WodehouseのJeevesシリーズ 1 Jeevesシリーズ 2へ | Topへ | |
英米では有名な作品であるが、日本ではあまり知られていなかった。美智子皇后(当時)が退位の際のインタヴューで触れられて、有名になり、私もミーハー的に覗いてみた。 | ||
|
||
The Inimitable Jeeves by Pelham Grenville Wodehouse 先ごろ、美智子皇后が誕生日の談話?の中で、退位を控えて「これまで出来るだけ遠ざけていた探偵小説も、もう安心して手許に置けます。ジーヴスも2、3冊待機しています。」ということが報道され、私もミーハー的に、どれどれと手を出した。100年ほど前に出版された、ユーモア小説である。 のんびり者の主人公とその従者ジーブスを軸に、親友の、惚れぽいビンゴや、叔母のアンナ・クリスティなどが珍事を巻き起こす。使用人を抱えるような上流社会が舞台。話題が明るいので、ゴースト・ストーリーを読み続けた後には良い解毒剤となっている。 |
||
|
||
The Inimitable Jeeves by Pelham Grenville Wodehouse 皇后が退位の後で読む本とされたのは分かる。読みだすと面白過ぎて、公務に支障が出る。 翻訳を見たい誘惑にかられる本である。 7割しか理解できなくても、英国流のとぼけたユーモアの味は楽しめる。それに、お節介焼のアガサ叔母さん、惚れっぽい親友ビンゴなど好人物たちに会いたくて、私は、2冊目Carry on. Jeeves (「それゆけジーヴス」に手を伸ばす。 |
||
|
||
Carry on. Jeeves by P.G.Wodehouse (1925) 灯台もと暗し。毎週2回も会っている英人Pさんが、ウッドハウスのファンで、初版本も沢山持っているという。英国のある時代の文化を、こんな形で残した功績は大きい。また、スティーブン・フライ(ジーヴス役)やフ―・ローリー(ウースター役)が演じているテレビ映画も素晴らしく、彼らの言葉遣いを聞くことによって、文章もよくわかるようになると彼は言う。 P.G.ウッドハウス(1881-1975)には95冊の著作があり、今読んでいるジーブス・シリーズだけでも14冊あって、私はやっと2冊読み終えたばかり。ファンは英王室をはじめ、全世界に広がっており、多くの国にファンクラブがあって、ブレア英元首相、『利己的な遺伝子』のリチャード・ドーキングも愛読者とのこと。 |
||
|
||
Very Good, Jeeves by P.G.Wodehouse (1930) 格差が問題にされるようになってから久しい。「自由と平等」が民主主義の理念であるから、格差を問題にするのは当然であるが、文芸の舞台に目を移すと、格差がある方が面白い。 これまで読んできた本は、短編読み切り集であるが、登場人物、エピソードなど、緩やかであるが、前作を踏まえているので、同じ読むのなら、作品の発表順に読む方が楽しい。アガサ伯母、ダリア伯母、友人ビンゴ、ターピィー・・・・登場する若い女性もみな強烈な個性である。 |
||
|
||
Thank you, Jeeves by P.G.Wodehouse (1934) ジーヴス・シリーズの第1作目の邦訳を図書館に予約して、現在20人待ちとなったが、もう翻訳を読む気が失せてしまった。失望、反感を感じるだけの気がするので。 例えば、江戸時代の階級、身分、職業、性別などによって、言葉遣いが異なるが(落語はその様子を伝える)それを英語にせよと言われると難しいように、同様の困難さが、ウッドハウスの作品に言えるのである。また、対応する日本語表現が見つからないものが多い。早い話がジーブスのことを執事ジーブスと訳すものがあるが、ジーヴスはvalet(従者)であって執事butlerではない。英米では、会話の中に絶えず、相手の名前や愛称、尊称を入れて話すのが、その翻訳も難しい。ウッドハウスの作品では特にその種類が多く面白い。対応する文化がないため、無理に日本語に翻訳すると3割がた面白さが消えてしまう。 「Thank you, Jeeves」はNovel、長編書下ろし作品。 |
||