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  正月の息抜きに、John Le Carreのスパイ小説A Most Wanted Manを読み始またら、その巧みな語り口に引き込まれてしまった。舞台はハンブルグで、ここにやってきた青年は得体が知れない。ロシヤ、チェチェンが出てきて、テロの匂いもする。ドイツの秘密警察やイギリスのインテリジェンスも動く。・・・慈善施設の弁護士と銀行家がその青年の保護に当たるのだが・・・・
  語彙レベルが高く、絶えす辞書を引くことを強いられるが、半分くらい読んだところで、図書館から翻訳(加賀山卓郎訳『誰よりも狙われた男』(早川書房)を借りてきて、辞書代わりした。筋が込み入って来るにつれ、翻訳への依存度が高まったが、最後まで読み通せて、やはりよかった。イスラム過激派のテロが噛んでいるかも・・・1章ごと読者を引きつけながら進み、最後にあっと言わせるLe Carreの手腕は凄い。
映画化も始まっているようである。登場人物が皆個性的で、生き生きと描かれているので、映画化されるのも頷ける。
本筋には関係がないが、銀行家の秘書が、ルイス・キャロルが好きで、銀行家が「セイウチと大工の」の詩の一節を引くところがあるが、イギリス人の著者らしい。

 
  
   

  John Le Carreの文章は私には、難しが面白い、面白いが難しい、。また手を出してしまった。
  Our Kind of Traitor. 今度は最初から翻訳を図書館から借りてきて、交互に読むことにした。
  原文300ページに対し、訳本 上岡伸雄/上杉隼人『われらが背きし者』(岩波書店)は500ページ。
  作者はモームのように平易に書くのが嫌いのようだ。
若いカップルが、カルピ海に浮かぶアンティグア島で休日を過ごすのだが、そこでロシヤの富豪らしい一家と出会う。
  Kobe beefを取り寄せて食べるくらいだが、背後に暗いものがありそう。読者は徐々にたくり寄せられて行く。
本筋には関係ないのだが、Kobe beefがこんなに有名なのは神戸出身者としては嬉しい。

 
  
   

John Le Carréの50年前の作品である
The Spy Who Came In From The Cold
を読み終えました。
  英語は前の2作品に比べて、やさしく、普通のミステリーのレベルだと思います。それでも翻訳(宇野利泰訳)のお世話になりました。読者を引き込む語り口のうまさのほかに、私が彼の作品に魅力を感じるのは登場人物の人間関係、特に男女間の愛情・恋情のようなものが、しっかりと描かれていることです。
  前の2作で、少し不満な点は、その終結の処理で、劇的だが、私の好みではないと言うことでした。ひょっとして、50年前の作品も同様ではないかと危惧していましたが、やはりそうでした。
  この年で初めてスパイ小説の面白さに目覚めるのは随分晩稲ですが、現実の世界で、今も活躍中の多くのスパイ(諜報部員)のみなさんのご苦労にも思いを馳せるよいきっかけとなりました。

 
  
   

  Tinker,Tailor,Soldier,Sailor,Rich man Poor man,Beggerman, Thief.
これは子供たちが、花びらなどちぎりながら遊ぶ、運命占いのナーサリーライムです。
Tinker,Tailor,Soldier,SpyはJohn Le Carreのスパイ小説ですが、読み終えたばかりなのでこれについて少し書いてみます。
  諜報組織の幹部の中に二重スパイ(Moleモグラ)が潜んでいて、それを炙り出そうというのが物語の内容です。
  国家にとって、また、命を張ってスパイ活動をしている者たちにとってモグラがいかに危険なものであるかは想像がつきます。
  極秘の調査に、幹部たちにはTinker,Tailor,Soldier・・・と渾名がつけられるのです。
ジョン・ル・カレの文章は難しく、私の英語力のなさを痛感させられますが、村上博基の翻訳を参考に読み終えました。
  難しいですが、1章1章が短編小説のような、抑制のきいた味わいがあり、人物造形でも、さすがシェイクスピアの末裔で、例えば村上春樹と比べて、圧倒的に上質で、血が通い、体臭さえ感じさせる実在感があります。
  そのような登場人物に同化しながら読むので、読んだ後、何か熱いものがこみあげてきます。
  老スパイ、ジョージ・スマイリーが主人公の「スマイリー3部作」の第1作目になります。
(彼の作品はこれ以外に、すでに3冊読んでいますが、いづれの、邦訳を参考にしないと読み通せませんでした。
  英語に自信のある方は、一度力試ししてみませんか?。)
  もう次のThe Honourable Schoolboyに手を出しています。連休もすぐ過ぎることでしょう。