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複数の人間が、前句に応答しながら句を連ねていく文芸は、世界で類例のないものです。 このようなことができるできる、日本人、日本文化は素晴らしいと思うのです。 | |
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神戸の鈴木漠さんから『連句集 滅紫帖』を頂いたので、ちょっとPRさせていただきます。仲間で句を繋いで楽しむ連句(その前の連歌を含めて)は世界に類例のない文芸形式だと思うのですが、鈴木漠さんは、この伝統を引き継ごうという方の一人です。この本の、ほんの一部を紹介してみます。 |
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『おたくさ』は、連句を楽しむグループの同人誌で、何時の頃からか、主宰者の鈴木漠先生が送ってくださるので、お蔭で連句への興味が持続します。 坂の上和菓子の老舗ひっそりと 静司 最後から2番目は花の座、最後の挙句は穏やかにという、連句の式目に沿っていますね。 この結社は、神戸を中心とするメンバー11人に、10数人のゲストが加わって、盛んに連句が巻かれています。 |
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別所真紀子『雪はことしも』新人物往来社1999 連句同人誌「おたくさ」には、鈴木漠さんの「連句茶話」という連載エッセーがあり、その中で紹介されていたので読み、大変面白く感銘を受けた。短編集で、表題の小説は、芭蕉と越人の関係をテーマとしたもので、第21回歴史文学賞を受賞している。文体はやや古風ではあるが、刈り込まれたしっとりとした趣があり、何よりも史実を押さえた確かさで、江戸俳諧人の群像を彷彿とさせており、連句の実作者ならではの深い描写がなされている。男色世界も寸描して見せる。同書には次の作品も収録されている。「ちり椿」は『猿蓑』の頃の凡兆とその妻羽紅などが登場する蕉門群像。「上総に空を」は一茶。「浜藻春風」「浜藻歌仙留書」は女俳諧師浜藻が主人公で、俳諧仲間の様子が良くわかる。 |
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2015年7月25日
別所真紀子『つらつら椿 ―濱藻歌仙帖 』新人物往来社 2001 浜藻という女性俳諧師を中心に織りなす江戸市井の人の群像である。俳諧を軸に集まる人々は、中流処で、豊かな江戸文化を味わえる。俳諧のことを知っておれば深く味わえると思うが、知らなくても、俳諧の式目(ルール)などが随所にちりばめられちいるので、俳諧の雰囲気を知ることもできる。連句の座の途中で飲食が入いたり、時には、船を浮かべて行っている様子もわかる。 |
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鈴木漠『連句茶話』 編集工房ノア 2016 連句に関心のある者には、どこを開いても、3頁の名エッセイに出会えて、楽しい本である。 |
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2016年9月27日
廣木一人『連歌の心と会席』風間書房 2006 連歌に興味のある方には、お勧めの本です。 平安時代から上流階級で広まった連歌が、室町、戦国時代には専門の連歌師を生むほど発達し、やがて俳諧の連歌(連句)となり、江戸時代には町人を含む多くの愛好家を生むのだが、明治になって急速に衰えた。芸術は個人の独創によるものであるという、狭い芸術観が、その一因であるが、複数人の協和によって創り楽しむ文芸、座の文芸は、世界に例を見ない。座または会席で行われる文化行為は、茶道、花道、会席料理とも共通の基盤を持つもので、貴重な文化遺産である。連歌、連句の世界の復権を願ってやまない。 |
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遊山同人による歌仙習作 「春雷やの巻」 1991 「梅だよりの巻」 2002 「池波やの巻」 2005 |