森下典子『日日是好日 』 | Topへ | |
茶道とのつながり、昔の思い出。 | ||
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若い頃、私の勤めていた三菱重工業、神戸造船所には、会社の傍に、和田クラブという従業員のための福祉施設があって、その食堂の隣には,入り口には蹲(つくばい)もある立派な茶室があった。 定時後、そこの食堂で坂田君とよく飲んでいて、ある日、一杯機嫌で、ふと、隣の茶室を覗いたら、茶道の稽古中で、中年のおばさん(先生)から、客になるように勧められた。二人は正座は出来ないというと胡坐でも良いと言われて、そのままお点前の客となった。会社は福利厚生のため、予算を組んで、色々な先生を呼んで、社員の体育文化活動を支援してくれた時代だった。 私達はいつの間にか茶道部の稽古に付き合うようになっていた。部員は数人の若い女性で、中にはミス神戸もいたし、我々も独身であったので、先生としては、稽古の良い刺激になると考えられたのであろう。 お点前の頂き方、客として挨拶など教えてもらい、一応袱紗裁きも習ったが、自分でお点前をすることはなかった。お寺で催された茶会に出たこともある。何年続いたか覚えて いないが、森下典子さんの『日々是好日』はよく分かった。 この本に出てくる武田先生と、私が出会った茶道部の先生と面影が重なるからである。 2023・5・19 |
三菱重工業、神戸造船所 本館 私は1989年本社に転勤になるまでの28年間ここに勤務した。 和田クラブは道路を隔てて直ぐの所にある。 (今でもあるだろう) |
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森下典子『日日是好日 ー「お茶」がおしてくれた15のしあわせ』 飛鳥新社、新潮文庫 かわゆうさんの書評で「心が洗われ、そして整う至福の一服です。」の言葉に惹かれて読みました。 まさにそんな作品でした。 私は図書館で借りたのですが、娘時代お茶を習っていた家内のために文庫本を買って渡したら、うんうんと頷きながら、一気に読みおえてしまいました。「面白かった、バレエも同じね。」が彼女の感想。 内容は、茶道を習った25年間のことを、そのきっかけから、現在に至るまでのことを、15章に分けて述べたのです。とても平明な、無駄のない日本語で書かれていて、心地よい文章です。 蛇足:「日日是好日」は「ひびこれこうじつ」とこの歳になるまで読んで来ましたが、これは碧巌録に出てくる言葉で「にちにちこれこうじつ」と読むのが正しいようです。
2023・2・11 FBに投稿
理屈抜きで、基本の型からはいるやり方は、多くの分野でなされることですが、その過程で「理」の方は、本人自身が発見していくことが重要なのですね。なんでも、目的は?理由は?と理屈から入っていくやり方は、本人のためにならない。本書に登場する武田先生はその点偉い。
別の投稿の一部 |
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『日日是好日 』再読 自然で無駄のない文章を味わいたくて、再読した。 森下典子さんは、フリーライターとして文章を書くことを仕事としてきた方である。 一口にこの本を評すれば、見事な茶道入門書と思う。 再読してもやはり感動した。長い助走のあとクライマックスを迎えるといった感じ。 副題にー「お茶」がおしてくれた15のしあわせ」とあるのですが、15の幸せは各章のタイトルとなっている。 「自分は何も知らない」ということを知る 頭で考えようとしない 「今」に気持ちを集中すること 見て感じること たくさんの「本物」を見ること 季節を味わうこと 五感で自然につながること 今、ここにいること 自然に身を任せ、時を過ごすこと このままでよい、ということ 別れは必ずやってくること 自分の内側に耳を澄ますこと 雨に日には、雨を聴くこと 成長を待つこと 長い目で今を生きること 2023・5・31 |
文庫本の解説は 柳家小三治 客の前で、何度かこの本の朗読をしている。 「まえがき」が良いと言っています。 その「まえがき」では、フェリーニ監督の「道」を、小さい時に見たのと、歳と共に感じ方が異なって来ることを喩えを使って、人の心の成長のさまを述べています。 |
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