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ゲーム探検倶楽部ソフト会議 #093
サイバリオン(X68000)

購入金額:500円(箱なし)

ゲーム内容

1988年にアーケードで登場した、意欲作の移植版。
トラックボールでの操作はもちろん、ジョイスティックやマウスにも対応している。

H.Kuwanoの考察・評価

1.完全な移植度

「サイバリオン」は、1988年にタイトーがアーケードゲームで出した、独特な操作感とコンセプトを持ったゲームです。

プレイヤーは、なんと竜(型の戦闘機)をトラックボール(マウスを逆さにしたようなものです)を転がしながら操作し、迷路状になっている基地内を進んでいきます。

基地内には敵がいて、奥にはボスキャラが登場します。
自機の武器は「炎」で、ボタンで炎を吐いて攻撃したり進路を切り開いていくのですが、使用していく毎に飛距離が短くなっていき、最後には出なくなってしまいます。
短くなった炎は使わないでいると回復し、動いていると早く回復します。

さらに、なんとこのゲームはプレイするたびにランダムにマップや任務、ボスが変化し、その任務の成功失敗によって、ステージ間のデモに流れるストーリーが変化していきます。
エンディングもその成果によって変化し、なんとその種類は108種類

初心者のために、面が固定されステージ間に攻略のヒントが与えられる「練習モード」も搭載しています。


しかし、その特異な操作性やコンセプトについていけず、「何これ 」で終わったプレイヤーも結構多いことと思われます。
僕も、SFC版をプレイして、「こんなのどうやってかわせというんだよ(この竜は全身にダメージ判定があります)」といった感じで一向に上達しません。

でも、X68000版を買ってプレイを重ねるにつれ、だんだんそのよさが分かってきたような感じがしました。

まず、「マップを覚えて対処」ということができないので、ワナを警戒したり、いつ敵が出てきても良いようにとっさに対応するといった戦略性・反射神経が求められます。
これは、「不思議のダンジョン 風来のシレン」のように、臨機応変に対応できる、「プレイヤー自身の成長」を楽しめます。

また、ゲームオーバー時に場面に合ったヒントをくれるのも好感が持てました。
ボス敵との戦い方や道中の敵の回避などを教えてくれます。
「なるほど、こんな弱点があるのか」「こう戦えばいいのか」といったことも分かり、つい再挑戦する気になってしまいます。
昔「ストリートファイターII」でゲームオーバー時にコマンドを説明していたのと似ていますが、こっちはそれよりも親切です。

X68000 の方が操作性がよく、やっていくうちにうまく敵がさばけるようになりました。
さすが、X68000。
アーケードゲームの移植に関しては抜群ですね。
(ゲーム好きのプログラマーに好まれただけかもしれませんが)

 2.SFC版サイバリオンの問題点

SFC版は、SFC初期に東芝EMIから発売されました。
ですが、容量不足からか、いろいろとカットされているところがあるようです。

1.操作感が違う。

SFCにはトラックボールの周辺機器がないので、残念ながらアーケードと同じ操作で楽しむことはできません。
さらにはマウスにも対応していない(出た当初もなかった)ため、アナログ操作は全くできない状態です。

コントローラーでやるにしても、微妙に速度が遅くて敵や弾に当たってしまいます。
さらに回復アイテムも通常より少なめなのはどうなんでしょうか?

2.メッセージがカットされている。

エンディングは108あるかは不明ですが、明らかにエンディングのメッセージが違っています。
ゲームオーバー時のヒントも、アーケード版は「敵の弾は炎で跳ね返せるぞ!」など、状況にあわせた攻略のヒントが出てきて親切なのですが、SFC版は「惜しい!もう一歩」程度のメッセージしか出てきません。
スタッフロールも、アーケード版は敵の紹介があって「サイバリオンはニューコンセプトゲームです!」と出るのですが、SFC版はブルーバックのスタッフロールだけ。

3.音楽が「すぎやまこういち」の曲で一新されている。

これが一番の変更ですが、アーケード版の音楽は全て「すぎやまこういち」の音楽に書き換わっています。
アーケード版のYack氏やOGR氏によるFM音源の勇ましい曲はなくなり、いかにもすぎやまこういちらしいドラクエチックなクラシック風の曲になりました。

賛否両論なのですが、Yack氏のファンであり、ドラクエ嫌いの僕にとっては、やはりアーケード版の音楽のほうが良かったと思います。
理由は、以下の通りです。

・ゲームの世界観に合わない
アーケード版では、「寂しい宇宙で、孤独でも勇敢に戦っていく」金竜の姿をイメージするような、暗い中にも希望のある音楽になっています。
また、タイムで分岐するステージや時間が少なくなると、「急げ!」といった感じの、テンポの速いBGMになります。
ですが、SFC版では通常面の4曲は極端過ぎて、おちゃらけ過ぎていたり、悲しすぎたりします。
曲単体で聴くならいいかもしれませんが、ゲームのBGMとしては、曲が浮いてしまい、合っていません。
また、全体的にゆったりとしていて、アーケード版にあった「急げ!」といった感じのBGMはなくなっています。
正直、「原作やゲーム画面を見て作曲していないな」という風に感じました。

・曲が少ない
アーケード版では、ランダムに変わるBGMはステージだけでなく、ボスやストーリー説明のBGMだって変わります。
ですが、SFC版はランダムに変わるのはステージだけで、ボスは一種類、ストーリー説明はステージのBGMをそのまま使用、さらにはハリーアップ時のBGMもなし。
特にボスのBGMが1種類というのは、悲しすぎます。

3.よくやった!SPS!

X68000版「サイバリオン」は、1990年にシャープが発売したソフトですが、開発元はSPSという会社です。
この会社は福島を探訪したときにたまたま本社を見つけてしまったのですが、このSPSという会社は、X68000というパソコンの発展にかなり貢献した会社であると思います。

初代X68000には、付属品として「グラディウス」がついています。
X68000が登場した1987年、当時アーケード版と同じグラディウスを楽しめるハードは、まだありませんでした。
その結果、多くのゲーマーに支持され、「アーケード基盤と同じCPUを使っているので、アーケードゲームが移植しやすい」ということもあり、数多くのアーケード版の移植作品 が発売されました。
今となっては「ナムコミュージアム」などのアンソロジーシリーズなどで、古いアーケードゲーム(の移植)が楽しめるような時代になりましたが、X68000は、それを記憶が鮮明なうちに、リアルタイムにやっていたということですね、

その活動の中心となっていたのが、X68000製造元のシャープであり、ほとんどの開発はSPSが行っていました。
それに続いて、「アフターバーナー」や「チェルノブ」を移植した電波新聞社や、「グラディウスII」や「A-JAX」のコナミなどのメーカーが、ハイレベルな移植を実現していました。
18禁ゲームやパズルゲームが中心のPC-98シリーズや、CD-ROMの大容量を生かしたFM-TOWNSと比べ、X68000はアーケードゲームの移植やアクション・シューティングゲームが中心のゲームラインナップを築いていきました。

ちょっと話が逸れてしまいました。
アーケード版の移植ということは、アーケードで100円を何枚も使っていたゲームを、家で何度でも6800円でできるということでもあります。
特にこの「サイバリオン」は、すべてのエンディングを見ようとすると最低108回プレイしないといけないので、これはありがたいことです。
逆に、X68000版でプレイして、慣れた後にアーケード版をプレイすることができるということでもあります。

また、そのゲームの良さ(面白さ、音楽、グラフィックなど)を改めて知ることができます。
僕はこのX68000版をプレイして初めて、サイバリオンの本当の面白さが分かったような気がします。
ゲームセンターではうるさくて聞こえなかった音楽も、家庭用ならじっくりと聴くことができます。

ありがとう!SPS!


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