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■ 少女漫画に出てくるミュージシャンいろいろ

ミュージシャンをモデルにしたキャラクターをいくつか集めてみました(ほぼすべて、作者が認めているもの)。
ちょい役やゲスト出演を含めるとキリがないので、主要キャラに絞ってます。
私の専門は80年代なので…そのへんの偏りはご容赦ください。90年代(というか、いわゆる「バンドブーム」)以降、バンド好き漫画家が一気に増えたうえ、私自身が以前ほどチェックしなくなったため、フォローしきれません…
なお、写真は最美期当時にちかいものを選んでます。

漫画家さん本人にしてみれば過去のハナシだったりするんだろうけど、一度世に出したものは消せないからね。


ELP(のキースとカール)
ピーター・フランプトン
レッド・ツェッペリン
  ↓
青池保子「イブの息子たち」('76〜)「エロイカより愛をこめて」('77〜)

基本中の基本、「青池保子系」ということで…
左の愛くるしい青年はピーター・フランプトン!
ちなみに青池保子のいちばんのお気に入りは、当時も今も、ブルーオイスターカルトだそうです。
(画像は、ワサワサ大量になってしまうので省略…)


ミッキー・フィン(ex.T-REX)
  ↓
大島弓子「いちご物語」('75〜)などの森太郎
おおやちき「雪割草」('75)のレックス・グイド

ミッキー・フィンといってもモヒカンの人ではなくて←わかる人はお友達
森太郎とは、大島作品にちょくちょく出てくる黒髪の美男子です。
(大島作品に関しては、ボウイのページも参照のこと)
「雪割草」は、白血病に冒されたヒロインが、天才フィギュアスケーターのグイドに導かれて奇跡的なまでの名演ののちに死んでゆくというおハナシ。
おおやちきや(同時期の)一条ゆかりを読まずに少女マンガを語る人を、私は信用してません。ゴージャスでロマンチックで、男がごつくて、最高なんだ。

ちなみに橋本治は「雪割草」を「少女マンガで初めてレイプシーンが登場した作品」としていますが、実際にはその数年前に一条ゆかり、さらに数ヶ月前にもりたじゅんが描いてるんだそうです(私もぜんぶ持ってるよ)。TINAMIXのコチラ参照。


デヴィッド・シルヴィアン(ex.JAPAN)
  ↓
萩岩睦美「銀曜日のおとぎばなし」('83〜)のスコット

萩岩睦美は、日本人女子が夢みた「美しき英国」を紙上に描き出してくれました。和モノも上手いし、とにかく何を描いても雰囲気があったかくて、人柄なんだろうね、貴重な漫画家さんだと思います。RMC「魔法の砂糖菓子」は珠玉の一冊。
妙齢の男性もいつも色っぽい。しかし、大島弓子が描く美男子がボウイにしか見えないように、ほぼどの人もデヴィッド・シルヴィアンにしか見えません。
後年の「うさぎ月夜に星のふね」のたろちゃんは本田恭章みたい。本家と同じ移行。

ミック・カーン(ex.JAPAN)
  ↓
くらもちふさこ「おしゃべり階段」('78〜)のマーシ

イイ男すぎる!


マイケル・モンロー(ex.HANOI ROCKS)
  ↓
小椋冬美「シルク」('83)の塔也
同じく「砂漠の夜へどうぞ」('84)の杏子先輩

有名なネタじゃないけど、私はこれでマイケルを知ったので…
男をモデルに女性を描いてるのって、他にあるのかな?
(私の目には、昔の彼も立派な(立派すぎるほどの)男性にしか見えないんだけど、なぜいつも女扱いされてるんだろう…)
前者は生まれて初めて読んだ「りぼん」の巻頭を飾っていた作品で、この2作が入ったRMC「シルク」を私は今でも大切にしています。

小椋冬美はイアン・マッカロクのファンとしても有名で、富永裕美、早坂いあん(そのまんまのペンネーム。彼女の王子様には他にロディ・フレイムが)とともに、80年代のUKロック好き漫画家御三家…と私は認識しています。


ゴドレイ&クレーム
  ↓
森脇真末味「ゴドレイの恋人」('85〜)のゴドレイとクレーム

ルックスも全然違うしモデルになってるわけじゃないのですが、後書きによると「(作品と音楽とは)ニュートンの引力とリンゴくらいの関係」があるそうなので、せっかくだから載せておきます。売れっ子小説家のゴドレイとそれにふりまわされるロイのファンタジーもの。

森脇真末味も単行本ぜんぶ持ってるほど好きな漫画家です。私の感覚では、漫画慣れしてないと読みにくいような気がする…いや、参照領域も漫画だけ、というような漫画が氾濫してるからこそ、この人の描いてたような、そうじゃない漫画は読まれづらくなってるんじゃないかなと思う。
作品には音楽ネタが多く、「おんなのこ物語」「緑茶夢」は人間関係に終始した(笑)ロック漫画の名作。バンド経験者は身につまされるかも。
ちなみにご本人が好きなのはジョイ・ディヴィジョンやトーキングヘッズ、作中演奏されるのは暗黒大陸じゃがたら、オマケページに描いてる似顔絵はコリン・ヘイ(ex.MEN AT WORK)とか、到底女のコ受けしなさそうなラインナップ。


デボラ・ハリー
  ↓
多田かおる「デボラがライバル」('87〜)などのデボラさん

これも反則かな?デボラ・ハリーにあこがれて金髪にし、同じ名前を名乗る「おかま」のデボラさん。あこがれの人はフレディ・マーキュリー。

くらもちふさこは「多田かおるの漫画はそれ自体がひとつのジャンル」と言っていますが、ほんとに素晴らしい少女マンガ家でした。私がいちばん好きなのは、このデボラシリーズ。映画化されたときのデボラさんは谷原章介。
音楽的には、彼女はジャパメタ寄りの人なのですが(ダンナはPRESENCEのボーカル)、私そっちはよくわからないので、すいません。


ピート・バーンズ(ex.DEAD OR ALIVE)
  ↓
楠本まき「KISS××××」('88〜)の臣

画像とりこんで初めて気付いた、アイパッチが逆だ(笑)
これに関しては作者の証言がないんだけど、横におつきの者もいるし、明らかにそうでしょう。
その他「ミチロウ」とか、出てたっけ。ミチロウや清志郎はいくえみ綾もよく描いてた。
「KISS××××」はつまるところ、「皆の人気者が私にだけ夢中!」という超・少女マンガ。他の音楽ネタとしては、バウハウスのレコードが出てきたくらいしか記憶がない…


イギー・ポップ
  ↓
山下和美「ROCKS」('99)のアキラ

私の世代の集英社派女子にとって、ロック好き漫画家といえは誰をおいても山下和美。他の漫画家がエコバニとかいってるのに、彼女の一番はリッチー・ブラックモアなんだもん。
マーガレット時代の作品にもロックネタが多く、たとえば「アフター・ミッドナイト」ではラジオでゾンビーズが流れるし、「1億1千万のわたし」は、ロックミュージシャンと日本人グルーピーとの間に生まれた女の子が主人公の芸能界モノ。ゲストでジョーイ・ラモーンもひとコマ出てきます。また、文庫版のあとがきでは、イギーが「山下和美の妹宅をたずねた際の画」(ホントに来た)が見られます。
ヤングユー誌に連載してた「ゴースト・ラプソディー」も面白かったな。結婚間近のOLに、かつて彼女の「王子様」だったロックスターの守護霊が取りついちゃうお話。そんなの絶対ヤだけど(笑)
講談社「山下和美短編集」に収録の「ROCKS」はロック漫画の名作。しりあがり寿「流星課長」と一緒に読むのをおススメします。

「1億〜」では「再起をはかる往年のロックスター」が35歳(!)なのに対し、「ROCKS」では現役ロッカーがキャリア30年なんだから、オトナの漫画になったもんだ。
(「天才柳沢教授の生活」にも、50歳をむかえて壁にぶち当たるロックミュージシャンの話があった)



(2004/09/12)


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