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   古賀真輝『数学の世界地図』
全卓樹渡り鳥たちが語る科学夜話
全卓樹銀河の片隅で科学夜話

 

  
   古賀真輝『数学の世界地図
              KADOKAWA 2023
 
数学とはどんなものか?その世界全体を鳥瞰させようという野心的な本である。

数学に対する憧れのようなものが、私の中にあって、この本を読むことになりました。

文系の私にも半分ぐらいはわかるが、半分は、こんな世界もあるのか、といったの理解でしたが、工学部応用物理学科卒の野口慊三さんのリードで読み通すことが出来ました。
、(2024年3月から7月、zoomで毎回1時間、12回に分けて読了できた。)

まるで、数学商店街のショウウインドウを見て回ったという感じでした。

内容は:
代数学、幾何学、解析学、数学基礎理論、応用数学の5つの分野に分け、第1項線形代数、第2項群論、第3項環論・・・・第28項離散数学、第29統計学、第30項暗号理論と30項に渡って、各領域のエッセンスのよなものを数ページづつ解説してあります。

意外に思ったことの一つは、始めの頃、線形代数や群論の世界では、計算の順序を変えても結果はかわらないのに、、第26項の理論計算機理論のところで、
コンピューターは無理数が扱えず、近似値で行うため、計算の手順を変えると結果が変るということです。コンピュターの持つ怖さに触れたような気がしました。

それなりに価値のある読書でした。

  2024・7・

〇数学と私
 記憶力があまりないので、英語など暗記物は苦手で、数学の方が好きだった。

中学3年の時、若い数学の先生が、顔を少し上気させて、ぼんやりしている姿を見て、「先生は数学をしているのだな!」と感動した。この先生には、教えてもらうこともなく、名前も思い出せない。
同じ中学3年の時、数学の時間の私の発言が、寺林先生の興味を引いて、後で職員室に呼ばれて、「君の考えは微積分の考えだ。高校へ行けば習う。」といわれ、高校に入ると数学の和田先生に呼ばれ、「君は数学部に入れ」といわれた。寺林先生からの引継ぎがあったのであろう。数学部はガリ版刷りの『無限大』という部誌を出していたが、長続きしなかった。私は美術部の方に力が入っていた。

大学の教養で数学の試験で、何を書いても良いとのことったので、「推論と情熱」というテーマで、数学も理性だけだはないこと書いたら、90点以上の高得点を得た。岡潔の情緒の話がまだ出る前のことである。

。大学で教授との個人面接あった時、入試の成績をみて、「君は不思議な人間だな!物理はとても良く出来ているのに、数学の点は悪い。」私は入試の時、何か思い違いしていたのだろう。

会社に入って、当時OR(ペレーション・リサーチ)がはやっていて、会社も取り組まねばと、若い私に白矢が立って、理科大出身の人と二人で、一年間、毎週1回、阪大の先生から、リニャプログラミンとか統計がなど学んだ。最小二乗法とか、正規分布とか、数学の本の一部に触れた。
それ以外には、次男が理科大応用数学に進んだときは、自分の望みの一部がかなえられたと、嬉しかった。
当時、会社は、デミング賞に挑戦していたので、品質管理の理論はかなり学んだ。

数学といえば、いまだに私が課題としていることは、「複雑性」を数学的に表現できないいうことである。
これは、システムが複雑になると、人が制御できなくなるので、セグメント化、モジュール化して、複雑性を下げる必要があると思うのだが、その複雑性の表現方法を私はまだ知らない。


  2024・7・5
 

  
   全 卓樹『銀河の片隅で科学夜話
           朝日出版社 2020

  素人が知らない科学的知見を枕に、その先がどうなるのか、興味が湧いてくる。程よい長さで詩情も感じられる短編エッセイが24篇。全編、楽しく、感心しながら読みましたイラストもすばらしい。
  特に記憶に残ったのを例に挙げると
、「トロッコ問題の射程」、二股分れる路線で一方では5人、一方では一人工事をしている。、上てから無人のトロッコが暴走してくる。ポイントをどう切り替えるか?これは哲学問題であるが、現実には、無人運転のプログラムには解決しなけらばならない問題であると。

  「アリたちの晴朗な世界 」- アリたちには人類と同等の文化、例えば軍隊、栽培などを持っている。人口も人間に匹敵する。

  「銀河を渡る蝶」 -てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った。 ー という安西冬衛の一行詩を冒頭に置いた
このエッセイは、私が最も好きな1篇である。
  話はカナダから四千キロも南のメキシコまで飛んで行くモナータ蝶の話である。メキシコで卵を産み、次はアメリカへ向かい、産卵し、さらに北上し、そこで産卵し、最初の蝶から見れば、曽孫にあたる蝶が、元のカナダへ戻る話である。話がこれから一挙に大きくなり、人類の生存に及ぶ科学エッセイらしい結末となる。

  同じ著者の『エキゾティックな量子』にも手を出しましたが、これは、少し忍耐力は必要なようです。

  『渡り鳥たちが語る科学夜話』を読み始めました。

  2024・5・22
 
   全 卓樹『渡り鳥たちが語る科学夜話
         朝日出版社 2023