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全 卓樹『銀河の片隅で科学夜話』 朝日出版社 2020 素人が知らない科学的知見を枕に、その先がどうなるのか、興味が湧いてくる。程よい長さで詩情も感じられる短編エッセイが24篇。全編、楽しく、感心しながら読みましたイラストもすばらしい。 特に記憶に残ったのを例に挙げると 、「トロッコ問題の射程」、二股分れる路線で一方では5人、一方では一人工事をしている。、上てから無人のトロッコが暴走してくる。ポイントをどう切り替えるか?これは哲学問題であるが、現実には、無人運転のプログラムには解決しなけらばならない問題であると。 「アリたちの晴朗な世界 」- アリたちには人類と同等の文化、例えば軍隊、栽培などを持っている。人口も人間に匹敵する。 「銀河を渡る蝶」 -てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った。 ー という安西冬衛の一行詩を冒頭に置いた このエッセイは、私が最も好きな1篇である。 話はカナダから四千キロも南のメキシコまで飛んで行くモナータ蝶の話である。メキシコで卵を産み、次はアメリカへ向かい、産卵し、さらに北上し、そこで産卵し、最初の蝶から見れば、曽孫にあたる蝶が、元のカナダへ戻る話である。話がこれから一挙に大きくなり、人類の生存に及ぶ科学エッセイらしい結末となる。 同じ著者の『エキゾティックな量子』にも手を出しましたが、これは、少し忍耐力は必要なようです。 『渡り鳥たちが語る科学夜話』を読み始めました。 2024・5・22 |
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全 卓樹『渡り鳥たちが語る科学夜話』 朝日出版社 2023 |
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