辻 桐葉 究極自己満足企画 ・ 誰にも理解されなくたってかまやしないさ!
がんばれ、ケインくん! |
「ケインくん」 |
がんばれ、ケインくん その1 ーーS・W・A・T編ーー |
|
某テレビ番組の企画で、アメリカの精鋭狙撃部隊S・W・A・Tに特別入隊させられたケインくん。 ちょっとオヤジが有名人だからと思って、若造がいい気になるなよ、へん……と、斜に構えた荒くれ男たちに苛められながらも、持ち前の根性と努力と愛らしさで精一杯頑張る彼は、いつしか猛者たちのアイドルと化し、みんなに愛されるようになっていったのだった。 |
|
そしてそれはある日の特別訓練のこと……。 |
がんばれ、ケインくん その2 ーー少林寺編ーー |
|
前回に引き続き、やはり某テレビ局の企画で、今度は中国の秘拳、少林寺拳法を極めるがために、本家本元「少林寺」に修行に出させられたケインくん。 同じアジアンティスト漂う面立ちとはいえ、ふっくらホッペにくるくるお目目のファニーフェイスボーイの彼に、なんだか毛色の違う奴と最初は諸先輩方々も冷たい眼差しを注いでいたりもしたが、いつも真剣に頑張る健気なその姿にいつしか皆が心打たれ、優しく愛情を持って見守るようになっていた。 |
|
それはある日の夕刻のこと……。 新人修行僧のお約束として、木の桶二つ担いでお寺の下の池まで水汲みにいそしんでいたケインくん、貯水桶があるお寺の裏手で、兄弟子の一人に声をかけられた。 「ケイン。真面目にやってるな。感心だぞ」 ケインくん、お褒めの言葉を仰せつかって満面に笑みを浮かべて頭を下げた。 「ありがとうございます! 兄和尚(あにおつ)さま!」 「よし。特別に私が稽古をつけてやろう。ついてこい」 「はい! ありがとうございます!」 ケインくん、喜び勇んで兄弟子とともに空いている道場のひとつに入った。 「いいか、ケイン。少林寺の基本はその流れの滑らかさと動きの美しさにあるのだ。型のひとつひとつを、しっかりと身の内に刻むのだ」 「はい、兄和尚さま」 「よし、私の動きを真似てみろ」 ケインくん、言われるがままに兄弟子の舞うような拳技を真似てみた。すると、兄弟子が近寄ってきて、背中から抱え込むようにケインくんに張りつき、丁寧に修正を加え始めた。 「こっちの腕はこの高さ、左の肩はもっと引くのだ」 「はい」 「腰の位置が違うぞ、ケイン。ここはもっとぐいと落として……こう捻る」 兄弟子の手がケインくんの腰を掴んで、ぐっと強く引っ張った。強引に中腰にさせられたケインくんのお尻に、何やら堅いものがぶつかる。ハッと思うまもなく、それは胴着の裾を割って衣服の上からではあったが割れ目へと突き進み、ゴシゴシと擦りつけてきた。 「あ、あの……」 「ちゃんと前を向いていろ、ケイン。型が崩れているぞ」 厳しい叱責の声に戸惑いながらも前に向き直ったケインくんだったが、今度はそんな彼の前に兄弟子が膝をつき、あろうことか胴着をずり降ろしてケインくんのナニを引っ張り出し、そっと口に含んだ。 「あ……!」 思わず身悶えして腰を引いたケインくんに、すかさず鋭い声が飛んだ。 「動くでない、ケイン。その型を身に染み込ませるまで、決して動いてはならんぞ。それが基本だ」 「……は、はい、兄和尚さま……」 素直に従うケインくんを上目使いに見上げながら、兄弟子はそれはさも美味しそうにケインくんのナニを頬張り、舐り始めた。つるりんと美しく剃られた兄弟子の頭が、ケインくんの下腹部で規則正しく前後する。ねっとりと濡れた舌が執拗に絡みつく。 「あ、ああ……くぅ……」 襲い来る快楽の波に膝ががくがくと震えたが、動くなと命じられたケインくん、健気に耐えてグッと唇を噛み締めた。しかし湧きあがる快感は抑えようもなく、更に強く早く攻められては抵抗できるわけもない。 「あ、あ、あ……、もう……兄和尚……さま……」 哀れケインくん、風前の灯であった……。 やがてようやくのこと解放されたケインくん、フラフラとふらつく足取りで独り残された道場を後にした。が、長い回廊の角を曲がったところで少林寺をつかさどる尊師の一人とばったりと出会って声をかけられた。 「おお、ケイン。このような時間まで修行をしていたのか? 偉いぞ」 「は、はい、あ、ありがとうございます、尊師さま」 「その良き心がけ、感心である。どれ、ワシが特別に稽古をつけてやろう」 「け、稽古でございますか……?」 「そうじゃとも。ほれ、こちらに来るがよい」 そう言うと、高齢な尊師は白い御髭を蓄えた顔に怪しい笑みをたたえ、ふらつくケインくんの手を引っ張って無理やり空き道場へと引っ張って歩きだした。 よろけながらそのしわだらけの手に引かれて歩きつつ、ケインくんは心の中で強く思った。 (……つ、強くなりたい! 強くなりたい! 僕は絶対強くなってやるんだー!) がんばれ、ケインくん! 負けるな、ケインくん! きっと世界中で95人くらいは、君のことを応援しているぞ! |
がんばれ、ケインくん その3 ーー土佐のカツオ釣り編ーー |
|
いつもテレビ局の企画で、あちこちに飛ばされ、いろんな体験をさせられるケインくんであったが、今回は初夏と言うことで「目に青葉、山ホトトギス、初鰹」、カツオを求めて土佐のカツオの1本釣りに挑戦すべく某漁船に乗せられたのであった。 某カツオ漁船の船長はまだまだ若くて活きのイイお兄さん。日焼けした筋骨隆々たる肢体に真っ白な歯がキラリンときらめく凛々しいお顔。白いフンドシが果てしなく似合うそのお兄さんは、ひとめケインくんを見た時から、「こいつは久々の大物だ。ここで釣り上げなきゃ男が廃る」とでも言いたげに、爽やかに欲望溢れる眼差しをのっけから注ぐのであった。 |
|
晴朗なれど波高し。いざカツオ釣りにと船に乗り込んで土佐の大海へと繰り出したケインくんであったが、いつもとは勝手の違う慣れぬ海の上とあって、足元はヨロヨロ、胸はムカムカ、気分はヘロヘロ、すっかり波に翻弄される始末であった。 「おい、ケイン。なんだ、そのつらぁ? 男のくせにこんな程度で船酔いとは、だらしがねーぞ」 「は……はい、船長……」 「土佐の海はよー、男の海だぜよ。どーんとこいってなぁもんだ。がっちり四つに組んで胸元掴んで投げとばしゃあ、船酔いなんざへの河童ってーもんだぜ。はっはっはー」 若い船長、わけのわからない励ましの言葉をかけつつ、豪快に笑い飛ばした。ケインくんもつられて笑おうと試みたが、たちまち咽の奥から酸っぱいものが込みあげて、情けなくも船のヘリに捕まってお魚さんの撒き餌を提供するのであった。 波に立ち向かうことしばらく、やがて船は最高の魚場へと到着し、船長さん、手に親しんだ竿を持ってにこやかに笑いながら言った。 「さあ、着いたぜよ。よおし、ケイン。俺がこれからまっことカツオの釣り方ってーもんを教えてやるぜ。ほらほら、へたばってねーで、しっかり立ちやがれ」 ケインくん、ふらつく足取りもあぶなかしく、船長さんに言われる通り竿を持って立ちあがった。二人並んで海に向かって立つと、船長さんは爽やかに叫んだ。 「ケイン、カツオの1本釣りってのはよー、男と男の勝負だぜよ。こうがしっと腰を入れて踏ん張ってだな―、カツオの野郎がぐいっと引いたら負けねえようにひきかえす。手首の返しが大事だぜ。さあ、ちょっとやってみな」 教えられるままケインくん、魚が釣れたふりをして竿をグイと引き上げた。すかさず若い船長さんの怒声が響いた。 「なーにやってやがんでい。竿の使い方がなっちゃいねーぜ。こうだこう」 しかし一朝一夕で海の男と同じだけの釣り方ができるはずもない。船長さん、しばし考えた末、ぽんと手を打ってにこやかに言った。 「よし、ケイン。俺の後ろにまわって立ちな」 ケインくん、言われるがままに素直に従って船長さんの後ろにまわった。 「ケイン、さあ、俺の竿を握ってみな。ばか、そっちじゃねえ、俺の竿だぜ、モノホンのよー」 「さ、竿って……これ……のことですか?」 ケインくん恐る恐る背中から手を伸ばして船長さんの大事なものに手を伸ばす。船長さん、威勢良く応えた。 「おうっ、そーだぜ。それを握って教えた通りに振ってみろ。さあさあ」 爽やかに命じられ、仕方なくケインくん、船長さんのものを白いフンドシの脇から引き出すと、そっと両手で握り絞めた。 「グッと掴むんだぜ。そして優しく上下に振ってやる。よしよし、いいぞぉ。そしてピンと弾むような感触が来たら、ぐぐうっと引き上げる。おおおおっ、そうだぁぁ。最高だぁ、ケイン!」 船長さん、大きく雄叫んで白いしぶきを散らすと、豪快にカツオを一匹釣りあげた。 「よし、今度はおまえが釣ってみな」 船長さんに言われ、ケインくん海に竿を垂らして一本釣りへと兆戦した。しかしなかなか引き上げるタイミングが上手くいかず、なんども魚を取りにがす。船長さん、ケインくんの後ろにまわったかと思うと、彼のズボンを引き下げて下半身を剥き出しにして言った。 「よっしゃ、俺が今からおまえと一体になって教えてやるぜ。さあ、気合いを入れて足を踏ん張ってるんだぜ、ケイン」 船長さん、そう叫んだかと思うと自らも服を脱ぎ捨てフンドシまでもむしりとって、ケインくんの腰に手をあて、双丘を開いた。そしてそこに自分のご自慢の竿をねじりこんだ。 「ああっ、せ、船長!」 船長さんの手が、ケインくんのモノをがっしりと掴む。 「さあケイン。俺と同じように竿を振んな。早過ぎず遅すぎず、これぐらいの早さで振るんだぞ」 船長さん、手ではケインくんを上下にしごきあげ、腰は小気味よく突いて引いてを繰り返す。ケインくん我慢ならず、あられもなく声をあげた。 「あっあっ、せ、船長! こ、こう……こうですか?」 「そおそお、いいぞぉ。美味いぞぉお」 やがて両方の竿にピクビクと弾けたような感触が伝わって来る。船長さんは豪快に叫んだ。 「よおしっ、来た来た来たー! そおら、これこそが1本釣りだぁぁ。ケイン、今だぁぁぁ!」 「あっ、ああああっ!」 ケインくん、頭の中に真っ白な閃光が飛び散るのを感じながら、手にした竿をグイと引き上げた。ピチピチしたカツオが勢いよく海から姿を現し、船上へと釣り上げられる。真っ白に飛び散る波と真っ白に飛び散るケインくんのナニが、キラキラと太陽に反射した。 初めてのカツオ釣りにフラフラになって膝からくずおれるケインくんだったが、若い船長さんは豪快な一発……いや、二発などものともせず、仁王立ちになって元気に笑った。 「どうだ、ケイン。土佐のカツオは活きがいいだろう? さあ、この調子でばんばん釣るぞー」 「……ば、ばんばん……ですか、船長?」 「おうっ。ばんばんだぜ。わっはっはっはー」 船長さんの高笑いを聞きながら、ケインくんはよれよれの心で強く思った。 (……つ、強くなりたい! 強くなりたい! 僕は絶対強くなってやるんだー! ……うぷっ) がんばれ、ケインくん! 負けるな、ケインくん! きっと世界中で108人くらいは、君のことを応援しているぞ! (今回のケインくんは、ビーママさんからのリクエストにより立ち向かってみました。 |
がんばれ、ケインくん その4 ーー山中ロケ編ーー |
|
我らがケインくん、今日は朝から某健康飲料のCM撮りのため、険しい山中へとロケに訪れていた。 シリーズもののCMは視聴者にも評判が良く、行う内容は毎回毎回厳しくハードなものではあったが、スタッフも顔馴染みで優しく、スポンサーもプロデューサーもとっても彼を可愛がっていたので、精神的には大変楽しいお仕事であった。 |
|
しかしそんなお仕事に燃えるケインくんにも、ひとつだけ悩みがあった。共演者のお相手が、虎視眈々と彼を狙っていたからである。 お相手の何某(なにがし)は、某有名俳優の二世タレントであり、父親譲りの彫りの深い目元も美しい、筋骨逞しい美青年であった。が、実はオネエ言葉も板についた○カマさんであるという噂は業界でも有名で、実際彼と共演するいい男は必ずと言っていいほど新宿二丁目に誘われるのを常としていた。 すでに何本かのCMを彼と撮っているケインくん、当然のことながら何某青年の恰好のターゲットであり、撮影の度に何某青年はなにげなくケインくんに接近しては、それは深い交流を極めようと鵜の目鷹の目であった。 高く険しい岩山、切り立った崖を互いの腰に繋いだロープで助け合う今回の撮影は、いつにも増して危険なもので、例え隠れた部分にサポートする専門家や命綱が用意されていようとも、そこには二人のチームワークが要求された。 比較的安全な山肌で数回のリハーサルを行うと、あとは実際の現場で本番撮りをするというハードスケジュール。そして今まさにリハーサルを終えて、あとは気合い一発本番を待つばかりというひととき。 ケインくんは身を繋ぐロープをもう一度点検にと、お茶とケーキでくつろぐスタッフを他所に、一人現場に戻って綿密に用具のチェックを行っていた。 そこにやってきた何某青年、キリリとくどい顔立ちににこやかな笑みを浮かべ、ケインくんの傍へと近寄って声をかけた。 「なあにやってるのォ、ケイン?」 「はい、先輩。ロープに異常がないかと調べていました」 「まああ、感心ねぇ。いい心がけだわぁ。アナタ、良い役者になれるわよぉ」 何某青年の甘ったるいオネエ言葉で誉められて、ケインくん、ニッコリ笑って素直に頭を下げた。 「ありがとうございます、先輩」 「でもねぇ、勿論用具も重要だけど、今回の撮影はなんと言ってもアナタとアタシの呼吸が大事。息がピッタリ合わなくっちゃ、大変なことになるかもしれないわ。わかるぅ、ケイン?」 「はい、先輩」 「ちょっともう一度シミュレートしてみましょうか?」 「はい、先輩!」 素直にこっくりとうなずくケインに、何某青年はにやりと笑って近寄ると、ロープをケインの手から取り、自分の肩にぐるりと回した。くどいお顔をウットリとさせて独り呟く。 「ああっ、いいわぁ、この縄の感触! さすが無形文化財に輝く紀州の名工が編み鍛えた天然縄。しかもこのまったりとした太さは十年物ね。ううん、たまらなぁい。肩に食い込むゥ」 「せ、先輩……?」 「さあケイン、アナタも早く腰に巻くのよ。崖の上では素早さが命だわ。ほら、ぼけっとしてないで!」 何某青年の叱咤が飛ぶ中、ケインくんは慌てて縄のもう片方の端を腰に括りつけた。予定では、上から落ちてくる落石をよけようと、ケインくんが崖を蹴って二人を繋いだ縄にぶら下がり、何某青年の協力で別の岩肌に飛びつく……というものであった。 だが何某青年はケインくんの縄の扱いを見て、激しく叱責した。 「ああん、ダメよぉ。そんな縄の使い方じゃ命が幾つあっても足りないわぁ。ほら、貸してみなさい。縄はこうやって扱うのよ。わかったぁ?」 何某青年はケインくんから縄を取り上げると、くるくるっと鮮やかに腰に巻きつけてみせた。ケインくんは賛辞の声をあげた。 「はいっ、先輩っ! すごいです!」 「ほーほほほ、だてにいつも男を縛りつけてるわけじゃあなくってよ。さ、やってごらんなさい」 「はい、先輩」 ケインくんは素直に彼の動きを真似てみた。何某青年には劣るが、なんとか言われた通りの形ができる。嬉しそうに微笑むケインくんに、何某青年はごっくんと咽を鳴らして舌なめずりをした。 「いいわよぉ、ケイン。さあ、そのまま前を向いて、その樹を崖だと思ってしがみついて」 「こ、こうですか?」 命じられるまま目の前にあった大木に両手をつくと、すかさず何某青年がもうひとつあつた縄を取って、あっという間にケインくんの腕を樹にくくりつけてしまった。そして目にも止まらぬ早さでケインくんの後ろに回ると、流れるような手つきで彼の洋服をずりさげ、下半身を露わにした。 「いいこと? ここからがチームワークの見せ所よ。アタシが腰をグイとついたら、アナタはおヒップをえいっと後ろに突き出す。二人の呼吸が大事なの。早くても遅くてもだめ、ピッタリ呼吸が合わなきゃすぐに抜けちゃうんだから。わかったわね? いくわよぉ?」 何某青年はそう言うと、自分のパンツをするりと下ろして、オネエ言葉の○カマさんとは思えぬほどのご立派なモノを取り出した。そして有無を言わさずケインくんに挑みかかった。 「あああん、ケイン〜、も最高っ! ええええいっ!」 グイと容赦なく突き出される彼の腰に、ケインくんは溜まらず声をあげた。 「あああっ、先輩!」 「いいわぁ。その腰つき! ケイン、上手よぉぉ!」 奥深い山中に二人の声がこだまする。何某青年は短い髪を振り乱しながら叫んだ。 「ああああんっ! もう、もうダメ……ファイトぉぉぉぉーーーーー!」 「い、いっぱあぁぁーーつ!」 哀しきかな、シリーズ物の慣れで、知らずとケインくんの口から決め台詞がほとばしった。 ケインくんは自分の声が森の木々に反響してこだまする中、心の奥で強く思った。 (……つ、強くなりたい! 強くなりたい! 僕は絶対強くなってやるんだー! ……あああっ!) がんばれ、ケインくん! 負けるな、ケインくん! きっと世界中で124人くらいは、君のことを応援しているぞ! |
このお話はフィクションであります。現実にどれほど似通った人物がいようと、あくまでもフィクションであります。くれぐれも誤解なきよう…… なお、皆様より、ケインくんへの熱いエールをお待ちしております。次回のケインくんにこんな困難を差し向けたい、こんなカップリングを望むというご意見・ご希望などがございましたら、メールもしくは表掲示板にてお知らせください。ケインくんが果敢に立ち向かってくれるかもしれません。 さあ、がんばれ、ケインくん! |