1.説明不足より大切なこと。
いろんな雑誌で「説明書が説明不足」「移動の仕方が分からない」などとあり、早速「超クソゲー」の続刊に出てしまった(超クソゲーRemixに掲載されていました)このゲーム。
でも、説明書には辛うじて載っていますし、ダウボーイを説明書なしで操作方法を発見した僕にとっては、そんなことは操作していればすぐに気づいた
ことでしょう。
むしろ「操作方法を発見する楽しみが増えた」と、広い心で見ています。
それよりも問題に思うことは、「戦闘の駆け引きが分からない」ことにあります。
このゲームではHPとLPがあり、早い話がHPは普通のRPGのスタミナ、LPは普通のRPGのHPとなっています。
それで、攻撃したり、攻撃を受けたりするたびにHPが減っていき、HPが0になるとLPが減りやすくなります。
ここでは、「減りやすくなる」つまり「HPが0だからといって、必ず次のダメージでLPを減らすとは限らない」ということがポイントです。
また、敵によっては、HPが十分にあってもLPを減らされる場合があります。
「力」のステータスが多いとHPのダメージが大きく、「技」のステータスが多いとLPダメージが大きくなるようです。
つまり、LPが減らされる条件は未確定ということです。
運が悪いと即ゲームオーバーになったり、逆に弱い敵でもLPが減らせなくてしぶとく残っているといったこともしばしば。
「ドラクエII」みたいに「強くなった気がしない」と思うばかりか、ここまで運次第だと戦闘で何をすればいいか、訳が分からなくなってしまいます。
さらに、ウリであるはずの「連携」というシステムが、悩ませてくれます。
どんなに仲間が多くても、1ターンの行動回数は5回です。
最初に5回、行動するキャラクターと、その行動を決めます。
一人で5回行動しても、5人で1回ずつ行動してもかまいません。
決定すると、敵味方含めて、素早い順にルーレットを回して攻撃を行います。
そのルーレットをストックし、次の人のルーレットで行動を決定することで、ストックした行動を一気に発動させる「連携技」が発動します。
(これを「連携」と言っています。)
連携すると、通常の行動よりもダメージが増加します(画面に出てくる「連携率」で確認できます)。
ただし、敵とも連携 することがあり、次のルーレットが敵の番だったりすると、敵と連携してしまいます。
説明書には、「一人で連続して行動するときは、敵に割り込まれることが少ないが、連携率が低い」とありますが、結局は運です。
このように、随所に運によって決まるものが存在する、いわば「運ゲー」なのです。
なんだか、「ボコスカウォーズ」をやっているような気分です。
2.戦闘ではなく、移動や探索(しかも不確定さ)を楽しむゲーム
このゲームは、先ほども言ったとおり、はっきり言って戦闘の駆け引きとかがあまりなく、不確定であるため、あまり戦闘が楽しいゲームとは思えません。
(まあ、ドラクエの経験値稼ぎ中の戦闘よりはマシだと思いましたが。)
それよりも、この不確定要素は、移動シーンでより楽しめるようになっています。
移動シーンでは、ボードゲーム風のマップで、プレイヤーのコマを八方向に動かして移動したり、気になるもの(宝箱、敵)を調査したり、その場に居留まり戦闘で消耗したHPを休息で回復することができます。
これらの行動を行うたびに、マップ上にいる敵も移動してきます。
自分の行こうとする方向に敵がいると、行き先の地名が赤や黄色で表示されます。
(ゲームボーイの「セレクション」の移動の感覚に近いです)
このゲームはなんと、ワナもマップ上を移動しています。
ワナにかかると、ルーレットが始まり、ワナを回避できるかが決まります。
ワナだけでなく、攻略上使用する仕掛けなどでも、合否をルーレットで決める場合があります。
さらに、「交渉」や「ワナ解除」、「開錠」や「見抜く」などのスキルを使うと、その対象(敵、宝箱、ワナ、障害)に対してのスキルの成否を、ルーレットで決めることになります。
成否の判定は、こちらのスキルのレベルが高いほど、その対象のレベルが低いほど、成功しやすくなります(必ず成功するとは限りません)。
これが、このゲームの面白いところであると、僕は感じました。
なるべく有利なスキルを身につけ、宝箱を探し、頑張って開けて、いいもの(中身はランダム)を手に入れるという、発掘・探索の面白さがあります。
さらに、その手に入れたものを合成して新しいものを作ったり、店(売り物は入るたびに変わる)で交換してさらにいいものを手に入れるという面白さもあります。
また、敵が迫る前にルーレットを成功させて、扉や岩場を乗り越えなくてはならないといった緊張感や、一発で決まったときの達成感、さらには連続ではずしたときのもどかしさというのも面白いですね。
ただ、このゲームは相当心が広くないと楽しめないと感じました。
Nさんのように、普通の人だったら怒ってすぐに放り投げてしまうでしょう。
自分の行動が思い通りにいかないと、すぐにイライラしてしまう人は、まずやらないほうがいいです。
3.グラフィックやサウンドにも新たな試みが
グラフィックやサウンドが(ゲーム内容に依らず)良いのは、スクウェアの特色ともいえるでしょうが、このゲームもその例にあてはまります。
しかも、いくつか新しい試みがこのゲームに見られます。
まず、グラフィックはどこかの会社の技術を使っているようで、確かにグラフィックは綺麗です。
イラストが3次元空間で動くような技術を使っていることがパッケージにありますが、、これは単に2次元の絵を角度によって変えているだけに見えて、失礼ながら「エアーズアドベンチャー」を思い出しました。
キャラクターも今までの小林智美さんから別の人に代わり、イメージも変わりました。
サウンドも、鳥のさえずりとか猫の鳴き声とか、よく分からないけど至る所に環境音を入れているのが印象的でした。
戦闘以外の音楽は、あまりゴージャスとか派手目なものはなく、非常に落ち着いた感じです。
戦闘の音楽もちょっと意外でした。
これまで「ロマンシングサガ」とか「サガフロンティア」とかは戦闘の音楽にはトランペットがメインメロディを受け持っていましたが、このゲームではバイオリンがメインメロディになっています。
4.TRPGへの回帰
このゲームでは、随所にルーレットやランダム(コンピュータ内で振られるサイコロ)によって、その行動の成否やダメージの大小が決まる箇所があります。
僕はこれを「まるで運で進めるゲームだね」といったら、Nさんは「行動の成否をサイコロで決める、ある意味テーブルトーク(TRPG)」みたいだね。」と言っていました。
なるほど、TRPGか。
確かに、シナリオがプレイヤーの行動で変わる「フリーシナリオシステム」をはじめ、この移動の仕方など、なんとなくTRPGっぽいところがあります。
コンピューターRPGの原点は、もともとは「テーブルトーク・ロールプレイングゲーム(TRPG)」から発していると言われています。
僕は、TRPGをやったことがないので良く分かりませんが、行動の成否はサイコロを使って決めるものが多いらしいです。
このゲームは、コンピューターRPGを見つめなおし、忘れ去られていたTRPGの面白さを再び取り入れようとしたのかもしれませんね。
(これは考えすぎかもしれませんが)
さらには、このゲームは昔のRPGが持っていた、「その世界に住み、自由に行動することができる」という、最近のRPGではあまり体験できなくなった要素も感じられました。
「行動の自由さ」は、「ロマンシング・サガ」以来の「フリーシナリオシステム」で取り入れられています。
このゲームでは、一生運び屋をやっているような生活もできれば、運び屋をやめていきなりアマチュア冒険家になることもできるのです。
5.これがRPG?
このゲームのパッケージの裏には、このような宣伝文句が書かれています。
さらに、Nさんの感想では、「これはRPGとは呼べない 」という厳しい意見が返ってきました。
そもそも、RPGって何でしょうか?
その話は長くなるので避けますが、Nさんはしきりに、「HPが生命力の役割を果たさない」と言っていました。
前述の通り、確かに直接生命力を示す数値ではなく、0になったからといって、戦闘不能になったりLPが減ったりするというものではありません。
しかし、僕は「スタークルーザー」とか、HPの存在しないRPGをいろいろやっていることもあるためか、別にHPが生命力の役割を果たさなくたって、なんら不思議に思いません。
「HP」という単語を使ったのは不適切かもしれませんが、スタミナとHPとして考えれば納得できます。
SFモノのRPGでいえば、「スタークルーザー」等の「シールド」や「エネルギー」と考えても良いでしょう。
SFでなくても、「ブレスオブファイア」のボスの「HP」と「根性値」の関係に近いのではないでしょうか。
また、「ロマンシング・サガ2」から、HPの他にLPというものがあり、この伝統を守るために、敢えてそうしたのでしょう。
僕は逆に、「ドラクエ」や「FF」のような、竜退治やドロボウといった、決まりきったことしかできない、「役割を演じているように見えるが、一本道で自由が利かず、結局は道順に沿ってコマを操作しているだけのゲーム」よりは、ずっと(本来の)RPGっぽいと感じました。
RPGとは、決して「敵と戦闘し、キャラクターを成長させるゲーム」ではありません。
RPGの真髄は、戦闘ではなくて、むしろ移動である、と僕は考えています。
「自分の意のままにキャラクターを操り、世界を楽しむゲーム」
これが、僕のRPGの定義です。
6.「カードワース」をやれとは言うものの…
Nさんは、このアンリミテッド・サガは「カードワース」のパクリだと言っていました。
「どこがパクリなのか?」
と聞いてみると、
「冒険が一つ一つステージみたいになっていて、クリアするときだけレベルアップする」
ということです。
そんなゲームは、他にもあります。
マップの移動とスキルシステム、全ての対象にレベルが設定され、成功率が決まるというのであれば分かるんですけど。
それに、一般に家庭用に発売されているゲームと同人ゲームを比較するのは酷です。
7.1人クリアした感想
僕は「ヴェント」を主人公にして、約50時間かけてクリアしました。
まず、長すぎ!!
成長の幅が短いのはともかく、殆どの時間が武器の改造や宝箱の開錠などに時間がかかっているのは非常に無駄に感じます。
さらにやっとクリアしても「あなたは1人目をクリアしました。」だけでスタッフロールも出てこない。
つまり7人全員クリアしろってことですか!!
(ちなみにストーリーもやや破綻気味でした。)
次に、やはり操作性とゲームシステムを何とかして欲しいところです。
操作性は移動のアナログキーはともかく、アイテムが整列できないのが難点です。
あと、「敵に襲い掛かった」など、ちょっとしたメッセージがでてボタンを押す回数が増えるのも面倒かな。
ゲームシステムは、HPとLPの関係はともかく、戦闘の連携システムです。
僕は必殺技の方が強いので、連携はあまり使いませんでした。
(主な使い道は「高速チ」など訳の分からない作文で笑うぐらいです)
いろいろけなされていますが、移動システムやスキルシステムは、探索や成長を楽しめて良いと思います。
50時間の中で7大驚異に挑んだり、よいパネルを取得しようと運び屋行に精をあげてしまいました。
ゲームバランスもサガシリーズにしてはわりと良いほうです(他のRPGに比べるとやや悪いのですが)
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