福岡慎一  Topへ
   2024年10月15日から11月4日まで日赤に入院していた。心身の回復に第一号の証は、下記の本の読了であった。

生物と無生物のあいだ』講談社現代新書
 

  
   福岡慎一『生物と無生物のあいだ』講談社現代新書

  YouTubeで、この人の話(知恵の学校)を聞いて、とても明晰で面白かったので、その主著でもある本書を読むことになった。その話にもあるのだが、いわゆる(〇〇とは? )と言う基本的概念は、著者がそこに至るそのプロセスを伝えないと、相手には伝わらないと言ってる。
  本書は、(生命とは? )とか、彼のキーワードである(動的平衡堵は? )を述べたものであるが、そのロセスを、丁寧、しかも巧みに記述しているのである。その過程で、我々は、例えば、DNAなど分子生物学の、ノーベル賞受賞クラスの数々の考えや、彼自身が、実際に実験探求した具体的な状況を、つぶさに記述することによって、最終的に、彼の考えが伝わってきて、感動を覚えるのである。
  研究の場所環境、研究者の苦労の他に、その時々の風景や気候なども、多少文学的臭いもしなくないが、丁寧に織り込まれているので、読み物として極めて、スムーズに読者の心に入ってくる。
  科学エッセイとしても極めて優れたものだと思う。
私の入手した本人は、帯がついていて、有名人の2、3行の賞賛の言葉が掲げられている。ご参考まで。

2024・11・10