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リフォームに関して

欠陥住宅の項にも記載しましたが、社会問題となっている、悪質リフォームをはじめとする
被害相談も多く、若干補足した上再掲します。

基本的には、新築する際に信頼できる設計者や施工者を選び、
改修や増築等の相談にもそこにするのが、一番望ましいと思われます。
(計画的・総合的に補修をしていくことが大事です)
しかし、中古住宅を購入した際や新築した際の設計者や施工者と縁遠くなってしまっている場合は、
一から信頼できるところを探すしかありません。

しかし、トラブルにあった人は、訪問販売や新聞の広告でリフォーム業者をすぐ決めてしまったりしてしまっているケースが多く、
思い通りにリフォームができなかったり、施工した結果かえって悪くなったり、予想外の値段を施工後に要求されたりしています。

小規模工事の場合は、建設業の登録もいらないケースが多く、
(契約金額が500万円以下の工事は登録をしなくてもいいことになってます。)
施工能力のない「にわか業者」が、強引な営業をしているケースが多いといわれています。
くれぐれもご注意ください。

また、たとえ施行能力のある工事業者でも、
リフォーム工事において契約書を取り交わしていなかったり、曖昧な内容による契約や安易な変更などによるトラブルも多いことから
(財)住宅リフォ−ム紛争処理センターが、契約書のひな形を作成されています。
契約書や約款の他に、打ち合わせシート、工事見積書、仕上げ表、工事内容変更合意書などがあります。
契約の前にモデル書式に沿った詳細な説明をしてもらうことをお奨めします。
詳しくは
http://www.j-reform.com/shosiki/shosiki.html

リフォームの計画のある方は下記サイトなどを参考にしてください。
安心・満足リフォームガイド(「リフォネット」 提供 : (財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営 リフォームの基礎知識や進め方などが解説されてあります)


トラブルが多い例と教訓

外壁の塗装や屋根の修理を依頼したが、すぐに塗装がはげたり、かえって雨漏りがするようになった。
相手は下地が悪かったせいといって取り合わない。

→下地が悪いなら、最初に下地までやりかえる工事を提案すべきです。弁護士に依頼して交渉すれば、
プロとしての説明義務が欠けていたと判断が出ると思いますが、工事費が安いので、
弁護士費用や訴訟となった際の精神的負担を考えると泣き寝入りするが多いのが実情です。

なお、屋根の防水工事は相当の施工技術がないと難しい工事です。
新築工事も多数でがけていて、リフォーム工事もしている業者を選定する、
できれば、いままでの施工した住宅も見学させてもらうなど、十分な検討をしてから契約してください。

家の耐震性の無料診断と訪問をしてきた業者に、地震がくれば危ないとおどされ、補修を依頼した。
その後不信感を抱き、専門家に相談したら、費用の割には耐震性は向上していないことがわかった。

→床下に潜って、ドロドロになりながら、危ないですよといわれたら、ついつい契約してしまうのが心情です。
今回、立法化された「消費者契約法」では脅迫・強要による契約は無効と明記されましたが、立証はかなり困難だそうです。
*契約してすぐであれば、クーリングオフ制度などを利用して解約もできることもありますので、条件などは消費者センターなどにご確認下さい。
所有者が気付いていない建物の劣化が早く判るといった点では、無料診断や訪問販売が悪いとはいいませんが、
会社の商品?を営業にきていることには間違いありません。ノルマがきつくて、不要な商品をすすめる可能性もあります。
例えば、お医者さんが頼みもしないのに、訪問してきて、「無料!」の健康診断をした上、病気だからと、治療を薦めはしないはず。
いつまでも健康でありたいために、自分の意思で、健康診断を受けにいったり、自分で体調が悪いから病院で調べてもらい、
悪いところがあれば、治療してもらうはずです。
それとと同様、建物を長く保つためには、「自分の意思」で、専門家に診断してもらうように考えていくことが大事と思います。

これらは「点検商法」といわれ、多くの場合は、効果があるとはあまり思えない耐震補強金具などを付ける工事を
材料費から見てもあきらかに割高な価格で勧誘しているケースが多くあります。
地震の危険から耐震補強工事の必要性もいわれていますが、
耐震補強工事とは一般的に、耐震診断(建物を構造的に大丈夫かどうかを調べる調査)をした上で、
補強の設計を綿密に行い、筋交いなどを入れ壁の耐力を増す工事をします。

点検商法に関する国民生活センターのレポートへ(2002年11月7日公表)

○その他、国民生活センターは、リフォーム工事のトラブルの内、8割は訪問販売によるものであると報告しています。
中には一人暮らしの高齢者を、契約するまで帰らないなどといって、深夜に及ぶまで契約を強要した例、
手付金だけとって逃げた例などリフォーム詐欺とも言える、悪質なものも多数あります。
悪質リフォームの典型といえるでしょう。

また相談を受けたケースでは、大新聞の広告を見て信頼したが工事が杜撰という例もありました。
公序良俗に反するものでない限り、広告はお金を払えば出せるはずです。
各新聞社とも掲載基準はあるのでしょうが、施工能力までは審査していないはずです。

さらに、工事金額などでも多数のトラブル相談があります。
(最初に見積も提示しないで、工事完成後に思ってもいない金額を請求されたなど)

したがって、家の補修やリフォームは、いきあたりばったりやどうしようもなくなってからするのではなく、計画的にして下さい。
できれば、屋根や外壁の塗装などを部分的に専門業者に依頼するのではなく、
信頼できる建築家に家の耐久性や耐震性などを総合的に調査診断してもらってから、
その診断結果からの必要な補修必要事項と
それ以外のグレードアップなどの自分の希望事項とを抽出した上で、
優先順位をつけ、
 ・補修計画(できれば、予算などの関係で後回しにするものも、時期などを決めておく)
 ・補修設計
 ・見積要綱などを作成した上で、
施工者選びをするのが望ましいと思います。
また、リフォーム工事の品質管理をチェックする工事監理も必ず依頼しましょう。

また、分譲マンションの改修などでも同様のトラブルがよく相談されます。(塗装がすぐ剥げたなど)
劣化診断や劣化に応じた工事内容の提案・施工見積もりの精査や
工事契約への助言・工事中の監理を施工会社とは別に建築家に依頼する方法が望ましいと思います。
マンション改修工事や大規模修繕について詳細は


国民生活センターは2002年8月21日付けで、

リフォームの工事の被害実例を公表(国民生活センター該当報告書へのリンク)するとともに
次の点をアドバイスしています。

●消費者へのアドバイス

1.契約する前に

(1)訪問販売では、できるだけ契約しないこと
(2)工事を依頼するかどうかは、手間と時間をかけて十分に検討すること
(3)業者の説明を鵜呑みにしないこと

2.契約するときは

(1)複数の会社から詳細な見積りを取ること
(2)必ず改修計画図(書)、工程表の提出を求める

3.契約した後に
(1)訪問販売の場合、工事が開始後でも、クーリング・オフ期間内であれば解約できる
(2)工事が完了しても契約通りの工事がされているかを確認するまでは代金を全額支払わないこと