Joseph Campbell

 ジョセフ キャンベル(1904-1987)
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  マーシャさんというアメリカの女性から英会話を習っていたのは、今から30年以上前、私は50歳を超えていた頃であるが、そのマーシャさんから、今アメリカで評判のテレビ番組のビデオを友達から送っていたと言って、貸してくれたことがあった。それが、ジョセフ・キャンベルとビル・モイヤーの対談番組であった。

  その対談は、死の前年に収録され、死後、「神話の力」と題して放映されたものである。

  この対談は今youtubeで見ることが出来る。
  (197) joseph campbell power of myth - YouTube

  また書籍化されていて、私の手元にもある。(右記)

  以来、キャンベルの本が少しづつ集まってきた。彼の本には図版が多くて眺めるだけでも楽しいのだが、殆どが積読状態だった。これから少しずつ読んでみようかと思う。

 彼の神話研究はC.G.Jungの集合的無意識の探求のように私には見える。その彼にはThe Portable Jung という本があって、ユングの本を殆ど手放した私には、魅力があるのだが、未入手。

  マーシャさんとは半年のお付き合いで、その後、アメリカに行った時に一度お会いしたが、それが何処であったか、また、その姓も今は思い出せない。

    2023・3・28

  ジョーゼフ・キャンベル - Wikipedia

  

  
 THE POWER OF MYTH
 by Joseph Campbell with Bill Moyers 1988

  テレビでの対談(1987)の書籍化したもの。
  この対談は今youtubeで見ることが出来る。
  (197) joseph campbell power of myth - YouTube

  1995年に一度通読している。
  「甘え」と祈りで一度取り上げた。
  
  葛飾区図書館友の会読書クラブで本書を取り上げることになって、再読することになった。

各章とも神話の豊富な事例が詰まっていて、要約は困難です。
下記は、私の備忘用メモ
     要約ではありません。唯のメモ
Ⅰ   神話と現代世界 巻頭に「人が求めているのは人生の意味だというが、私はそうは思はない。人が求めているのは、生きていることの経験だ。だから、純粋に肉体的な体験も我々の内面奥底にあると共鳴を齎し、生きていることの無常の喜びを実感する。」
新しい神話はplanetに関するものでなければならないと。
1852年のシアトル酋長の言が印象的。
   内面への旅  夢、神話は社会の夢。ユングの元型的夢。
生き物は他の生き物の命を殺して食べなけらばならない。Life lives on life. 太古の原初的犯罪ーこの事を取り上げているのは珍しい。
神話が似ているのは何故か?
人は神話に何を求めるのか?

モイヤー:キャンベルの著書で、「私の信仰を覆すどころか、その信仰を、かって収容されていた文化的牢獄から解放してくれた」と
   最初の語りべ  狩猟民族ー動物を殺すー儀式。バファロー・ダンスの由来。白人のと登場ー神聖冒涜sacrilege-バファローはthouからitに変わる。
命あるものはthou.動物から学ぶ。
イニシエーション儀礼。シャーマン達
   犠牲と至福  本来の自分を純粋に体験出来ること。
シャアトル大聖堂。自然の神聖を分からせてくれるもの。シャーマン。芸術家、
狩猟文化と農耕文化の神話の差異。
キリスト十字架の意味。
至福の時:キャンベルにとって。
sat- chit-Ananda(being-consciousness-bliss)
chitはcitまたはcittaの誤り?。
幸福論
   英雄のアドベンチャー さまざまな英雄とその行動
おとぎ話は子供の神話
ツッマー先生のマーヤ(幻影)の話。
根本的な自己存在を探しての内面に向かう旅
「アーサー王物語」 インデアンの伝説、
生き方、幸福論。
苦しまなくても生きて行ける、と言っている神話には一度も出合ったことがない。
compassion:共に苦しむ。
菩薩、ニルヴァーナ
神話は隠喩、詩、究極の真理の一歩手前
   女神の恵み  女神か男神か、男神優位「甘え」と祈り
父親探し
原形質protoplasm, 形態発生野morphogenetic
field
処女降誕 仏陀の生誕。 インド、7つのチャクラ
オシリス・イシス マリアの霊性「神の母」
ブラフマンは中性名詞。
女神・宇宙と自己同一の認識
  Ⅶ  愛と結婚の話 エロスとアガぺー。
12世紀の吟遊詩人、個人の愛を詠う。聖杯伝説の発生。
compassion共に苦しむ。愛は目と目を通じて心に至る。
  Ⅷ  永遠の仮面 神話のイメージは私たち一人一人の精神的可能性の反映です。私たちはそれを瞑想することによって、自分たちにそういう力を呼び覚ますことが出来ます。

神と自分とも合一。自分の内面の人類意識、
円環のシンボル、自己を中心に描く。
比較神話学ー相互照射
絶頂体験(peak experiennce)と突然のひさめき(epiphany)
両親、友人を亡くしたが、彼らを失ったのではないという確信がある。
人生の目的はない。自己増殖と生存維持の強い欲求を持った多くのプロトプラズマ。
生の使命は潜在能力を生きることだ。
あなたが至福とするものに従いなさい」
Follow your bliss
.あなたは自分が軌道乗っているかどうか分かるはず。
AUM
   
再読しての所感
 〇キャンベル:この時83歳、神話、説話など細部を縦横に説明する記憶力に愕く。
モイヤー:この時53歳、多方面の知識で、キャンベルから多くのことを引き出しているが、キャンベルとは精神的レベルにギャップがある。

〇神話を中心とした文芸、思想の幅広い研究から、人間の潜在意識に横たわる元型を探る一連の探求は、実は、キャンベル自身の自己の探求でもあった。そして、覚醒、悟りのレベルに達した。

〇すべてが隠喩であり、その向こうに、永遠のものがあると。

〇キャンベルの到達した世界を示す。

 2023・8・24
 


1992版


1988年原書と2010年翻訳文庫版


邦訳:『神話の力』飛田茂雄 訳 早川書房1992
  
 この単行本では原書の図版の半分ぐらいが入ってる感じ。
 挿絵の説明も不十分。文庫本は未見。
  
  ビル・モイヤーの「まえがき」は素晴らしい。
  飛田茂雄の「訳者あとがき」は大上段に構えすぎて、驚く。
  いま、なぜ神話か?
  科学万能、共産主義、白人至上・・・の神話が崩壊、
  核の脅威、森林破壊、環境問題・・・の課題
  これらを前にして、キャンベルの神話的考察が示唆するものは大きい。
  
   2023・4・7

邦訳:『神話の力』飛田茂雄 訳 早川書房 (文庫本)2010

  前版を金子靖と小都一郎が訳文を校閲・校正したとある。解説に沖方丁のものが付いている。
 沖はその中で「神話は、もしかすると自分が完全な人間になれるかもしれない、という可能性を人に気づかせるんです。」(第5章)を引用している。

 訳文で違和感を感じたのは、モイヤーがキャンベルのことを、先生と呼んでいることである。原文はただのyou、二人はファーストネーム愛称で呼び合う間柄。(この事に関しては、訳者も気にしていて、あとがきで言及している)
  2023・8・10

  
   JOSEPH CAMPBELL 
TRANSFORMATIONS OF MYTH THROUGH TIME

   キャンベルの13の最後の講義  1990

   Stuart Brown とWilliam Freeによって作らたテレビ番組を書籍化したもの。 図版に説明がないのは惜しい。

目次:
  1.はじめに、人の起源と神話
   
この章だけでも一読に値する。キャンベルの学の深さが分かる。
  2.伝説を生きる人たち:アメイカ・インディアン神話
  3.そして、我々は武器を海で洗った。
      新石器時代の男神と女神
  4.ファラオのルール、出エジプト、オシリス神話
  5.聖なる源泉:東方のPerennial 哲学
  6.悟りへの道:仏陀
  7.東洋におけるIDからEGOへ:クンダリニ・ヨガⅠ
  8.心理学から霊性へ:クンダリニ・ヨガⅡ
  9.天国への下降:チベット死者の書
 10.闇から光へ:古代ギリシャの神秘宗教
 11.道はなかった。アーサー王伝説と西洋流
 12.高貴な心:トリスタンtpイゾルテの宮廷恋愛
 13.聖杯探求:パーシバル伝説

   2023・3・29
 

 
       THE HIRO'S JOURNEY
      JOSEPH CA MBELL
        ON HIS LIFE AND WORK  1990
    by Phil 
Cousineau and Stuart L. Brown

 
1982年から製作開始され、1987年に公開された映画があって、その映画を基に作られた本。映画の方は、死ぬ数か月前、本人は夫人と共に鑑賞しており、パネル・ディスカッションにも参加しており、本はその時のことまで書かれている。

  2004年に一度通読している。
  インターヴュー記事と多くの図版と写真(キャンベル自身に古い写真を含む)によって、キャンベルの人生を辿る。

  彼の発言の裏に、彼にどんな人生があったのか、よくわかる。
特に、運動体験、ヨーロッパ遊学、人との出会い。大不況後の五年にわたる読書生活。38年に及ぶ女子大での授業。結婚。各地への旅行。・・・

  彼の思想は、彼の人生体験と裏腹なもので、彼の伝記的事実とそれに対する彼の反応を知ると、彼の言わんとすることがよくわかる。

   そして、彼が到達して地点が何であったか?
transcendence 悟りとしか表現できないものである。
私はこの本によって、キャンベルがとても親しいものとなった。

   序文ーPhil Cousineau素晴らしいキャンベル論を書いている。

    年譜

  1 冒険への呼ぶ声
  2 試練への道
  3 ヴィジョン探求
  4 女神との出会い
  5 恩恵
  6 魔法の飛行
  7 折り返し点
  8 2つの世界の巨匠
  エピローグ:虎と山羊


   2023・3・29

  2023・9・15追記

2023・9・17本書再読了。
 ジョセフ・キャンベルを理解するには、本書は最適、彼の伝記的事実が頭に入り、彼の言わんすることが、どんな土壌の基に出ていたがよく分かる。彼がより親しいものに感じられる良書である。
翻訳が無いのが不思議。

1988年初版

この本は多くの人との対話から成り立っているのであるが、巻末にcontributorsとして、登場人物の略歴が紹介されているのだが、2頁以降が印刷漏れ。

(現在の版は装丁が変更されている。contributorsは全部出ているだろうか?))

(627) 英雄の旅 - ジョゼフ・キャンベル - YouTube

(627) Joseph Campbell and the Myth of the Hero's Journey - YouTube


(627) Follow Your Bliss - YouTube
(642) Follow Your Bliss - YouTube

  
     The Masks of Gods

 Vol. Ⅰ Primitive Mythology
 
Vol. Ⅱ Oriental Mythology
 
Vol. Ⅲ Occidental Mythology
 
Vol. Ⅳ Creative Mythology

 
いつか、読むことがあろうか?

2巻目のOriental Mythologyの最後の方に、日本の神話に40頁割かれている。
 

  
    The Hero with Thousand Faces
       
初版は1949年 この版は1973年

 キャンベルの代表作、45才の作。
 2つの出版社に拒否され、Bollinngen Foundatioonから出版された。同社はC.J..Jungの著作を出版したところ。後にプリンストン大学が引き継いだ。

 途中まで読んで、これも積読状態。
 

  
     MythsTo Live By   1972


  The Cooer Unionというファオーラムで、過去14年間(1958-1971)に行った講演の記録。一般大衆向け。

  12の講演が収められている。
  引用文献、索引付き。


 この中第7章Zen(1968年)を読んだが、それは見事な講演であった。

 事法界・理法界、他力・自力、 達磨大師・武帝、禅の継承に就ての慧能・神秀の話、そのような基本的な事柄をおりまぜでの分かりやす内容で、キャンベルの禅の理解の深さを知る。
 なによりも、会場にある多数の照明とその光との例えで、悟りの世界を示すやり方は秀逸。


 2023・9・18
 

邦訳は『生きるよすがとしての神話』だと思うが未見。