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ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー # 171
炎の宅配便 (プレイステーション2)

購入金額: 1980円 (箱説付)

ゲーム内容

自称「燃える漫画家」の島本和彦がキャラクターデザイン・シナリオ監修を務めた宅配アクションゲーム。
炎の配達人「ジロー」を操作し、悪の宅配結社「ジャクニク通運」の妨害を必殺技「台車アタック」「配送車体当り」でぶちのめしながら、時間以内に荷物を配達する。
氏の作風を活かした「無駄に」アツイ内容のゲームで、音楽が葉山宏治で、さらにヒートアップ。
しかしゲーム内容はスーパーライトシリーズ並みで、もはや島本ゲーと呼ばれる始末である。

H.Kuwanoの考察

1.アツくなれなきゃ負け

このゲームの本質は、やはり「無駄なアツさ」であると思います。
ムダにアツい会話デモ、おやっさんの言霊、配達魂を燃やすと発生する画面効果など、アツい演出が目白押し。
このアツさについていけるかどうかが、本作を楽しめるかどうかの分岐点になると思われます。
僕はすっかりアツさに慣れ、何故か元気をもらった気になれました。

 

2.葉山宏治の音楽にも注目

本作はどうしても原作・監修の島本和彦氏に目が行ってしまいますが、葉山宏治氏の手がけるBGMもなかなかなものです。
爆発音やオーケストラヒットを多様する作風は、ゲームの無駄なアツさとマッチしています。
「超兄貴」を知っている僕は、BGMの「イダテンMIX」で思わずニヤッとしてしまいました。
他にもちょっと笑えるジャクニク通運社歌など、いかにも「葉山宏治らしい音楽」が聴けます。
敵の爆発音なんかを聞くと、効果音も葉山宏治がかかわっていたりして。

あまりこのゲームの紹介サイトでは触れられていないのですが、葉山宏治ファンは持っていても良いでしょう。

3.ゲーム内容はスーパーライトシリーズ

しかし、ゲームの方はちょっと残念、というよりも、全体的に詰めが甘いのです。

街の造りはきちんとそれぞれのブロックの特徴を押さえてあり、なかなか見事だと思います。
ポリゴンが荒いという人もいるでしょうが、それはそれでマップのロードが少なくて済むので僕はいいと思います。

問題は、一本調子なゲーム内容です。
ただひたすら決められた順番に目的地にいくだけ。
そこまで時間制限は厳しくなく、割り込み便以外は特に衝撃や熱の制限がありません。
あまり車が複数台ある意味もなく、使えるものは必然的に限られてきます。
敵が来ても壁にぶつかっても、とにかくR1ボタンを押していれば当面は無敵。
敵を倒せば配達魂が手に入りますので、配達魂が無くて困るということはほとんどありません。
敵もどこからか沸いてくるだけでワンパターン。
ボス敵も(ゲームのキャラクターとしては)ワンパターン。

もう少しシステムを複雑にしても良かったと思います。
たとえば、車の種類によって詰める荷物の種類や量が違ったり、集配所で車を乗り換えたり、順序が指定されていない荷物を効率よく運べる順序を考えたり…。
配達地がランダムに変わる要素もほしかったですね。

また、KGRさんやNさんは会話デモの間の悪さを指摘していました。
止め絵が動いたり拡大縮小して擬似的にアニメっぽくしているのはともかく、たいがいBGMは無いんですよね。

ゲームの面白さ的には、スーパーライトシリーズ並です。
製作者には悪いのですが、2000円が妥当な値段と感じられました。

ふと思ったのですが、製作元は「スーパーライトシリーズ」で名が知られた会社です。
1500円から2000円ぐらいのゲームソフトのシリーズで、良く言えば「ムダを省いた」、悪く言えば「安かろう悪かろう」のゲームです。
このシリーズのヒットにより、本作を制作した会社のイメージが、「シンプルなゲームを安く売る会社」となったゲーマーも多いことでしょう。
それが、5980円ぐらいの通常価格のゲームを出されると、ユーザーは「シンプルなゲームメーカーの通常価格作品なんて大丈夫か?」「どうせすぐに安くなるんだろう」と思ってしまいがちです。
逆に、メーカーもシンプルなゲームばかりを作りすぎて、ゲームに味付けする方法を忘れてしまったのかもしれませんね。

 

4.総評:「島本ゲー」

本作を一言で言うと、「島本ゲー」と言えると思われます。
僕はウワサ程度しか島本氏のマンガを知らないのですが、「ムダにアツイ」ということが氏の作風なのだそうです。
氏のファンであれば買ってもいいのではないでしょうか。

僕は、葉山宏治ファンも買ってもいいんじゃないかと思います。
また、KGRさんはカタコトの日本語を話す悪の親玉「ジャーク・ニック」を気に入っていました。

それでも、開発者には悪いですがやっぱり2000円が上限なのではないでしょうか。

名言

炎の漫画家がそんなの売っちゃいけません

うちの弟が、本ソフトが発売数ヶ月で新品1980円で売られていることに対し言った言葉。
なかなか厳しい。

こわいヨー

悪の親玉「ジャーク・ニック」のカタコトなセリフ。
完全なメッセージは「でも、そろそろ結果出さないと、こわいヨー」だが、「こわいヨー」の部分でアップになる。

カンで曲がるな、地図を見ろ!!

本作のパッケージの後ろにも書かれている、おやっさんの言霊の一つ。
自分のゲームショップ探訪にも言えているので正直ヒヤッとした。

関連情報

超兄貴

メサイアがPCエンジンで出したシューティングゲーム。
筋肉質なキャラクターがウリ。
作曲者の葉山宏治はこの作品でゲームミュージックマニアの間で有名になり、テレビ番組のBGMとしてもよく使われている。


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