「はじまりの風」の後書き……のようなもの


 『はじまりの風』を読んでくださった方々、ありがとうございます。
 そして、こんな所にまで足を運んでくださった方々(笑)
重ね重ねありがとうございます。
 ついでのおまけで、ちょっとだけ後書きのような言い訳のようなものを
書いてみました。
 お暇な方は、お付き合いくださいませ。


 さて、この話は、『時無草紙』&『耽美桐葉舎』十万ヒット記念にリクエストされて
書いた作品であります。
 で、ご承知のように、『亞珠梨 ―夢幻忌憚―』の続編といいますか、
「その後……」なのであります。
 実は本編を書いて友人たちに見せた時、意外にも多かったのが、
「高志が一部だけしか出てこなくて淋しい」とか「あのまま別れてそれっきりなんて
哀しすぎる」といったお叱りの声(笑)でした。
 まあ確かに、結構重要な位置を持ってでばっていた高志くんが、やられて記憶を消されて、
ハイ、お終いというのも淋しい気はしたのですが、なんせ完璧に脇役のつもりで考えていたもので、
しゃーないよなぐらいに考えておりました。
 で、HPに公開するようになった後も、実は同じような感想を幾つかいただきまして、
うーむ、これは再考の余地があるのかな? とも考えるようになりました。
 この話の中のワンシーンは、実は本編を書き終えてわりとすぐ後に考えついたものでして
それなら、こんなシーンを本編のラストにつけて書きなおしてみようかな?
などとも真剣に思ったのであります。
 が、しかしどう考えても蛇足であるように感じて、踏みきれませんでした。
この話のネタが気に入らなかったわけではないのですが、本編に付け足すには
どうしても納得が行かず、結局あきらめて、そのままにすることにしました。
だって私の中では、本編はどうしてもあの形のまま、終わりにしたかったんですもん。 
 そんなわけで、このネタも結局お蔵入りで、多分一生形になることもなく
私の頭の中で眠る事になるだろうと考えておりました。

 ところが、今回のイベントで思いもがけず『亞珠梨』のその後を希望され
その時、もうあのネタを書くしかないと確信してしまったのであります。
 なんといいますか、自分の中ではあきらめていたものを
読者様の手によってに引き戻されたという感じで、なんとも不思議な感覚でありました。
 と同時に、こんな形で作品化する機会が巡ってこようとは思ってもいず
当惑しつつも、とても嬉しい気持ちであります。
 十万ヒット記念イベントで、「その後……」を望んでくださったF様。
 F様の中では別のその後があって、こんな続きを望まれたのではないかもしれませんが、
これもまあ、私のワガママだと思っておおめにみてやってくださいませ。

 この話、なんだかオチも何もなくて、ムードだけに頼ってしまった感があるのですが
それもまあ一興と言うことで……(^_^;)
 それから、本編を知らない方にはまるっきりわけのわからない駄作かもしれません。
本編を読んだ方にとっても、なーんだと思われるような出来かもしれません。
 でも、あの亞珠梨と高志の別れのシーンのあとに、
こんなシーンを思い描いて本編があったのだということだけでも知っていただければ
作者の私としては満足であります。

 ということで、最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
 記念品はこの後ももう少し出てくる予定ですので、忍耐強くお待ちくださいませ。

                                       辻 桐葉

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