The Wind in the Willows | Topへ | |
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Kenneth Grahame "The Wind in the Willows" (1) FBに安藤聰先生がグレアムゆかりの写真を出しておられれたので、懐かしく、手元の本を探して見たら、幸いにも、処分を免れた本が、3冊出てきた。 この本は、挿絵はH.シェーパード、アーサー・ラッカムのものが有名であるが、初版は挿絵は口絵一点だけであるから、文章を読ませる本なのである。タイトルも詩的で絵本らしくない。私は文章全体の読める本を求めて、イギリスから取り寄せることにした。 |
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Kenneth Grahame "The Wind in the Willows" (2) From the original storiesとあったので注文したのだが、届いた本はAbridged版だった。しかし、アーネスト・H・シェパードの素晴らしい挿絵がついていて満足した。それは「プーさん」の挿絵に勝るとも劣らず、川辺の風さえ感じさせる、生き生きしたものだった。文章全体は、Kindle本で辿ることにした。 物語の冒頭、モグラが春の大掃除に飽きて、トンネルを掘って地上に出るシーン: |
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Kenneth Grahame "The Wind in the Willows" (3) 図書館から借りてきた翻訳は、原作の全訳。その丁寧な翻訳には頭が下がる。岡本訳は、先行の石井訳から、さらに、磨きがかけられて、より正確に原作の意味とリズムをとらえている。しかし、翻訳は原作に及ばない。 モグラ、ネズミ、アナグマ、ヒギガエルが主人公の話となれば、誰も、年少の子供の読み物と思う。事実、多くの本が、絵本で、文章はおそらく原作の10の1くらいしかない。英人のPさんに、原作を読むのは、何歳ぐらいからと聞いて見たら、中学生という答えが返ってきた。物語は英国人なら誰も知っているが、実は、Pさんも原文を読んでいないという。 原作は詩情に満ちたもので、大人が読んでも楽しい。しかし、その楽しさは翻訳で読むと半減するのではないかと思う。 最初の章から簡単な例を2つ: 何もかも初体験のモグラが、 ・・・・So—this—is—a—River!’と言うと、 この章の終わり:地中の世界しか知らなかったモグラが川辺でネズミに一日遊んでもらって; (写真、上左:Kindle本。上右:やはり紙の本が欲しくて入手したOxford Children's Classics版) |
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Kenneth Grahame "The Wind in the Willows" 1908 (4) 「くまのプーさん」の作者、A.A.Milneもこの作品のファンで、1929年、演劇化している。その息子、クリストファー・ロビンが、この作品について、面白いことを書いているので紹介します。 「私たち皆が熱愛し、賞賛し、何度も、何度も、何度も朗読したり、一人で、読む本:The Wind in the Willows. |
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Kenneth Grahame "The Wind in the Willows" (5) ヒキガエルは、金持ちのボンボンで、悪げはないのだが、ちょっと高慢で、何事も熱しやすく冷めやすい。新しいもの好きで、自動車に熱をあげ、人の車を盗み、監獄にぶち込まれ、洗濯女に化けで脱走して、機関車に乗って、逃走と・・・波乱の冒険を繰り返す。物語の最も華やかな部分で、これが絵本にもなり、アニメや映画にもされ、多くの子供たちの愛するところとなっている。この本についてEさんに話すと、自分も子供頃楽しく読んだと、その時の本を探して、貸してくださった。(写真)本の背も取れて、何度も読んだことがうかがえる。翻訳は、丁寧なものだが、クリストファー・ロビンのお母さんが涙なしには読めなかった第7章ともう1章がカットされていた。 モグラ ー 新しい世界に興味津々の若者で、その素直な性格が素晴らしい。 この作品のもう一つの魅力は、イングランドの水辺や森の自然描写だが、これは、子供が味わうには少し無理があるかもしれない。 |
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次のような辛口の評論もあります。
The Wind in the Willows Isn’t Really a Children’s Book Nor, Mysteriously, Does it Contain Any Willows . . . By Peter Hunt |
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