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ゲーム探検倶楽部ソフト会議 #090
激写ボーイ2(プレイステーション2)

購入金額:1980円

ゲーム内容

PCエンジンで登場した「激写ボーイ」の続編が、プレイステーション2で登場。
新聞記者となった主人公「デビット」が、特ダネ撮影のために日本に飛ぶ。
今回は、3D化によってフィールドが立体的になり、ズームも出来るようになった。

なお、アイレム自身も前作と今作の間で変わっており、それがゲームにも反映されている。

H.Kuwanoの考察・評価

1.バカバカしさの中に、ゲームとしての面白さがある。

 このゲームをプレイしたとき、「バカバカしさ」が目に付きますが、それはほんの表面だけです。
僕は、その中に「やりこむことの楽しさ」「発見することの楽しさ」を発見することができました。

まずは、やりこむことの楽しさについてです。

まず最初にやりこむことは、操作に慣れることです。
ほとんどの人は、最初は撮ることばかりに気をとられて障害物に当たってばかりでしょう。
それでは、フィルムがなくなってクリアすることができません。
さらにやりこむことで、障害物をジャンプやダッシュでかわすようになるでしょう。
それでもかわせない障害物やフィルム不足が起こったとき、障害物を撮影したりフラッシュを使って消すことを覚えるでしょう。

また、キャラクタと照準の「注目する」バランスも重要です。
照準ばかりに気をとられていると、他の被写体を逃したり、障害物に当たったりするでしょう。
だからといって自分の操作ばかりを優先すると、今度はシャッターチャンスを逃してしまいます。
「ワイルドガンズ」や「罪と罰」のようなゲームを受け入れやすくしたという感じもあります。

そして次にやりこむことは、障害物やターゲットの出現パターンを覚えることです。
最初は何度もNGを食らうことでしょうが、まずは障害物の出現パターンを覚えて、すばやく対処するのです。
次に、メインとなるターゲットを覚えて撮影することです。
それでもスコアが足らなくてNGになったら、高得点のターゲットやフィルムを出す物体を探して、カンペキなプレイを目指すのです。

クリアしてしまっても、完全クリアと目指すなら、まだやることは残っています。
まずは、隠しステージを見つけることです。
そして、すべてのステージの被写体を撮影し、アルバムすべて埋めることです。
さらに、ズーム撮影や複数撮影でハイスコアを塗り替えるという楽しみもあります。

次に、発見することの楽しさというものです。

このゲームは、ステージクリアの合否が得点によって決まります(ターゲットの撮影も必須ですが)
まず、得点を取るには、「面白い被写体をとる」ということが必須です。
(もちろん、ステージに指定されているターゲットも高得点で必須 なのですが)
つまり、「発見することがクリアにつながる」のです。

最初はどうしても、ターゲットを探すことに集中するでしょう。
そしてターゲットを探すことができたら、次は不足している得点を補うために、他の得点の高い被写体を探すこともあるでしょう。
さらにクリアしても、アルバムをコンプリートするために、さらに画面を探すことになるでしょう。

僕は、特にこの「発見することがクリアにつながる」ということが、昔のゲームみたいで面白いと感じました。
それも、敵のパターンやルートを発見するとクリアに近くなるというゲームはよくありますが、それも「画面の中を注目すれば、誰でも簡単に見つけられる」という、誰でも簡単に「発見の面白さ」を感じられるのは、そうはありません。
みんなで「間違い探し」みたいにして遊ぶのも面白いかも。

2.見慣れているものを深く見てみると、新しい発見があるものだ

僕は、このゲームをプレイして、「自分の身の回りにも、注意深く見ていると、何か面白いものがあるのではないか?」と感じました。

そりゃ、このゲームはフィクションで東京はぜんぜんこんな街ではないことは知っています。
ハラジュクに行っても空飛ぶ機関車はないでしょうし、もちろん遊園地もないでしょう(「トモローズ」はあるかもしれませんが)。

確かに、このゲームの日本観はかなりおかしいことは分かっていますし、外人が見てもおかしいと思うでしょう。
しかし、日本を舞台にしたということで、かえって親近感を持ってしまい「日本にだって、知らないところはたくさんある。知っているところだって、よく見ると何かあるかもしれない。」 と感じました。
僕の旅行でも、よく知っている場所にこれまで知らなかった店があったりすることは、結構あります。

3.元ネタ命(元ネタを知らないと、面白さ半減?) 

Nさんが面白いと言った「バカバカしさ」は、元ネタを知らないと、そこまでバカバカしいとは感じられないかもしれません。

実はこのゲームは、撮影する対象は何かのパロディになっていることがほとんどです。
たとえば、最初に出てくる腕を振って分身しているスーツにグラサンの男は、「マトリックス」のエージェントのパロディ であると思われます。
僕は最初「なんで腕をブンブン振っているんだろう?」と不思議に思いつつも撮影しましたが、ふとマトリックスの映像を思い出して、「あっ!これはもしや!!」 と思いました。
ですが、NさんやKGRさんは、このパロディを何も知らず、撮影対象であることも気づかなかったようです。

元ネタを「探す」という面白さは、「パロディウス」シリーズに通じるものがあります。
僕も、「極上パロディウス」のエキストラステージのBGMを聞いて、「やばっ!全部知っている音楽だ!」 と思って懐かしんだり、
「セクシーパロディウス」でイーアルカンフーのリーが出てきて笑った りしたことがあります。
パロディは、元ネタを知らないと、何にも面白くないものです。

全体的に20〜30歳ぐらいの人でないと、元ネタは分からなそうですので、10歳ぐらいの人では、「やりこむことの面白さ」が分からなければ、このゲームは面白くないかもしれません。

3.チャチい印象

このゲームは中古で1980円で買いましたが、確かに「安っぽさ」や「チャチさ」を感じます。
技術的にも、このゲームはPSでも実現できそうですし、ステージ中も、そんなに動いているものはたくさんなくて、ちょっとさびしい印象を受けます。

特に音楽が、ちょっと安っぽく感じました。
まるでニュース番組などに流れてくるようなBGMで、あまりにもおとなしすぎるのです。

このゲームは元ネタ(被写体)が命なので、もっと時間や人員を増やせば、もっと賑やかでゴージャスなゲームになったでしょう。
ある種の、小さい企業の弱さというものを感じました。

でも、僕はアイレムという会社が再びゲームを製作するようになったことをうれしく思いますし、
外注などによって、ゲームを通じて地域に貢献できることは、とても良いことだと思います。

4.総評

いろいろ書いてしまいましたが、僕はこのゲームは「やりこむことが楽しい」と断言します。
ですので、やりこむタイプの人には良いと思います。

もちろん、眺めるだけでも楽しめます。
それは、ゲーム好きの20〜30歳の人だと、もっと楽しめるでしょう。
ただ、外見だけに気をとられると、もたないかもしれません。


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