった
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ついでに開発の外注先も変更
セガサターン版はPaiとFABという会社と協力していたが、プレイステーション版になってプレイシステムという会社と協力しているようだ。
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セガサターン版とは違う結末
前よりはマシになったが・・・。
というように、前作のク○ゲー要素は殆ど取っ払われてしまいました。
(まだヤバそうなところはいくつか残っているが)
2.なんで大冒険にこだわるのか?
それにしても、セガサターン版でコケているのに、何でプレイステーションでデラックス版を出そうとしたのでしょうか?
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セガサターン版でやり残した所や、期間がなくてできなかった所があって、どうしてもやりたかった
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実はセガサターン版はβ版で、反応をみてプレイステーション版を出そうとした
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もともとはセガサターン版と同時に発売する予定で、開発は平行して進んでいた
考えられる理由をいろいろ考えているうちに、なぜセガサターン版の大冒険があんなデキになったのかも、疑問に思えてきました。
3.改良されたのはいいが・・・。
改良されたのはいいのですが、何かセガサターン版で(内容の割には)良かったところがなくなってしまったように感じました。
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交易(特に取引)が重視され、より「おつかい」に感じてしまうこと
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(プレイステーション版の問題か)ロードが気になるようになった
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前作のグラフィックやサウンドの味がなくなってしまった
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積荷が奪えなくなった。
グラフィックで味がなくなってしまったというところは二箇所あります。
まず一つがオープニングムービー。
セガサターン版では、ろうそくの火で照らされた地図から船が浮き出して、やがて地図が大海原に変わっていくというものでしたが、
プレイステーション版では、宮殿か何かの扉が開いて、ポリゴン片が集まって黄金の船ができて、それが水上(?)に出て大海原を進んでいくというものです。
正直言ってセガサターン版の方が雰囲気が良いと感じました。
さらに言えば、本作はオープニングの音楽の途中でタイトル画面になってしまうのも、ちょっと手抜きな感じもします。
次が街の人のフェイスグラフィックです。
セガサターン版は、何か絵画に出てくるようなタッチの顔で、ちょっと茶色く古びた感じがして、汚いグラフィックと言われたものですが、それでも味はありました。
しかしプレイステーション版は、イラスト風の軽い顔で、いかにもパソコンで作ったようなアニメっぽいタッチになってしまいました。
一般的すぎて味がなくなってしまい、残念です。
最後の欠点の「積荷が奪えなくなったこと」は個人的に感じた欠点です。
セガサターン版では、(僕を含む)まともに交易をせずに、海賊行為で荷物を奪ってお金を稼いだ人も多かったことでしょう。
ですが、前作ではあの海賊船を倒したあとの「積荷」が、実は一番の楽しみなのです。
それは、「ウィザードリィ」や「ウルティマ」の宝箱を開ける楽しみや、「不思議のダンジョン」シリーズの次の階に進む楽しみに通ずる、「なにがでるかな?」的なところがあります。
4.まとめ
本作は、セガサターン版の欠点を修正し、より一般ウケしそうに作られているのはわかります。
しかしそれが、普通のよくある、平凡なRPGになってしまいました。
ちょっと残念です。
本作のゲームシステムに、前作の雰囲気を残しておけば、より良いゲームとなったんじゃないかと思われます。
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