大野晋 | Topへ | |
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① 大野晋『日本語の文法を考える』岩波新書(初版は1978年) ① は文法の面白さを教えてくれる本である。なぜそうなのか?ということを、理論的に、かつ古今の実例を挙げながら、説いているからである。その切り口は、未知と既知、ウチとソト、状態と情意などで、なるほどと思うことが多かった。日本語の特徴もうまく捉えていると思った。ほんの一例であるが、わが君、わが国、母が手、・・・などで使われている「が」と、春の霞、秋の野・・・などにつかわれる「の」と比較は、これだけで、興味深い論考である。 |
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大野晋・丸谷才一対談『日本語で一番大事なもの』1987年 中央公論社 大野晋の面白さは、主張(仮説)を古今の実例(証拠)で、その変遷を含め、明快に解き示すところにある。それに対するに、自ら『新百人一首』を編み得るほど古典に通じる丸谷才一で、その対談が面白くないはずがない。 |
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『孤高 国語学者大野晋の生涯』川村二郎著 日本語が好きな人には、大野晋のファンが多いのではないかと思う。私もその一人で、全部読んだわけではないが、どの本にも、「目から鱗が落ちる」体験をさせていただく。万葉から現代にいたる日本語の知識の蓄積の桁はづれに大きく、彼の言説は説得性がある。彼が多彩な業績を背景を知ればもっと親しみが増すだろ。そんな思いで手にしたのが、川村二郎『孤高 国語学者 大野晋の生涯』東京出版2009 である。東京下町の砂糖問屋の息子として生まれるが、家業は傾き、経済的に恵まれなかった。2度の落第など、その生い立ちから、学者としての経歴、業績、全生涯を概観している。彼の関わった事柄:『広辞苑』、『岩波古語辞典』、岩波古典文学大系『万葉集』、『日本書紀』、国語審議会、漢字制限問題、タミル語の探究・・・それぞれあまり深入りせず、それにまつわる人間模様も描き出されていて面白く読めた。何事にも純一に取り組む彼の姿勢は、「抜き身の刀」と評されているが、特に日本語の祖語としてのタルミ語の探究には、学者としてかくありたいと思う情熱が示されていて胸を打った。 |
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