Yuval Noah Harari  Topへ
    歴史書で、これほど大きな衝撃を受けた本はない。 

 「認知革命」という、人間が、虚構(架空の事物や物語�)を含んだ情報をやりとり出来るようなったことによる進化を基本に据えた歴史観である。

 人間を一度生物レベルに引き戻し、そこから歴史を見るとという、巨視的な歴史観であるが、意識の役割が大きく、いわゆる唯物史観ではない。

 私はyoutubeで、この人の講演を沢山聞き、関連の本を読んででから、その著作を読むことになった。原書を買ったが、読んだのは翻訳。

  歴史を鳥瞰して、新しい見方を得たいというのは、若い頃、アーノルド・トインビーに憧れて以来持ち続けてきた欲望である。
 歴史は細部も面白いが、巨視的に見るのも面白い。

  そんな本で、世界的ベストセラーとなった10年も前に出ていたとは知らずに過ぎていた。

 量子力学が余りに微細で、直接日常生活に役立たないように、余りにも巨視的な歴史観も同様かもしれないが、今、人間の立ち至っている状況から、新しい歴史観、世界観が必要となっている。

  巨視的であるが、終始、人間の心、意識の探求があり、「人間とはなにか?」を問っている。

   2023・8・2
Sapiens A Brief History of Humankind
2011:ベブライ語版
2014:英語版
2016:日本語版『サピエンス全史
2017:『サピエンス全史』をどう読むか

Hpmo Deus
2015:ヘブライ語版
2016:英語版
2018:日本語版『ホモ・デウス

21Lessons
2018:英語版
2019:日本語版

  
   Sapiens A Brief History of Humankind
  by Yuval Noah Harari  Vintage 2015(初2011)

 邦訳:『サピエンス全史』柴田裕之(河出書房新社)
 
 人類も遡れば、ネアンデルタール人をはじめ多くの種があったが、ホモ・サピエンスだけが生き残り、しかも、地球の食物連鎖の頂点となり、全世界を支配するようにになった。
それは何故か?

  認知革命(7万年前)、農業革命(1万2000年前)、科学革命(500年前)を経て現在あると。

  大きい脳、二足歩行、道具の使用、火の使用・・・
そして、言語によって、「噂話」が出来るようになり、架空の事物について語る能力が出来た。これによって、より多くの者が集団行動を起こことが可能となった。
 これを、「認知革命」the Cognitive Revolutionというが、その原因についてはよく分からないという。
 これにより、他の種、大型動物を滅亡に追いやった。
 狩猟採集民は豊な暮らしができた。
 アメリカ、オーストラリヤへの移住

「農業革命」
 栽培、家畜化は世界のあちこちで起き、定住化が始まった。
 王国、書記体系、貨幣、多神教、帝国、一神教・・・
  普遍的な秩序the universal order
   貨幣、帝国、宗教。
  この三つが地上を覆った記述は、分かり易く、いくつも目から鱗が落ちる。グローバル帝国の足音が聞こえる。

「科学革命」

これは、皆のしる所である。
これにより、人間中心へと人間は舵を切り始める。


   2023・7・15
 
このVINTAGE版は、写真が良くない。


翻訳はVINTAGE版に較べて、図版の質が極めて良い。
各章や節の見出し語も、原書は詩的な見出し語だが、翻訳は内容をよく表しており、読みやすい。


  
    Homo Deus :  A Brief History of Tomorrow
  柴田裕之訳『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』河出書房新社


  『サイエンス全史』の後を受けて、現在、近未来を論じたものである。

  人間はある意味で、神に匹敵する立場、人間至上主義を謳歌しているのであるが、テクノロジーの進化、特に、バイオテクノロジー、AIに発達により、人間至上主義が変質する可能性を論じている。

 問題は、自分とは何か?か、自由意志といったものが、果たして存在するのかとという、大問題に当面するのだが、現代のさまざま知見を、著者の分析を加えて、紹介していて、読んで飽きない。

  
  結局、人間至上主義がデータ至上主義へと移行するのだろうか?

  巨大な宇宙、歴史のうねりの中で、一粒の泡にも満たない自分という立場に立つと、このような論考が意味を持つのだろうか?

  自分なりの物語(宗教)を築きたいと思う者には、
本書は強烈な刺激となる。

  共同主観とは? 物語とは?・・・


   2023・8・2
 
上質使用、図版がカラー、


翻訳は図版はモノクロ。

  
   
『サピエンス全史』をどう読むか
  『サピエンス全史』を楽しく読むためのガイドブック
   河出書房新社 2017

 大変良く出来た本で、私は、原書通読する前に、ハラリの考えは、YouTubeの講演やこの本で、大体つかめた。
ハラリへの賞賛や、注文を含めて、皆深く読んでいるのに感心し、よい手引きとなった。

 しかし、まず、原文を読むべきだと思う。

 
 

  
   21 Lessons for the 21th Century

21世紀の人類のための21の思考

訳:柴田裕之(やすし)河出書房新社

読んだ順にメモしておきます。

21瞑想ーひたすらの観察せよ
  「ヴィパッサナー」の瞑想法を学んだこと。納得。

6文明ー世界にたった一つの文明しかない。
  オリンピックの事例が分かり易い。

20 意味ー人生は物語ではない。
  人生の意味について問う時は、例外なく人は物語を語ってもらうことを期待している。
  「バガヴァッド・ギーター」の例。


  未完